目次
はじめに
自身の両親など、家族が亡くなった際、故人が所有していた土地を相続することは珍しくありません。
故人と相続人が離れて暮らしていた場合、故人が住んでいた田舎の土地の活用が難しく、売却を検討される方が多い実態があります。
しかし、田舎の土地は、都市部の土地と比べて売却しづらく、売る際のポイントや流れを把握していないと、売却活動に苦戦しがちです。
この記事では、田舎の土地を売却するときのポイント、土地売却の流れや注意点について解説します。
第1章 田舎の土地が売却しにくい理由
田舎の土地は、都会に比べ、売却しにくいことが多くあります。その主な理由は、以下の通りです。
- 田舎の土地需要の低下
- 周辺環境の利便性が低い
- 周辺地域の土地価格の低下
田舎地域は、都市部と比べると利便性が低く、人口も減っていることから、土地の需要が減っている傾向が顕れています。
このことから、田舎の土地を売却する際は、売却に向けたポイントを押さえて、不動産会社等と連携していくのが重要と言えます。
第2章 田舎の土地を売却する際のポイント
2-1 売却価格を適切に設定する
田舎の土地を売却する際は、価格設定を適切に設定することが重要となります。
例えば、周辺相場が500万円程度の地域で、土地の売り出し価格を800万円に設定したとしても、スムーズに売れる可能性は極めて低くなります。
土地の売却を希望する際は、周辺地域の相場を参考に、適切な売り出し価格を設定することを推奨します。
2-2 一般媒介で仲介契約を結ぶ
田舎の土地を売却する際、不動産会社と一般媒介で仲介契約を結ぶことで、スムーズに売却活動が進む可能性が高まります。
一般媒介契約は、不動産会社と不動産の所有者との間で交わす媒介契約の類型のひとつです。
一般媒介契約の特徴として、複数の不動産会社と同時に契約できる点が挙げられます。また、自分で購入希望者を見つけた場合は、不動産会社を通さずにその人に売ることもできます。
複数の不動産会社と契約したり、自身で購入希望者を探したりできる分、多くの購入希望者にアプローチ出来ることから、田舎の土地の売却先を見つけやすくなります。
2-3 空き家バンクに登録する
田舎の土地の売却が見込めない場合、空き家バンクに登録することも検討しましょう。
空き家バンクとは、地方自治体が運営する、空き家を売りたい人と、買いたい人をマッチングするシステムです。自治体が空き家情報を公開し、移住・定住を希望する人々に情報を提供し、空き家を埋めていくことを目的としています。
情報の掲載は無料で出来ることが多いため、費用をかけずに購入希望者を見つけられる可能性がある点がメリットです。
ただし、空き家バンクは、土地だけでの登録が原則としてできず、建物も残っている必要があります。
また、地方自治体ごとに、掲載の基準や申請の流れが異なるため、空き家バンクの利用を検討される際は、事前に自治体の担当者にご相談ください。
2-4 土地の隣地所有者に売却できないか相談する
田舎の土地を売却する際、隣地の所有者に売買交渉を持ち掛けることも有効な手段の1つです。
土地の状況にもよりますが、隣地の所有者が土地を購入することで、以下のようなメリットがあります。
- 自身の敷地を拡大できる
- 資産価値の向上につながる可能性がある
例えば、隣地が接道義務を満たしていない土地の場合、売却希望の土地と合わせることで、接道義務を満たし、資産価値の向上につながる可能性があります。
このように、隣地の所有者にメリットのある交渉が出来れば、売却できるかもしれません。
ただし、土地の売買には多額の費用が必要となる傾向にあります。どんな隣地の所有者に対しても使える交渉術ではないことはご承知おきください。
2-5 不動産会社に現地調査を依頼する
田舎の土地を売却する際は、不動産会社に現地調査を依頼することを推奨します。
現地調査とは、不動産会社の担当者が、当該土地に訪問し、書面上の情報だけでは分からない、土地の状態や周辺環境等を詳細に確認する作業です。
現地調査をすることで、土地の状況が詳細に分かるため、トラブル発生リスクを低減できます。
特に、相続人が当該土地にあまり行ったことがない場合、現地調査を通して、現況を確認することは重要と言えます。
2-6 建物が建っている場合は取り壊しておく
