目次
はじめに
不動産を相続した際、故人が亡くなった際の状況によっては、その不動産が「事故物件」として扱われることがあります。
一般的に、事故物件とは、「心理的瑕疵」がある物件を指します。具体的には、過去にその物件内や周辺で、殺人・自殺・孤独死といった人の死に関する出来事が生じた物件がこれに該当します。
事故物件の定義は、法的に定められておらず、個々の事情を鑑みて、不動産会社等がケースバイケースで判断しています。
相続した不動産が、いわゆる「事故物件」だった場合、その取り扱いに悩まれる方は少なくありません。
事故物件は、過去に起きた出来事への心理的な抵抗から、通常の不動産と比べて、個人の買い手を見つけるのが難しい傾向にあります。
実際に、事故物件を相続した方から、売却等がスムーズに進まない旨の相談を受けることは少なくありません。
事故物件の買い手が見つからない際に、有力な選択肢となるのが、不動産会社による買取です。
この記事では、事故物件を不動産会社に買取してもらう際のメリット・デメリットについて解説します。そのうえで、不動産会社の選び方や、買取を依頼する際の注意点についても触れていきます。
第1章 買い手が見つからない事故物件は不動産会社の買取も検討すべき
導入部でも述べた通り、事故物件を売却しようとしても、買い手が見つからないことは珍しくありません。
仮に、故人の死因が自然死や病死などの事件性がないものであったとしても、「人がその物件で亡くなった」と知られている物件は、前向きに購入を検討する人はなかなかいないためです。
事故物件の売却活動がスムーズに進まず、出来るだけ早く売りたい場合は、不動産会社の買取を検討すべきです。
もちろん、すべての不動産会社が事故物件の買取に対応しているわけではありません。しかし、専門のノウハウを持つ会社を見つけることができれば、仲介で個人の買い手を探すよりも、早く物件を手放せる可能性が高くなります。
第2章 事故物件を不動産会社に買取してもらうメリット
2-1 仲介より早く売却できることが多い
事故物件を不動産会社に買取してもらう場合、仲介よりも早く売却できる可能性が高まります。
一般的に、不動産を仲介により売却する際は、契約成立までに3〜6か月程度の時間がかかることが多くあります。
ただし、事故物件の場合は、購入希望者たちが嫌悪感を抱きやすく、さらに長い期間を要さないと、売却できないケースは珍しくありません。中には、売り出しから1年以上経っても、売れない物件もあります。
不動産買取であれば、不動産会社が提示した査定額に売主が合意すれば契約が進むため、短期間での売却が実現します。個人の買主の都合に左右されないこのスピード感は、買取の大きなメリットと言えるでしょう。
2-2 仲介手数料がかからない場合がある
相続した事故物件を買取してもらう場合、原則として仲介手数料は発生しません。
仲介手数料は、不動産会社が、売主と購入希望者を仲介する際に受け取る手数料です。一般に、以下の計算式・金額のいずれかにより仲介手数料が決定します。
- 800万円以上の不動産:不動産の価格×3%+6万円(税別)
- 800万円以下の不動産:30万円(税別)
例えば、2,000万円の不動産の仲介手数料は、以下の通りに計算されます。
- 2,000万円×3%+6万円=66万円(税別)
上記の通り、66万円+税の仲介手数料を支払う必要があるため、大きな負担となりがちです。
事故物件を買取してもらう場合、不動産会社が直接の買主となります。そのため、売買を「仲介」する存在がおらず、成功報酬である仲介手数料は、発生しなくなります。
2-3 買取後に売主が契約不適合責任を問われることはない
事故物件を不動産会社に買取してもらった場合、買取後に売主が契約不適合責任を問われることはほぼありません。
契約不適合責任とは、引き渡した不動産の品質・数量に関して、契約内容と異なっていた際に、売主が負う責任を指します。売主は、この責任に基づいて約束通りの物件を引き渡す義務を負います。
例えば、事故物件に該当するにも関わらず、それを意図的に伏せていた場合は、契約不適合責任に該当します。
また、口頭で「この物件は事故物件である」と伝えていたとしても、個人の買主がそのことを失念していた場合、口頭での伝達を証明できず、契約不適合責任を問われる可能性があります。
不動産買取で事故物件を売却した場合、多くのケースで、売主の契約不適合責任が免責されます。
買取後の再販における責任は、物件を買い取った不動産会社が負うのが一般的です。そのため、売主は将来的なトラブルから解放されるという精神的な安心感も得られるでしょう。
2-4 お祓いをしてもらえる場合もある
