空き家はなぜ増えるのか?空き家問題の現状と今後の対策方法を解説

空き家はなぜ増えるのか?空き家問題の現状と今後の対策方法を解説
執筆者: 杉田悟

はじめに

2025年現在、地方だけではなく都市部でも空き家が増えており、現代日本において無視できない社会問題として注目を集めています。

総務省の調査によると、2023年時点で空き家数は約900万戸、住宅全体の13.8%を占めています。今後も空き家はますます増えると予想されるでしょう。

本記事では「空き家はなぜ増えるのか?」という疑問に答えながら、現状の課題と今後の対策方法を解説します。空き家問題をどうすべきか今後の課題と向き合いましょう。

第1章 そもそも空き家の定義とは?

空き家とは、1年以上人が住んでおらず、かつ使用目的が定まっていない住宅のことを指します。環境省の定義では、空き家は以下の4種類に分類されます。

  • 売却用の住宅:販売中だが未成約の住宅
  • 賃貸用の住宅:賃貸募集をしているが借り手がいない住宅
  • 二次利用住宅:別荘や長期不在の住宅など
  • その他の住宅:定期的な利用がされていない住宅

その他の住宅に分類される空き家は、2023年時点で全国の住宅のうち約13.8%を占めており、その数は過去最多を更新している状況です。

特に、完全に放置された空き家の増加が問題視されており、今後も上昇が予測されるため、住宅ストックの有効活用が急務となっています。

1-1 2030年空き家問題が社会問題に

国土交通省の予測では、2030年には空き家率が20%を超える可能性も指摘されています。

5軒に1軒が空き家になる計算で、老朽化や治安の悪化、地域経済の停滞などさまざまな影響が出ると考えられています。空き家率が20%を超えると、行政の管理体制も限界に達し、対応が追いつかなくなることも懸念されます。

特に地方都市では、住民の高齢化や人口流出が深刻で、空き家対策への投資がままならない状況も珍しくありません。

このような背景から、国を挙げた空き家対策の取り組みが求められています。

第2章 空き家はなぜ増える?空き家が増加している原因

空き家が増えている背景には、さまざまな社会的・経済的理由が絡み合っています。原因は単独ではなく、複数が重なり合うことでより深刻な問題となります。

では、空き家はなぜ増えるのか原因を見ていきましょう。

2-1 人口減少や少子高齢化によって住む人がいないから

日本は本格的な人口減少社会に突入しており、特に若年層の都市部流出が激しくなっています。

若者が仕事や教育を求めて都市部へ移り住み、高齢者だけが残される状況が続いているため、将来住む人がいなくなった家が空き家となっていくと予想されます。

また、少子化の影響で家を継ぐ人がいないケースも多く、代々住み継がれてきた家屋が無人になることも珍しくありません。

今後も少子高齢化が進行する中で、空き家の数は自然と増加していく見込みです。

2-2 管理の手間と費用がかかるから

空き家は維持管理に手間がかかるため、費用の負担が大きく、草木の手入れや害虫駆除、雨漏り対策など、所有しているだけでコストが発生します。

時間的にも金銭的にも負担がかかるため、管理を避けて空き家が放置されるケースが増えているのが現状です。

空き家の増加そのものの原因とは言い切れませんが「放置された空き家」の増加においては、管理負担の大きさが一因となっているといえるでしょう。

特に遠方に住んでいる所有者にとっては、定期的な訪問や修繕が難しく、結果的に空き家が荒れ、近隣に迷惑をかけることにつながります。

2-3 都市部に人口集中がしているから

地方から都市部への人口移動が続く一方、都市部では新築住宅の供給が続いています。

結果的に地方の家は空き家となり、買い手や借り手が見つかりにくくなっています。特に、利便性の低い地域では、空き家に対する投資意欲も乏しく、需給バランスが完全に崩れている状態です。

空き家の利活用が進まないまま、数だけが増えていく状況は、全国的な空き家問題の根底にあります。

2-4 相続により所有者が決まらないから

相続された家が複数の相続人で共有されると、処分方法で揉めてしまいがちです。

結果的に誰も手を出せず、管理されないまま放置されて空き家となってしまうケースも珍しくありません。

また、相続登記がなされていないことで、所有者不明となる例もあります。

相続放棄や名義未登記の物件は、行政による対応も難しく「所有者不明土地問題」として別の社会課題を引き起こしています。2024年からは相続登記の義務化が始まりましたが、すでに放置された空き家の問題はすぐに対応することが難しいでしょう。

