再建築不可物件を売却する方法|売却相場や売却時の注意点について

再建築不可物件を売却する方法|売却相場や売却時の注意点について
執筆者: 中西孝志

はじめに

家族の逝去等により相続した土地が、再建築不可物件となっている事例は少なくありません。
再建築不可物件は、建て替えやリフォーム等の制限が強くかかっており、一般の不動産よりも売却が難しくなる傾向にあります。
実際、「相続した土地に住む予定が無いから売却したいが、再建築不可物件であることからスムーズに進まず、困っている」という相談は多くあります。

しかし、このような土地であっても、適切な方法を選べば、スムーズな売却や適正な価格での取引も十分に可能です。

この記事では、再建築不可物件の基礎知識や売却相場、具体的な売却方法について解説します。そのうえで、再建築不可物件の売却における注意点についても触れていきます。

第1章 再建築不可物件とは

再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を満たしていないなどの理由により、現在の建物を取り壊した後に、新しく建物の建築ができない土地のことです。
まずは、どのような理由で再建築不可と判断されるのか、なぜ再建築不可物件は売却しにくいのかについて確認していきます。

1-1 土地が再建築不可物件となる理由

再建築不可物件となる主な理由は、以下のようなものが挙げられます。

  • 建築基準法の「接道義務」を満たしていない
  • 構造上の制限により建築が認められない
  • 過去の分筆や都市計画変更によって、現行法令に適合しなくなった

これらは、いずれも現行法の基準において、「建物を建てるための条件」を満たしていないことが要因となっています。

そのため、既に建物が建築されている等、見た目は普通の土地でも、法律上は「建て替え不可」と判断される事例は少なくありません。不動産を売却しようとした際、再建築不可物件であるかどうかは、必ず確認しておくべきと言えるでしょう。

1-2 再建築不可物件の土地の売却が困難な理由

再建築不可物件を売却が困難な理由の一例は、以下の通りです。

  • 新築・建替えができない
  • 日当たりが悪いなど、条件の悪い物件が多い
  • 老朽化している建物が多い
  • 大型車両が通行できない
  • 住宅ローン審査に通りにくい

再建築不可物件の多くは、過去の法律では問題なかったものの、現行法では基準を満たせなくなった古くから存在する物件となっています。
法令面での問題だけでなく、古い物件が多いという点も、再建築不可物件が購入希望者から敬遠される一因となっています。

これらの理由から、再建築不可物件は一般的な物件に比べ、購入希望者を見つけるのが難しく、売買成立までの期間が長期化するケースもあります。

第2章 再建築不可物件の売却相場はいくら?

再建築不可物件の売却相場は、多くのケースで、一般的な土地に比べて30〜50%ほど低くなります。
これは前章で挙げたように「再建築できない」という制約があり、買主にとっての利用価値が限定されるためです。

ただし、立地や周辺環境によって売却相場は変動することがあります。
都市部など土地需要が高い地域では、通常の土地と比べても減額幅は小さくなる一方、需要が少ない田舎などの地域では、さらに価格が下がる傾向があります。

なお、再建築不可物件の売却額については、不動産会社ごとに大きく異なる傾向にあります。中には、「買取不可」と判断する不動産会社もあります。
そのため、まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、相続した不動産の価格相場の把握から始めましょう。

第3章 再建築不可物件を売却する方法

再建築不可物件を売却するには、通常の土地や建物とは違った工夫が必要となります。
この章では、再建築不可物件をより早く・確実に売却するための6つの方法を紹介します。

3-1 不動産買取をしてもらう

再建築不可物件を売却する際、不動産業者に直接買取してもらうことも1つの手段です。

不動産業者の中には、再建築不可物件の活用に長けた事業所も少なからずあります。
中には、再建築不可物件を買い取り、それを有効活用するスキームを確立しているところもあります。

また、個人の不動産購入希望者を探す場合に比べると、不動産業者に買取を依頼するほうが、スムーズに売却が成立する傾向にあります。できるだけ早く土地を売りたい方は、買取業者への依頼をご検討ください。

