共有名義の不動産売却は買取業者に依頼すべき?共有持分の売却方法も

共有名義の不動産売却は買取業者に依頼すべき?共有持分の売却方法も
執筆者: 中西孝志

はじめに

共有名義の不動産は、関係者の事情がそれぞれ異なるため、話し合いが進まず、売却したいと思っても思うように動けない場合があります。不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要で、一人でも反対すると手続きが止まってしまいます。

一方で、各共有者は自分の共有持分だけを単独で売却することが可能です。これらの仕組みを理解しておくことで、共有持分の売却や、他の共有者の持分を買い取る方法など、複数の選択肢から最適な進め方を検討できるようになります。

本記事では、共有名義の不動産に関する基本知識と売却方法、共有持分の売却を進める際の注意点、他の共有者が持分を売却しようとしている場合の対処法などを解説します。

第1章 共有名義の不動産は自由に売却できない

まずは、共有名義の不動産における売却可否について見ていきましょう。

1-1 共有者全員の同意が必要になる

共有名義の不動産を不動産全体として売却するには、共有者全員の同意が必要になります。一人でも反対すれば契約を結ぶことができず、売却の話は前に進みません。

また、相続や離婚で共有になった物件では、生活環境や事情の違いから意見がまとまりにくく、売却が長期間滞ってしまう場合があります。その間も固定資産税や管理費は発生し続け、共有状態を放置するほど負担が大きくなります。

1-2 共有持分は自由に売却できる

不動産全体の売却には全員の同意が必要ですが、各共有者が持つ共有持分は単独で売却できます。他の共有者の同意が不要なため、全体売却が難しい場合でも自分の持分だけ現金化することが可能です。

ただし共有持分は不動産を自由に使える権利ではないため買い手が限られ、売却価格も不動産全体の評価額より低くなる傾向があります。

第2章 共有名義の不動産を売却する方法

共有名義の不動産を売却したい場合には、不動産全体を売却する方法と共有持分だけを売却する方法の2択が考えられます。それぞれ必要になる手続きや得られる金額、共有者との関わり方が大きく異なるため、状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

2-1 全員の同意を得て完全に売却する

先述の通り、共有名義の不動産を不動産全体として売却する場合は、共有者全員の同意が必要です。仲介会社に依頼して買主を募る方法や、不動産会社による買取を利用する方法があり、売却後は代金を持分割合に応じて分配することで共有関係を一度で整理できます。

ただし、全体売却に進むためには、共有者の意思が揃っていることが前提になります。相続で共有者が多い場合や、それぞれの生活状況や考え方が異なる場合は、売却の時期や条件に意見の相違が生じ、調整に時間がかかります。共有者の中に連絡が取りづらい人がいるケースでは、売却の手続きそのものに着手できません。

したがって、全体売却を検討する際は、まず共有者全員の意思確認を行い、売却の可否や大まかな条件を共有することが重要です。相続登記が済んでいない場合は所有関係を明確にする必要があり、事前に司法書士へ相談して登記を整える流れになります。また、売却価格や費用負担、引渡時期などは、後のトラブルを避けるためにも早めに話し合い書面化しておくと安心です。

2-2 買取業者に依頼して共有持分だけ売却する

共有者全員の同意が得られず不動産全体を売却できない場合は、自分の共有持分だけを売却するのも選択肢の一つです。共有持分は共有者が単独で処分できる財産であり、他の共有者が反対していても売却手続きを進めることができます。

ただし、共有持分だけを手放すと、他の共有者にとっては意図しない第三者が共有者として加わる可能性が生まれるため、関係が悪化することがあります。特に家族や親族間で共有している場合には、「見知らぬ業者と共有になるのは避けたい」という心理が働き、対立に繋がりやすくなります。そのため、関係をこじらせたくない場合には、まず他の共有者に買い取りの意向があるか確認しておくと良いでしょう。

また、共有持分だけを一般の個人が購入することはほとんどないため、実際の売却先は共有持分を専門に扱う買取業者となるケースが多くなります。こうした業者を利用すると、比較的短期間で現金化できるという利点がある一方、共有持分は不動産全体を自由に利用できる権利ではないため、売却価格は単独名義の不動産より低くなる傾向があります。

このように、共有持分の売却にはメリットと注意点があるため、目的や状況に応じて慎重に検討することが大切です。

第3章 他の共有者が共有持分を売却した場合のリスク

他の共有者が自身の持分を買取業者へ売却すると、その業者が新たな共有者として加わります。利害が一致しない第三者が関わることで、これまでの共有関係とは大きく性質が変わり、トラブルが発生しやすくなります。

例えば、買取業者は不動産全体の取得を目指しているケースが多く、残っている共有者に対しても持分の売却を求める場面があります。その際、共有状態の不便さや将来のリスクを強調し、強い姿勢で交渉を進めてくれば、精神的な負担が生じるでしょう。

さらに、買取業者が持分の売却を持ちかける際には、相場より低い価格を提示するケースがあります。共有状態の不利な点を繰り返し説明されると、十分な相場確認ができないまま売却を決断してしまい、不利益を受けるかもしれません。

また、不動産を自分だけが独占している場合、新たに加わった共有者から賃料の支払いを求められる可能性があります。共有者の1人が不動産を占有している時には、他の共有者が持分割合に応じた使用料を請求する権利が法律上認められています。家族間の慣習で賃料を払わずに利用してきたケースでも、第三者が共有者に加わると請求が行われ、急に賃料の負担を迫られるかもしれません。