不動産会社が事故物件を買取する場合、お祓いをしてもらえる場合があります。
もちろん、お祓いをしたからといって、事故物件でなくなる訳ではありません。これは、法的な義務ではなく、あくまでも売主や、購入希望者の心理的な負担を軽減するためのものです。
不動産会社が実施するお祓いは、供養やお清めを通して、物件のマイナスイメージを少しでも和らげ、再販しやすくするという目的があります。
なお、お祓いは、すべての会社が対応しているわけではなく、査定額が上がるものではありません。
それでも、「相続人として、物件について気持ちの整理をつけたい」「物件の印象を少しでも良くしたい」と考える方にとっては、お祓いに対応している不動産会社に買取してもらうことは、メリットとなり得るでしょう。
第3章 事故物件を不動産会社に買取してもらうデメリット
3-1 仲介より売却代金が低くなりやすい
不動産買取では、多くのケースで仲介による売却よりも安い価格で買い取られる傾向にあります。
これは、不動産会社が確実に利益を出すために、相場よりも低い価格で買い取る必要があるためです。
不動産買取の場合、具体的な買取額は不動産会社によって異なりますが、おおむね周辺相場の7〜8割程度となることが多いようです。
それに加え、事故物件の場合は、買い手が限定されることから再販の難易度が高く、広告費や値下げのリスクも考慮されるため、その買取価格は、通常の物件よりもさらに低く提示される可能性があります。
この、仲介による売却よりも安価な価格で手放す可能性が高まる点が、買取を選択する上でのデメリットの1つと言えるでしょう。
3-2 悪徳業者を見抜く必要がある
事故物件の買取においては、悪徳業者の存在にも注意を払う必要があります。
不動産買取業者の中には、売主の立場を下に見て、物件を市場価値よりも低い価格で買い取ろうとする悪徳な事業者も存在します。
特に、事故物件やゴミ屋敷のような、訳アリ物件の買取対応をしている事業者の中に、悪徳業者が多いようです。
悪徳業者に騙されないようにするためにも、事故物件の不動産買取を依頼する際は、複数の不動産会社に査定してもらうことを強く推奨します。
複数の事業者からの相見積もりを通すことで、該当の事故物件の市場価値を掴みやすくなり、適切な価格で売却できる可能性が高まります。
3-3 すべての不動産会社が買取してくれるとは限らない
不動産買取において、事故物件を無条件に買取してくれる会社は多くありません。
これは、不動産会社が、再販のための期間がどの程度かかるかを想定しづらく、買取に応じるメリットが薄いと考えるためです。
特に、大きな事件に関連する事故物件の場合は、買取不可とされる事例もあります。
また、買取に応じたとしても、「長期間の管理を前提とすること」から、査定額よりも高額な管理費用を請求される事例も僅かながらあります。
こうした一般的な不動産会社では対応が難しい事故物件でも、「事故物件買取専門業者」のような、訳アリ物件を専門にしている事業者であれば、買取してもらえる可能性は高まります。
ただし、そうした専門業者の数は限られています。そのため、事故物件の買取を成功させるには、該当の地域に、対応する専門の事業者がどの程度あるかを調べておくことが重要となります。
第4章 事故物件を買取してくれる不動産会社の選び方
4-1 事故物件の買取実績があるか確認する
事故物件の買取を依頼する際は、その不動産会社に事故物件の買取実績が豊富にあるかを、必ず確認しましょう。
3-3でも述べた通り、事故物件の買取に対応している不動産会社の数は限られています。その中でも、実際に多くの事故物件を取り扱い、再販まで成功させてきた会社はさらに少なくなります。
スムーズに不動産買取を進めるためにも、事前に事業者のウェブサイト等で、買取実績を確認しておきましょう。
4-2 口コミサイトや買取事例を確認する
事故物件の買取を検討する際は、口コミサイトや買取事例を確認しておくことも重要となります。
3-2でも述べた通り、事故物件の買取対応をしている不動産会社の中には、悪徳な事業者もあります。
買取依頼を検討する際、口コミサイト等を通した評判の確認は、悪徳な業者への依頼を避けることに繋がります。
また、事故物件の買取に長けている事業者の場合、ウェブサイト上で買取事例を大々的にアピールしていることが少なからずあります。この際、自分が相続した事故物件に近い条件の買取事例があれば、安心して買取を依頼できます。
また、事業者のウェブサイトで公開されている情報だけでなく、査定を依頼した担当者に、直接具体的な取扱件数や過去の事例について質問してみるのも有効な手段です。誠実な会社であれば、可能な範囲で回答してくれるでしょう。