相続した土地に建物が建っている場合、取り壊しておくことで、売却しやすくなります。
田舎の土地に建っている建物は、建築されてから年月が経っているものが多く、そのままでは買い手がつかないケースが少なからずあります。
売却活動を開始する前に、建物を取り壊して更地にしておけば、土地利用の幅が広がります。このことから、購入希望者が見つかりやすくなります。
2-7 自治体に買い取ってもらえないか相談する
田舎の土地を売却する際、自治体に買い取り相談を持ち掛けることもできます。
自治体が個人の土地を購入する事例は多くありませんが、当該土地に公共性・公益性が認められる場合に、買い取ってもらえることがあります。
例えば、自治体が学校などの公共施設建設を検討している場合、その建設予定地として活用できる見込みがあれば、買取に応じてもらえる可能性があります。
自治体への買取依頼を検討する際は、自治体の事業計画を確認したうえで、各担当者に相談されることを推奨します。
第3章 田舎の土地を売却する流れ・期間
3-1 田舎の土地を売却する流れ
田舎の土地を売却する際、一般に、以下の流れで動いていくことになります。
- 相続手続きを完了させる
- 不動産会社に査定依頼する
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 購入希望者が見つかり次第、価格交渉をし、売買契約を締結する
なお、土地の売買は、個人間でも完了できますが、様々なトラブルが発生するリスクが高まるため、原則はおすすめできません。
3-2 田舎の土地売却にかかる期間の目安
田舎の土地の売却には、準備、販売活動、契約、引き渡しまで含めると、平均して約6ヶ月から1年以上かかるのが一般的です。
田舎の土地は、都市部と比べて需要が少ないため、売買成立までに時間がかかることは少なくありません。
このことから、売却を急ぎすぎず、余裕を持ったスケジュールの設定が必要と言えます。
第4章 田舎の土地を売却したときにかかる税金
4-1 譲渡所得税・住民税
不動産の売却が完了すると、譲渡所得が発生するケースがあります。譲渡所得税・住民税は、この譲渡所得によって、支払う額が変わります。
譲渡所得は、土地・建物を含む、特定の資産を譲渡したとき、利益が出た場合に計算する所得です。譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
- 収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 譲渡所得金額
このうち、特別控除額は、売却する不動産の用途や年数によって変わるため、特に確認が必要です。また、適用できないケースもある点にご注意ください。譲渡所得の具体的な計算について、以下のケースを例にみてみましょう。
- 不動産の取得費:800万円(手数料含む)
- 売却額:1,500万円
- 売却時の諸経費:300万円
- 特別控除額の適用はなし
この場合、譲渡所得金額は、以下の通りに計算できます。
- 1,500万円 -(800万円 + 300万円)= 400万円
上記の条件では、400万円が譲渡所得となります。この400万円をもとに、譲渡所得税・住民税の計算がされます。
なお、相続で取得した不動産については、不動産の取得費が安価となる傾向にあります。相続不動産の場合は、取得費がわからないことが多く、その場合は売却代金の5%が取得費とみなされるためです。
最終的な譲渡所得税・住民税がどの程度になるか把握しておきたい方は、事前に税理士等にご相談ください。
4-2 登録免許税
登録免許税は、不動産の登記手続きをする際、国に納める税金です。登録免許税の計算式は、所有権移転の方法によって変わります。
相続によって不動産を取得した際の登録免許税は、「不動産評価額×0.4%」と定められています。例えば、不動産評価額2,000万円の建物・土地の登録免許税は8万円です。
一方、売買によって不動産を取得した際の登録免許税は、「不動産評価額×2%」となっています。不動産評価額2,000万円の建物・土地を贈与によって取得した場合の登録免許税は40万円です。
なお、一般的には、不動産を取得する人が、登録免許税を納付することになります。
4-3 不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したときに、取得者に対して課される、都道府県に納める税金です。