なお、業者に該当不動産の買取をしてもらう場合は、複数の業者で売却額の見積もりを取ることを強く推奨します。
不動産業者の中には、査定での提示額が相場より低くなるケースもあります。また、1社しか見積もりを取らないと、相場観がわからず、買い叩かれてしまう恐れがあります。これを回避するためにも、売却を検討する土地について、複数の買取業者から見積もりを取ることを心がけましょう。

3-2 隣地に売却・譲渡について相談する

再建築不可物件を売却する際、隣地の所有者へ売却や譲渡の相談を持ちかけるのも有効な方法です。

土地の状況にもよりますが、隣地の所有者が再建築不可物件を取得することで、以下のようなメリットを想定できます。

  • 自身の敷地を拡大できる
  • 再建築可能な土地に変えて、資産価値の向上を期待できる

特に、隣地も同様に再建築不可の状態であるケースでは、隣地買取によって双方の土地を再建築可能な形に改善できる場合があります。結果として、土地全体の資産価値の向上に繋がります。

このように、隣地の所有者から見てメリットがある交渉ができれば、当該物件を処分する際の有効な手段となりえます。

ただし、土地の取得には、登録免許税、不動産取得税、取得する土地の固定資産税など多額の費用がかかるため、どの隣地にも通用する方法とは限りません。

3-3 セットバックをして売却する

土地をセットバックして、接道義務を満たし、再建築可能な物件にできるケースがあります。

セットバックとは、土地と前面道路の境界線を土地側に後退させ、前面道路の幅を広げることです。
セットバックの具体例を以下のケースで確認します。

  • 土地の幅は10m四方の正方形 ※袋地ではない
  • 土地が面する道路の幅が3m
  • 道路の向かい側は川であり、人家はない

この場合、道路に面する境界線を1m後退させることで、道路幅が4mとなり、建築基準法上の接道義務を満たす可能性が出てきます。結果として、再建築不可物件でも再建築許可が得られるケースがあります。
結果的に、セットバック前と比べて、不動産の売却がスムーズに進みます。

ただし、セットバック後は土地の面積が減少し、以前と同じ用途で使えなくなる点にご注意ください。セットバックの可否や必要面積は自治体によって異なるため、事前に専門家へ確認しておきましょう。

3-4 43条但し書き申請をして売却する

再建築不可物件は、「建築基準法43条但し書き」に基づく申請をし、市町村役所が建築審査会の同意を得て許可した場合、再建築が可能となります。

建築基準法43条但し書きに関連する条文は、以下の通りです。

建築基準法

第43条建築物の敷地は、道路(省略)に二メートル以上接しなければならない。

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

43条2項1号
その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの

43条2項2号
その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

まとめると、以下の要件を満たす場合は、再建築許可が下りる可能性があります。

  • 敷地の周囲に広い空間を有すること
  • 交通・安全・防火・衛生上の支障がないこと

例えば、「敷地の前面に広がる通路が、建築基準法上の道路ではないが、十分に広くとられている、あるいは農道である場合」などが、この基準を満たせる事例があります。

なお、43条但し書きの適用可否は物件ごとに異なります。再建築不可物件を売却する前に、申請可能かどうかを専門家にご相談ください。

3-5 隣地と協力して土地を売却する

再建築不可物件を売却する方法の一つとして、隣地所有者と協力し、一体化した状態で土地を売却するという方法もあります。

2つの土地を合わせることで接道条件を満たせる場合、買主にとって魅力的な「再建築可能な土地」として売り出せる可能性があります。
この際、再建築不可物件2つよりも、通常の利用ができる土地1つの方が、売却額が高くなる傾向にあります。そのため、協力しての売却活動は、双方にメリットがあると言えます。

ただし、すべての隣地所有者が土地の売却に応じるとは限りません。この方法は、双方が売却を検討している場合にのみ成立する方法です。
また、隣地所有者との調整や測量・分筆など、手続きが複雑になる場合もあります。スムーズに売却活動を進められるよう、信頼できる不動産会社に相談し、適切な手続き方法を確認しておくことをおすすめします。

3-6 建物をリフォームして売却する

再建築不可物件を売却する方法の一つとして、建物をリフォームして資産価値を高める方法があります。

再建築不可物件は、その特性上、築年数が古い物件が少なからずあります。このような物件は、壁や床が老朽化している・内装が現代的でない等の要因から、再建築不可物件で無くとも、購入希望者が現れづらい傾向にあります。