第4章 他の共有者が共有持分の売却を検討している場合の対処法

他の共有者が共有持分を売却すると、意図しない第三者が新たな共有者として加わり、トラブルに発展するケースがあります。共有名義の不動産では、こうした事態を避けるために早めの対策が欠かせません。どのような方法でリスクを回避できるのか、主な対処法を順に見ていきましょう。

4-1 共有持分を買い取る

他の共有者が持分の売却を検討している場合、まず検討したいのが自分がその持分を買い取る方法です。共有者が減ることで、将来的には単独名義を目指せるようになります。不動産は手放したくないものの、共有関係を整理したい場合に有効な対応策です。

買い取りを進める際は、不動産全体の時価や持分割合を基に適正な価格を判断することが欠かせません。相場とかけ離れた金額で売買すると、税務上贈与とみなされる可能性があるため、評価方法や価格の根拠を明確にしておく必要があります。もし、資金が不足する場合には、不動産担保ローンや金融機関の融資も検討しましょう。

4-2 買取業者に依頼する

共有名義のまま判断が先送りになると、意思決定の負担が続き、将来的なトラブルが増える恐れがあります。そのため、他の共有者が持分の売却を検討している場合には、自分の持分も同時に売却し、共有関係から離れるのも選択肢の一つです。

しかし、共有持分は需要が限られるため、一般の個人が購入するケースはほとんどありません。したがって、実務では共有持分の取り扱いに慣れた買取業者へ依頼するのが一般的です。専門業者に依頼すれば、複雑な権利関係がある場合でも状況を整理したうえで買取の可否を判断してくれます。さらに、手続きもスムーズに進みやすくなるため、共有名義による負担から早めに解放されたい方にとって利用しやすい方法と言えるでしょう。

ただ、共有持分は不動産全体を自由に利用できる権利ではないため市場性が低く、売却価格が相場より下がる傾向があります。満足のいく条件で手放すためには、複数の業者に査定を依頼し、提示された価格や説明内容を丁寧に比較することが重要です。

4-3 共有者全員で同意して売却する

他の共有者が持分の売却を検討していると分かった場合には、共有者全員で話し合い、不動産全体を売却する方法を選ぶことも可能です。全員が合意して一括で売却すれば、共有状態を一度に解消でき、部分的に売却が進むよりも後の負担やトラブルを抑えやすくなります。

全体売却では、不動産会社に査定を依頼したうえで、売却代金を持分割合に応じて分配するのが一般的です。共有者全員が同じ方向で話を進められるため、権利関係が整理しやすく、共有状態が長期化するデメリットも避けられます。

共有者だけで話し合うのが難しい場合には、不動産会社や司法書士にサポートを依頼するのもおすすめです。売却価格や費用負担、引渡時期などを客観的に整理した状態で話し合えるため、合意形成を進めやすくなるでしょう。

第5章 共有名義の不動産によるトラブルを回避したいなら不動産会社への相談がおすすめ

共有名義の不動産は、共有者それぞれの事情や考えが異なるため、話し合いがまとまらないまま時間が経ってしまうケースが多くなっています。共有状態を長く放置すると、固定資産税や管理費の負担が続くだけでなく、他の共有者が第三者に持分を売却し、意図しない相手が共有者として加わる可能性もあります。こうした状況が重なると、将来的に競売などに発展してしまうかもしれません。

このような事態を避けるためには、早い段階で不動産会社に相談し、現状の権利関係や不動産の評価、売却の選択肢を整理することが重要です。司法書士法人と連携している不動産会社であれば、相続登記の有無や贈与税や譲渡所得税の見込みなども含めて確認でき、法的な観点からも安心して進められるでしょう。

住まいの賢者では、司法書士法人が参加する不動産会社として、共有名義不動産の売却や共有持分の整理に関する相談を幅広く受け付けています。複雑な権利関係の確認から売却方法の提案まで、専門家と連携しながら丁寧にサポートしているため、共有名義ならではの不安や悩みを早期に解消しやすくなります。

まとめ

共有名義の不動産は、共有者それぞれの事情や判断が異なるため、売却や管理の方針が揃いにくく、問題を抱えやすいのが特徴です。全員の同意がなければ不動産全体を売却できず、共有状態を放置すると固定資産税の負担や管理トラブルが続き、将来的に処分がさらに難しくなる恐れがあります。

問題になりやすい共有状態を解消する方法には、持分を買い取って単独名義に近づける方法や、自身の持分のみを売却して共有関係から離れる方法、全員で同意して不動産全体を売却する方法などがあります。それぞれにメリットと注意点があるため、不動産会社に相談しながら状況に応じて最適な選択肢を検討することが大切です。

住まいの賢者では、司法書士法人が参加する不動産会社として、共有名義不動産の整理や売却を幅広くサポートしています。無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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共有名義の不動産に関してよくある質問

ここでは、共有名義の不動産に関してよくある質問について見ていきましょう。

相手の合意を得られなければ、他の共有者の共有持分の買取は難しいですか?

共有名義の不動産で合意がまとまらない場合、共有物分割請求という手続きによって強制的に共有状態を解消できるケースがあります。共有物分割請求は協議で解決できない時に裁判所へ申し立てる制度で、不動産を分けて単独名義にしたり、代償金の支払いで整理したり、不動産を売却して代金を分けたりする方法が選択されます。最終的に競売となる可能性もあるため慎重な判断が必要ですが、話し合いが進まない状況では有効な手段となるでしょう。

共有持分の買取価格はどのようにして決まりますか?

共有持分の買取価格は、不動産会社が算出する査定額、固定資産税評価額、不動産鑑定士による鑑定価格などを基準に決まります。不動産全体の価値を把握したうえで持分割合を反映し、市場性の低さや権利関係の制限を踏まえて価格が調整されるため、不動産全体で売却する時よりも低くなります。

この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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