居住用の不動産を取得した際は、以下の計算式で不動産取得税が計算されます。
- 建物部分:固定資産税評価額×3%
- 土地部分:固定資産税評価額×50%×3%
なお、一般的に不動産取得税は、不動産の売買をした際に、買主が納付します。相続により取得した不動産については、取得税が発生しないケースが多くなります。
また、一定の条件を満たす不動産を取得する際、軽減措置が適用されることがあります。節税につながるポイントのため、取得予定の物件にどの程度軽減措置が適用されるか気になる方は、税理士等の専門家にご相談ください。
4-4 印紙税
不動産を売却する契約を結ぶ際、印紙税が発生します。印紙税は、「売買契約書」を交わしたタイミングで支払います。
2025年10月現在、不動産を売る際の印紙税は、軽減税率が適用されており、下表の通りに定められています。
| 契約金額 | 印紙税 |
|---|---|
| 10万円を超え50万円以下のもの | 200円 |
| 50万円を超え100万円以下のもの | 500円 |
| 100万円を超え 500万円以下のもの | 1千円 |
| 500万円を超え1千万円以下のもの | 5千円 |
| 1千万円を超え5千万円以下のもの | 1万円 |
| 5千万円を超え 1億円以下のもの | 3万円 |
| 1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 |
| 5億円を超え10億円以下のもの | 16万円 |
| 10億円を超え50億円以下のもの | 32万円 |
| 50億円を超えるもの | 48万円 |
不動産の売却額によって、印紙税の額は変わるため、自分の契約だとどの程度になるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
第5章 田舎の土地が売れないときの対処法
5-1 相続放棄する
売れる見込みの薄い田舎の土地を相続したくない場合、相続放棄することを検討すべきと言えます。
相続放棄とは、相続発生の際に相続財産となる資産や負債などの権利や義務の一切を引き継がず放棄することです。
通常、財産を相続する際は、現金のようなプラスの財産だけでなく、借金のようなマイナスの財産も合わせて、すべてを引き継ぎます。
これに対し、相続放棄は、すべての財産を放棄することになります。これにより、田舎の土地の相続もなくなります。
なお、相続放棄をする際は、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄する旨の申述が必要となります。
また、相続放棄には、「自分が相続人となったと知った時から3か月以内に相続放棄の手続きを行う」期限が設定されています。この期間を超えると、相続放棄が出来なくなるため、出来るだけ早く準備されることを推奨します。
5-2 田舎の土地活用を検討する
田舎の土地の相続放棄・売却が現実的で無い場合、土地活用も検討すべきです。
売却しづらい田舎の土地であっても、以下のような活用方法を検討できます。
- 太陽光発電用地として活用する
- 老人ホームを建築する
- 有料駐車場として活用する
ただし、田舎の土地の状況ごとに、どの活用方法が適しているかは異なります。周辺の需要に合わない活用方法を選ぶと、結果的に損をしてしまう可能性は十分にあります。
そのため、田舎の土地活用を検討する際は、事前に専門家に対して入念に相談されておくことを強く推奨します
5-3 贈与・寄付する
田舎の土地の売却が見込めない場合、自治体や個人に対して、贈与・寄付することで手放せるかもしれません。
例えば、土地が所在する地域に、自分や家族の知り合いが住んでいる場合、先方との合意があれば、その人に土地を贈与できます。
この際、贈与契約書を作成しておけば、後々のトラブル発生リスクを軽減できます。
贈与できる個人がいない場合でも、自治体に寄付できる可能性があります。
しかし、自治体はどんな土地でも寄付を受ける訳ではありません。主に、「当該土地に公共性や公益性が認められる」場合に寄付が認められる傾向にあります。
贈与・寄付については、どんな土地でも出来る訳ではないため、事前の調査・相手方への相談が重要と言えます。
