空き家を賃貸で活用するには?契約の流れとメリットデメリットを解説

空き家を賃貸で活用するには?契約の流れとメリットデメリットを解説
執筆者: 杉田悟

はじめに

空き家は全国で年々増え続けており、高齢化が進む日本において社会問題となっています。総務省の「令和5年 住宅・土地統計調査」によると、2023年時点では約900万を超えており、今後も空き家が増加すると予想されるでしょう。

近年では、増え続ける空き家をただ放置するのではなく、賃貸として活用する動きが注目されています。賃貸にすることで、毎月安定した収入を得られる可能性があるため、空き家を有効に使うチャンスといえるでしょう。

本記事では、空き家を賃貸で活用する方法と、賃貸に出すまでの流れを解説します。空き家をどう活用すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

第1章 空き家を賃貸にする選択肢が注目されている理由

近年、若者や移住希望者、起業家などの間で空き家を活用する意識が高まっており、賃貸活用の可能性は広がりつつあります。

賃貸として活用することで空き家問題の解決策にもなり得るため、空き家が負の遺産ではなく、地域の資産として生まれ変わる可能性があるでしょう。

では、具体的にどのような理由で空き家を賃貸にする選択肢が注目されているのか見ていきましょう。

1-1 空き家の放置リスクが深刻化しているから

空き家をそのまま放置していると、倒壊や不法侵入、火災などのリスクが高まります。

2015年に施行された「空家等対策特別措置法」で管理が行き届いていない空き家に対し、自治体が指導・勧告できるようになりました。

その後、空き家問題を解決する取り組みとして、2023年に「改正空家等対策特別特措法」が公布され、空き家の用途変更や建て替えなど活用拡大を促進できるようになりました。

現在は、国全体で空き家を活用することを推進しており、空き家を賃貸に出すことは地域社会に対する責任としても有効な選択といえるでしょう。

1-2 移住者支援・地域活性化につながるから

地方自治体が運営する「空き家バンク」や移住促進制度によって、都市部から地方への移住を検討する方が増加傾向にあります。

空き家を活用した移住支援プロジェクトを行い、行政と民間が連携するケースも多く、空き家を通じて起業や子育て環境の整備、地域コミュニティの醸成に寄与するケースも見られます。

移住希望者の受け皿となり、地域の人口減少対策や経済活性化につながることが期待できるでしょう。

1-3 売れない物件でも貸すことで活用できるから

売却が難しい空き家でも、賃貸物件で収益を生み出すことが可能です。

空き家バンクや移住支援制度と連携すれば、賃貸ニーズを拾いやすくなり、物件の認知度も上がります。売るか貸すかを迷っている場合でも、まずは賃貸の選択肢を試すことで、次のステップが見えてくることも多いでしょう。

まずは賃貸として活かし、出口戦略を視野に入れた運用をすることがポイントです。

第2章 空き家を賃貸にして活用できるケース

すべての空き家が賃貸に向いているわけではありませんが、一定の条件を満たしていれば活用できる可能性があります。

ポイントは、借り手がつくかどうかです。需要があるエリアや物件であれば、賃貸で活用する価値があるでしょう。逆に需要がなければ、思い切って売却を検討するのも一つの手です。

空き家バンクなどを活用すれば、地域でどのようなニーズがあるのかが見えてきます。物件の特徴に応じて、賃貸活用の可能性を広げましょう。

では、空き家を賃貸にして活用できるケースを解説します。

2-1 ゲストハウスや店舗に活用する

観光地や商店街近くの空き家は、ゲストハウスや小規模店舗としての活用に向いています。

古民家風の建物はインバウンド観光にも人気で、リノベーション次第で高い集客力を発揮するでしょう。特に、近年は地域の特性を活かしたユニークな宿泊施設や、地産地消の飲食店、クラフト雑貨を扱うショップなど、空き家を拠点とした新規事業が増えています。