このように、公開されている情報と、担当者との対話の両面から相手を見極めることが、信頼できる不動産会社を選び出すためのポイントとなります。
4-3 士業との連携をしているか確認する
事故物件の買取を依頼する際は、弁護士や司法書士等の、各士業との連携をしているかどうかは確認しておくべき点となります。
事故物件は、人の死が関係していること以外にも、様々な法的トラブルが絡む傾向にあります。
例えば、相続関係が複雑で、売主本人も把握していない別の相続人が存在する可能性が判明したケースがこれに該当します。通常の相続でも発生しうる問題ですが、故人が孤独死した場合など、相続に関する準備を十分に出来なかった場合、このような問題が発生するリスクが高まります。
仮に、そうした権利関係の問題をクリアにしないまま売買契約を結んでしまった場合、後から契約そのものが無効になるなど、深刻なトラブルに発展しかねません。
各士業との連携がある業者は、法的なトラブルの原因を発見しやすくなっており、問題を解決したうえで、買取を進めてくれます。
結果的に、スムーズな買取につながるため、可能な限り、弁護士・司法書士等の士業との連携体制が整っている不動産会社に依頼されることを推奨します。
4-4 強引に買取を勧めてこないか確認する
事故物件の買取を依頼する際、強引に買取を勧めてくる事業者については、注意が必要と言えます。
悪徳な不動産買取事業者の特徴の1つに、「買取の成立を必要以上に焦らせて、強引に契約を成立させる」ものがあります。
これは、売主に他の不動産会社へ相談する時間を与えず、相場より安い価格で買い叩くための常套手段の1つです。
本来、優良な事業者であれば、売主が十分に納得してからの契約を望むはずです。もし、担当者から少しでも強引さを感じたり、その場での決断を迫られたりした場合は、焦らずに決断までの時間を空けることが、ご自身の財産を守る上での重要な考え方となります。
第5章 事故物件を買取してもらうときの注意点
5-1 事故物件の状況を正しく伝える
事故物件の買取をしてもらう際は、該当の物件の状況を正しく伝えることが重要であり、主に、以下の要素を伝えておく必要があります。
- 死亡の発生時期と場所
- 死因(自然死・病死か、自殺や他殺かなど)
- 特殊清掃の有無
これらは、事故物件を個人に販売したり、賃貸したりしようとした際に告知すべき内容とほぼ同一となっています。なお、故人の氏名や年齢等は、特別な事情が無い限り、伝えなくても問題ない傾向にあります。
この際、注意すべき点は、「不動産会社に虚偽情報を伝えない」ことです。
事故物件を少しでも高く売ろうとして、実際とは異なる情報を伝えた場合、不動産会社からの信頼の失墜に繋がります。
例えば、故人が自殺した物件を、査定額を上げるために病死と報告したとします。
その後の不動産会社の調査で、虚偽報告が明らかとなった場合、信頼関係は失われ、買取交渉が白紙となる可能性があります。
最悪の場合、不動産会社から、調査にかかった費用などを損害賠償請求をされるかもしれません。
要らぬトラブルを招かないためにも、不動産会社には、把握している事実を正確に伝えることが不可欠と言えます。
5-2 複数業者に見積もり依頼をする
相続した事故物件を買取してもらう際は、複数の不動産会社への査定依頼が重要となってきます。
地域ごとに大まかな不動産の相場観はあるものの、不動産会社ごとに買取金額・不動産の査定金額は変わることは珍しくありません。そのため、特定の1社だけ見積もりを取って売却を決めてしまうと、結果的に損をする可能性が高まります。特に、4-4で触れたような強引な営業を受けた場合は、注意すべきと言えます。
複数の不動産会社の査定額や担当者の対応を比較することで、不当な買い叩きを避け、ご自身が納得できる売却に繋がるでしょう。
まとめ:事故物件を相続した際にはお気軽にご相談ください
この記事では、事故物件を不動産会社に買取依頼をするときのメリット・デメリットについて解説したうえで、不動産会社の選び方や注意点について解説しました。
事故物件の買取は、通常の不動産買取よりも注意すべき点が多く、慎重な判断が必要となります。
特に、法的なトラブルを抱えている物件が多く、適当な業者を選定してしまうと、後に大きな問題に発展するリスクは否定できません。
「住まいの賢者」では、事故物件の相続に強い司法書士と連携し、事故物件の相続・売却に関する相談や依頼を受け付けています。事故物件の相続にまつわるお悩みがある方は、ぜひお気軽にお問い合せください。
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