2-5 住宅の供給過多と新築志向

日本では新築信仰が根強く、中古住宅の市場流通が弱い傾向があります。

多くの人が「中古住宅は価値が低い」「手間がかかる」と考える傾向にあり、リノベーション需要も都市部に偏っています。

新築住宅の建設が続く一方、既存の住宅は見向きもされず、空き家として放置される場合も多いでしょう。

2-6 解体費用の負担が大きいから

老朽化した住宅を解体するには、数十万円から数百万円の費用がかかります。

空き家を解体したくても費用を捻出できず、結局放置されてしまうケースも珍しくありません。特に、木造住宅や古民家などは、耐震補強や撤去作業に高いコストがかかります。

さらに、住宅を解体して更地にすると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が高くなる場合があります。このことがより解体をためらわせる要因です。

地方自治体が補助制度を設けている場合もありますが、情報不足や申請の手間から利用が進まず、解体費用が空き家放置の大きなハードルとなっていることが多いでしょう。

2-7 使い道がなく利活用が難しいから

場所や構造の問題で、活用が難しい空き家も多く存在します。

交通の便が悪い、耐震基準を満たしていない、再建築不可などの条件があると買い手もつかず、自治体も手を出しにくくなります。

結果として、誰も手をつけずに放置され、さらなる老朽化を招くという悪循環に陥ってしまうことも多いでしょう。

第3章 空き家を放置し続けるとどうなる?

空き家を「空いている家」と思って放置すると、思わぬトラブルや費用負担に繋がることもあります。空き家の放置は所有者だけの問題にとどまらず、地域全体の治安や景観に影響を与える社会問題に発展する恐れがあります。

では、放置によって起こりうる代表的な問題を見ていきましょう。

3-1 災害・犯罪リスクが高まる

管理が行き届かない空き家は、雑草の繁茂や構造部の腐食が進行しやすく、害虫の発生や倒壊のリスクが高まるため、周辺住民にとっても危険です。

また、空き家は犯罪の拠点として利用されるリスクから、地域住民の不安感を増幅させる原因となっています。

万が一、火災が発生した場合、発見が遅れて被害が拡大するケースもあるでしょう。

3-2 地域の景観悪化につながる

放置された空き家は見た目も劣化が進み、地域全体の景観を損ないます。

屋根の崩れ、ひび割れた外壁、伸び放題の雑草などが目立つ空き家は、地域のイメージダウンを招きかねません。

空き家1戸の劣化が、周囲の物件価値を下げてしまう可能性も考えられます。

3-3 資産価値が下がる

管理されていない住宅は、資産価値が急激に下がります。売却したくても買い手がつかず、固定資産税の負担だけが残ることになりかねません。

また、空き家が長期間放置されると、内部の設備が劣化したり、カビや腐食が進んだりして、修繕費がかさむため売却価格も下がってしまいます。

売却ができないと、税金だけを払い続ける「負動産」となってしまうでしょう。

3-4 特定空き家や管理不全空き家に指定される

特定空き家や管理不全空き家に指定されると、行政からの指導・命令が入り、ペナルティや強制解体となることもあります。

また、行政からの指導に従わない場合には50万円以下の過料が科せられることもあるため注意しましょう。

思わぬ負担を抑えるためにも、早期の対応が損失を最小限に抑える鍵となります。

3-5 固定資産税がかかり続ける

空き家であっても不動産を所有している限り、固定資産税は毎年発生します。

特定空き家に指定されると、土地の固定資産税評価額に対して軽減措置が適用されなくなり、税額が6倍になるため注意しましょう。

想定以上の税負担がのしかかるリスクを考えると、資産として維持するか手放すことを考えなければなりません。

第4章 空き家問題の対策方法は?