地域住民のコミュニティスペースとしての活用もあり、空き家の社会的価値を高める使い方といえます。

2-2 戸建て賃貸に活用する

家族向けの戸建て賃貸は、郊外や子育て世代が多い地域でニーズがあります。

マンションではなく庭付き一戸建てに住みたい家族層に訴求できるため、賃貸市場でも一定の需要があるでしょう。室内の清掃や修繕は必要ですが、元々住宅だった物件なら再利用しやすく、比較的スムーズに貸し出すことができます。

ニーズのある地域を見極め、訴求ポイントを明確に打ち出すことが成功の鍵です。

第3章 空き家を賃貸に出す際の流れ

空き家を賃貸として運用するには、順を追って進める必要があります。準備不足のまま貸し出してしまうと、思わぬトラブルや追加費用が発生する可能性があるので注意しましょう。

では、実際に空き家を賃貸に出すための7つのステップを解説します。

STEP① インフラの確認

まず初めに確認すべきは、インフラが正常に使えるかどうかです。

電気・ガス・水道が止まっていないか、あるいは老朽化で使用不能になっていないか、現地で確かめましょう。特に古い物件では、水道管や電気配線に不具合が生じているケースがあるため、専門業者による点検・修理が必要になることもあります。

インフラの状態は借主の生活に直結するため、最優先で整備しましょう。

STEP② 物件の劣化状況の確認

インフラに続いて、建物自体の劣化状態をチェックします。

外壁や屋根の破損、床のきしみ、シロアリの被害などがある場合は、早めに修繕しましょう。また、築年数が古い物件は耐震性にも注意が必要です。耐震診断を受けて、安心して貸し出す準備を整えましょう。

リフォームの範囲によっては補助金が使えるケースもあるため、自治体の制度を確認して進めることがおすすめです。

STEP③ 加入保険の確認

火災保険や地震保険の内容を見直し、空き家を賃貸に出す場合に適した保険に切り替えましょう。賃貸用住宅に適用される保険では、入居者とのトラブルや修理費用などもカバーされるものがあります。

保険の適用範囲や補償内容を確認し、不足があれば必要な特約を追加することで、万が一のリスクに備えることができます。

STEP④ ハウスクリーニング

借主にとって物件の第一印象は非常に重要です。

空き家で長期間放置されていた場合は、ホコリやカビ、虫の死骸などが残っていることも多く、プロのハウスクリーニングを依頼することが望ましいです。

室内を清潔に整えることで、内見時の印象が格段に良くなり、成約率アップにもつながります。必要に応じて畳の交換やクロスの貼り替えも検討しましょう。

STEP⑤ 賃貸管理会社に依頼

空き家を個人で管理するのは手間とリスクを伴います。

そこで、入居者募集や契約、トラブル対応などを代行してくれる賃貸管理会社への依頼がおすすめです。管理委託料は発生しますが、専門家に任せることでトラブルを未然に防ぎ、安定した賃貸経営が可能になります。

また、入居者の選定や家賃回収といった業務もスムーズに進みます。

STEP⑥ 契約方法の決定

賃貸契約には「普通借家契約」「定期借家契約」の2種類があります。

普通借家契約は契約期間を1年以上に設定し、自動で更新される賃貸契約です。借主の居住権が強く、長期的な入居に向いています。

一方、定期借家契約は契約期間があらかじめ定められた賃貸契約で、原則として契約期間満了で終了する契約形態です。契約の更新はなく、再度住み続けるには貸主・借主双方の合意による再契約が必要になります。将来的に物件を売却したり、自ら使いたいと考えている場合に柔軟性が持てる点がメリットです。

物件の活用計画に合わせて、適切な契約方式を選びましょう。

STEP⑦ 賃貸借契約の締結

すべての準備が整ったら、いよいよ賃貸借契約の締結です。

契約内容には、家賃や敷金・礼金、契約期間、原状回復の範囲など、細かな取り決めを明記します。重要事項説明書の作成や入居者審査も必要です。

不動産会社に仲介を依頼すれば、業務を一括で任せることができるため、手続きの不備を避けることができます。

第4章 空き家を賃貸に出す側のメリット・デメリット

空き家を賃貸に出すことは、放置によるリスクを回避できるだけではなく、収益化や資産管理の最適化にもつながります。しかし、一定のコストやリスクも伴うため注意が必要です。