5-4 相続土地国庫帰属制度を利用する
売却が見込めない田舎の土地で、相続放棄や土地活用などが難しい場合は、相続土地国庫帰属制度を利用するのも有効な手段の1つです。
相続土地国庫帰属制度は、相続等によって土地を取得した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を国家に引き渡すことができる制度です。
同制度の要件は、以下の通りに定められています。
- 相続や遺贈(遺言による贈与)によって土地を取得したこと
- 一定の負担金を納付すること
- 国が定める基準に適合すること
相続土地国庫帰属制度は、以下の2種類の費用が発生します。
- 審査手数料14,000円(土地一筆あたり)
- 負担金20万円 ※一部の農地や森林は面積に応じて算定
審査手数料は、制度利用を進めるにあたって必ず発生します。審査のうえで、「審査基準に適合する」と判断された場合は、負担金を支払う必要があります。
仮に、山奥などの、売却や土地活用が現実的でない土地を相続した場合、税金等の経費を払うだけの負債になってしまう可能性は十分にあります。
相続土地国庫帰属制度は、審査基準さえクリアすれば、活用が難しい土地であっても、確実に手放せるため、必ず田舎の土地を手放したい方に有効な手段と言えます。
ただし、相続土地国庫帰属制度は、土地のみを対象とした制度のため、建物が残っている状態だと利用が出来ない点はご注意ください。
第6章 田舎の土地を売却するときの注意点
6-1 売却前に相続登記を済ませておく
田舎の土地を売却する際は、売却前に相続登記を済ませておく必要があります。
相続登記は、不動産の所有者が亡くなった後に、その不動産の所有権登記を相続人に移転する手続きです。
相続登記は、2024年4月以降、「相続により不動産の所有権を取得したと知った日から3年以内」に完了させなければならないと定められています。正当な理由なく、この期間を過ぎてしまうと、10万円以下の過料を科されることもあるため、十分にご注意ください。
相続登記の手続きは、司法書士等の専門家に依頼できるため、スムーズに手続きを進めたい方はご検討ください。
6-2 農地を売却する際には農地法の制限を受ける
相続した田舎の土地が農地に指定されている場合、通常の不動産会社では売買ができない可能性が高くなっています。
農地は、農地法による規定で、「地目が農地のまま購入できるのは、農業委員会に許可を受けた農家のみ」と定められています。これから農業をしたい人に売ることもすぐには出来ないため、農地の売却は非常に難しいと言えます。
農地を売却するには、農地法に基づき、農業委員会・都道府県知事(指定された自治体の長)の両者から許可を取る必要があります。特に、農業委員会に事前に相談することが多くの事例で必要となります。
農地を売却する際は、農地のまま売却するか、農地以外の地目にして売却するかを選択できます。後者の手段を、「農地転用」と呼びます。農地転用をする場合も、農業委員会の許可を必要とします。
一般に、農業をしない場合は、農地転用したほうが土地を売りやすくなります。
ただし、相続した土地が以下に該当する場合、農地転用は出来ない可能性が高くなります。
- 農用地区域内農地
- 甲種農地
- 第一種農地
相続した土地が上記に該当するかどうかについては、農業委員会に確認されることを推奨します。上記に該当していた場合でも、農業委員会が農地売却の斡旋をしてくれる可能性はあるため、自身の意向も含め、安心してご相談ください。
まとめ:田舎の土地売却についてお気軽にご相談ください
この記事では、田舎の土地を売却する際のポイント、手続きの流れや注意点について解説しました。
田舎の土地の売却は、田舎の土地は、状況次第ではほとんど売れないことも十分に想定されます。売るための行動も、どれが最善なのか判断しづらく、難しい問題と言えます。
「住まいの賢者」では、賃貸不動産の相続に強い司法書士や弁護士と連携し、田舎の土地売却に関する相談を受け付けています。田舎の土地売却について相談事項がある際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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