建物をリフォームしてから売却活動をすれば、リフォーム前よりも、買い手がつく可能性を高められるほか、売却価格も上がるかもしれません。
特に、再建築不可物件の場合は、更地にしても購入希望者が現れない事例は多くあります。そのため、不動産の買い手が、該当の物件にそのまま住むことを見越して、リフォームするのは、売却活動を進めるうえで、有効な手段と言えます。

ただし、再建築不可物件の中には、周辺の道路が狭く、リフォーム用の車両や重機が入れないケースがあります。また、リフォームの内容によっては、施工許可が下りないこともあります。
滞りなくリフォームを進められるよう、施行工事を検討する際は、専門の業者・不動産会社等に予め相談しておきましょう。

第4章 再建築不可物件を売却するときの注意点

4-1 安易に更地にしない

売却時の注意点として、再建築不可物件を売却する際、安易に更地にしないことが挙げられます。

通常の物件であれば、築年数が古い物件を解体してから売却した方が、スムーズに取引できるケースがあります。これは、土地の購入希望者が、新築物件等を建てるための土地を探している傾向があるためです。

しかし、再建築不可物件の場合、更地にしても新しい建物を建てられません。そのため、更地にすると、土地活用が難しくなることから、売却が難しくなる可能性があります。

更地にする場合は、3-2(隣地への売却・譲渡)や3-3(セットバック)などを通して、再建築許可を取ってから売却活動を開始する方が、スムーズに売却できる可能性が高まります。
ただし、3-6で触れたリフォームしてからの売却との比較も重要となります。どちらが有効かは市場の動向や需要によって異なります。

再建築不可物件の売却に向けた戦略は、信頼できる不動産会社等と、入念にご確認ください。

4-2 売却可能性を検討してからリフォーム・リノベーションをする

再建築不可物件を売却するときの注意点として、リフォームやリノベーションを行う前に売却可能性を検討することも挙げられます。

3-6で触れた通り、再建築不可物件にある建物を残したまま、リフォームを通して、物件全体の資産価値を向上させることができます。

ただし、リフォームをすれば必ず売却できる訳ではありません。郊外等の土地需要が少ない地域では、リフォーム後でも売却がスムーズに進まない可能性があります。
また、築年数が古い物件のリフォームには、高額な費用が発生し、結果的に「リフォームをしなかったほうが利益額が大きかった」というケースもあります。

このような理由から、再建築不可物件をリフォーム・リノベーションして売却する際は、費用対効果の慎重な検討が重要と言えます。不動産会社等の専門家に、どのように対応すべきか相談しておきましょう。

4-3 買取を検討する際には複数業者に見積もりしてもらう

再建築不可物件を買取してもらう際は、複数の不動産会社への査定依頼が重要となってきます。

地域ごとに大まかな不動産の相場観はあるものの、不動産会社ごとに買取金額・不動産の査定金額が変わることは珍しくありません。
そのため、特定の1社だけに見積もりを依頼して売却を決めてしまうと、結果的に損をしてしまうおそれがあります。

複数の不動産会社の査定額の比較を通せば、不当な買い叩きを避け、ご自身が納得できる売却に繋がります。特に、お住まいの地域で「再建築不可物件の買取実績」を掲げている不動産会社があれば、優先的に見積もりを依頼してみるとよいでしょう。

まとめ:再建築不可物件を相続したらお気軽にご相談ください

この記事では、再建築不可物件を売却するのが難しい理由、売却する方法や、注意点について解説しました。

再建築不可物件の売却は、通常の土地に比べて難航するケースが多く、最適な手段を見極めるには専門的な知識と慎重な判断が求められます。どの方法を選ぶのが最も効果的なのか、判断に迷う場面も少なくありません。

「住まいの賢者」では、再建築不可物件の相続に強い司法書士や税理士と連携し、再建築不可物件の売却に関する相談や依頼を受け付けています。再建築不可物件を相続し、どう取り扱うかについてのお悩みがある方は、ぜひお気軽にお問い合せください。

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この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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