空き家問題に対処するためには、個人や地域の意識改革も必要です。空き家問題を放置するのではなく、資源として有効活用する視点に切り替えることが大切です。

では、代表的な空き家問題の対策方法を解説します。

4-1 空き家を活用する

近年、空き家を民泊やシェアオフィス、福祉施設などに活用するケースが増えています。

例えば、子育て世帯向けのシェアハウスや高齢者向けのコミュニティスペースなど、地域課題と連動した活用方法が注目されています。

空き家の特性や立地に応じて、地域ニーズに合った用途へ活用することで、新たな需要を生み出すことができるでしょう。

4-2 見守りサービスを依頼する

遠方に住んでいても、見守りサービスを依頼して定期的な見回りやメンテナンスをすることで、空き家の劣化やリスクを最小限に抑えることができます。

例えば、建物外観の点検やポストの整理、通風作業などを代行してくれます。費用はかかりますが、放置による大きな損失を防ぐ有効な手段となるでしょう。

また、空き家の資産価値を維持する手段としても効果的です。

4-3 国や自治体に寄付する

空き家の所有を放棄したい場合、自治体に寄付する制度も一部で設けられています。ただし、受け入れには条件があり、事前の確認が必要です。

立地や状態によっては、自治体側で受け取りを拒否することも珍しくありません。譲渡前には解体や整地が求められる場合もあるため、事前に準備や相談を行いましょう。

4-4 空き家バンクに登録する

自治体が運営する「空き家バンク」に登録することで、買い手や借り手を見つける機会が広がります。空き家バンクとは、空き家または空き地のマッチングシステムです。

空き家を借りたい・買いたい方をマッチングさせるため、空き家バンクを通じて地域再生の一助となる活用事例も増えています。

自治体によっては、補助金制度やリフォーム支援などを利用することも可能です。

4-5 空き家を売却する

不動産会社に依頼して早めに売却することで、固定資産税などの負担を軽減できます。状態が良い場合は、高値での取引も期待できるでしょう。

売却する際は、地元に精通した不動産会社に相談することがおすすめです。適切な価格設定や販売戦略を立てられるため、築年数が古くても売却できる可能性があります。

第5章 空き家を増やさないために個人ができること

空き家問題の解決には、一人ひとりの意識と行動が重要です。

空き家を「手入れできないから放置せざるを得ない」と考えず、早い段階からの予防と対策を講じることで、空き家の発生を抑えることが可能です。

では、空き家を増やさないために個人ができることを紹介します。

5-1 相続前に家族と話し合っておく

親が高齢になる前に、実家の今後について家族と話し合っておきましょう。誰が相続するか、どう管理するかを明確にしておくとトラブルを避けられます。

相続が発生してから話し合いを始めると、感情的な衝突や判断の遅れが生じやすくなります。あらかじめ家族全員で意見を共有し、エンディングノートや遺言書などに記録しておいて、将来のトラブルを防ぎましょう。

相続予定の不動産が空き家にならないよう、事前に準備を行うことが大切です。

5-2 相続した家を早めに整理・手入れする

相続後すぐに手入れや活用を始めることで、空き家化を防げます。住む意思がないなら、売却や賃貸など早めの判断が大切です。

多くの空き家は「そのうち考える」などの先延ばしによって発生します。

相続した家にすぐ住まない場合でも、近隣へのあいさつや簡単なメンテナンスから始め、状態を維持できるように意識しましょう。

家の価値が下がる前に行動を起こすことで、結果的に手間や費用を抑えることができます。

5-3 使わないなら手放すことを検討する

もったいないからと「とりあえず持っておく」は危険です。使う予定がないなら、負担が大きくなる前に手放す選択肢を検討しましょう。

空き家は、所有しているだけで維持費や税金が発生し、家屋の老朽化も進んでしまいます。

売却や寄付、賃貸への転用など、活用できる道を探って、空き家としてのリスクを避けましょう。所有にこだわらず、現実的な選択をすることが大切です。

5-4 専門家・自治体の窓口を活用する

空き家対策は一人で抱え込まず、専門の知識を持つ人に相談することが成功のポイントです。専門家や自治体の相談窓口を活用することで、適切な対応が可能になります。

また、自治体以外にも不動産会社や司法書士などの専門職とも連携して問題解決を図りましょう。多くの場合、空き家相談窓口や無料相談会などが設けられており、利用することで的確なアドバイスが受けられます。

「住まいの賢者」では、司法書士法人と連携し、土地の価格調査から相続登記、相続税申告サポート、不動産売却のご相談まで一括でサポートしています。

空き家の売却を考えている方は、お気軽に無料相談をご利用ください。

まとめ:空き家問題は社会の問題だけではない!

空き家問題は、行政や自治体だけが抱える課題ではありません。

個人の意識と行動次第で、空き家の発生を未然に防ぐことができます。空き家を放置するのではなく、私たち一人ひとりができることを実践することで、未来の街づくりや安心・安全な暮らしにつながるでしょう。

大切な資産を次の世代へと受け継ぐためにも、空き家問題と真剣に向き合いましょう。

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この記事の執筆者

杉田 悟(すぎた さとる)

杉田 悟(すぎた さとる)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/管理業務主任者/競売不動産取引主任士

長年の実務経験を持ち、特に相続や不動産登記に関する専門性が高い。一般の方にも分かりやすく、正確な情報提供をモットーとしている。

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