では、オーナー側から見たメリットとデメリットを解説します。

4-1 【メリット】維持管理の手間を軽減して収益化が狙える

空き家を賃貸に出す最大のメリットは、空き家を収益物件として活用できることです。

空き家を放置すると維持費がかかりますが、賃貸として活用すれば毎月安定した収入を得られる可能性があります。また、入居者が住むことで換気や清掃が行われ、自然劣化を防ぐ効果もあります。

管理を管理会社に委託すれば、自身の手間も大幅に軽減でき、離れた場所に住んでいるオーナーでも安心して運用が可能です。

4-2 【デメリット】修繕費の先行投資が必要

空き家を賃貸に出すには、ある程度の初期投資が避けられません。

特に老朽化が進んだ物件では、安全に暮らせる状態にするための修繕やリフォームが必要
で、耐震補強、屋根・外壁、水回りの改修などに多額の費用がかかることがあります。

ただし、高額な費用をかけてリフォームしても、立地や需要によっては借り手が現れない可能性もあるため、費用を回収できず赤字になるリスクも考慮する必要があります。

賃貸開始後も、入居者対応や定期点検、トラブル対応など一定の手間がかかり「放っておいても家賃収入が入る」というわけではありません。

事前に費用対効果をシミュレーションし、長期的な運用プランを立てることが、賃貸経営の成功につながります。

第5章 空き家を借りる側のメリット・デメリット

空き家を借りる選択肢は、一般の賃貸物件にはないメリットがある一方、物件によってはデメリットも存在します。

では、借主側から見たメリットとデメリットを解説します。

5-1 【メリット】好条件の物件が安く借りられる

空き家は通常の賃貸よりも家賃が低めに設定されていることが多く、広い間取りや庭付きの住宅にリーズナブルな価格で住める可能性があります。

特に、地方の物件では土地や建物のゆとりがあるため、家族連れや在宅ワークをする方にとっては理想的な住環境が整っています。

また、リノベーションやDIYが許可されているケースも多く、自分の好みに合わせて住まいをカスタマイズできる点も魅力です。

5-2 【デメリット】老朽化や設備の不備が気になる場合がある

空き家自体の築年数が古く、設備や建材が現代の水準に合っていないことも珍しくありません。断熱性が低かったり、耐震性に不安があったり、水回りの老朽化が進んでいたりと、日常生活に支障をきたす恐れもあります。

また、所有者側のメンテナンス意識や対応スピードによっては、入居後のトラブル対応に不安を感じることもあるでしょう。

契約前には内見を十分に行い、気になる点は事前に確認しておくことが重要です。

まとめ:空き家は賃貸で活用できる!空き家の出口戦略を考えよう

空き家を賃貸として活用することで、放置リスクを減らすとともに、資産価値を保ちながら収益化を狙えます。念入りに準備をすれば、借り手とのトラブルも回避でき、長期的に安定した賃貸運用が可能となるでしょう。

同時に、物件の立地や状態によっては、売却の選択肢も現実的です。管理ができない場合やリフォームに投資できない場合は売却を視野に入れて動くとよいでしょう。

放置せずに動き出すことが、空き家を価値ある資産へと変える第一歩になります。

「住まいの賢者」では、司法書士法人と連携し、不動産の活用や売却手続きに関する無料相談を承っています。空き家の活用方法に悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事の執筆者

杉田 悟(すぎた さとる)

杉田 悟(すぎた さとる)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/管理業務主任者/競売不動産取引主任士

長年の実務経験を持ち、特に相続や不動産登記に関する専門性が高い。一般の方にも分かりやすく、正確な情報提供をモットーとしている。

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