目次
はじめに
不動産を相続する際、固定資産税評価額は重要です。相続税を計算する際、固定資産税評価額がどの程度なのかによって、最終的な相続税額が大きく変わるためです。
もう1つ、不動産相続の際に出てくるワードに「相続税評価額」があります。この2つについて、「固定資産税評価額と相続税評価額はどう違うのか?」「これらはどのように計算すればいいのか?」という悩みをよく聞きます。
この記事では、固定資産税評価額と相続税評価額の違いについて解説していきます。そのうえで、それぞれの計算方法・調べ方についても解説します。
第1章 固定資産税評価額と相続税評価額の違い
1-1 固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる評価額のことです。
固定資産税は、原則「固定資産税評価額×1.4%」で計算されます。そのため、固定資産税評価額によって、固定資産税の金額は大きく変わります。
固定資産税評価額は、固定資産評価基準に基づき、各市町村(東京23区は都)が個別に決めます。
なお、固定資産税評価額が、土地や建物の時価と一致するケースはあまりありません。
例えば、土地の場合は、時価の70%程度が固定資産税評価額の目安となります。ただし、面積や形状、土地がある場所によって評価額は大きく変わります。
また、建物の場合は、築年数が経つほど、固定資産税評価額が下がる傾向にあります。
固定資産税評価額は、役所から届く書類等を用いて、自分で調べることができます。具体的な調べ方については、第3章で詳しく紹介します。
1-2 相続税評価額とは
相続税評価額とは、相続税や贈与税を申告するときの基準となる評価額のことです。
相続税や贈与税は、原則として「相続した(受贈した)財産の合計金額」によって、最終的な税率、納税額が変わります。相続税評価額は、これらの税金を計算する際の基準となります。
しかし、相続税評価額は、固定資産税評価額と違い、役所から届く書類だけでは計算が完了しないケースが大多数です。そのため、自分で計算する必要があります。
土地の相続税評価額の計算方法として、「路線価方式」「倍率方式」の2つがあります。計算方法について、第2章で詳しく解説します。
第2章 相続した不動産の相続税評価額を計算する方法
2-1 土地の相続税評価額を計算する方法
2-1-1 路線価方式
路線価方式は、相続税評価額を調べたい土地に接する路線に付けられている「路線価」に対して、土地の面積や補正率を掛けて評価する方法です。路線価方式による計算式は、以下の通りに表せます。
- 路線価×各種補正率×土地の面積(地積)
よって、路線価・各種補正率・土地の面積の3つが分かれば、土地の相続税評価額を算出できます。
路線価は、毎年7月に国税庁が最新版を公表するデータです。国税庁のホームページから最新版を確認できるため、必要な場合はそちらをチェックしてください。特に会員登録等はいりません。
なお、不動産を相続した場合は、被相続人が亡くなった年の路線価を参照する必要があります。
各種補正率は、土地の形状による価値の低下を調整、計算するための割合です。補正率には、以下の2つがあります。
- 奥行価格補正率
- 不整形地補正率
奥行価格補正率は、一般的な宅地よりも、奥行が長い(細長い)土地にかけられる割合です。原則は、価値の低下を調整するため、1より小さい値が設定されます。
不整形地補正率は、土地の形状が、正方形や長方形でない場合に適用される割合です。不整形地補正率も、価値の低下を調整するため、1より小さい値となります。
なお、これらの補正率は、きちんと計算がされずに税金を払いすぎてしまう事例もあります。そのため、税金の過払いがないよう注意が必要です。
「すでに過払いがあるかもしれない」という場合は、還付請求も可能ですので、心当たりがある方は、専門家に相談してみてください。
土地の面積は、固定資産税の課税明細書、登記簿謄本によって確認できます。
固定資産税の課税明細書は、毎年4月ごろに、不動産の所有者に対して届く書類です。特に申請をしなくても届くため、手軽に土地の面積を確認できます。
固定資産税の課税明細書がない場合、かつ出来るだけ早く土地の面積を知りたい場合は、登記簿謄本で土地の面積を確認できます。
土地の登記簿謄本は、住所さえ分かっていれば、誰でも取得することができます。法務局の窓口や郵送で取得できるほか、オンライン請求にも対応しています。
路線価方式の具体的な計算について、以下の土地をモデルに試算してみます。
- 路線価:18万円
- 不整形地補正率:0.8
- 土地の面積:150㎡
上記の3つを乗算すると、以下のようになります。
- 18万円×0.8×150㎡=2,160万円
計算結果から、土地の相続税評価額は、2,160万円であることがわかります。
2-1-2 倍率方式
倍率方式は、評価対象の土地の固定資産税評価額に対して、一定の倍率を乗算して、土地の相続税評価額を計算する方式です。
土地の相続税評価額を計算する際、多くのケースで路線価方式が採用されます。しかし、地域やエリアによっては、路線価が設定されていないことがあります。倍率方式は、路線価方式で計算できない際によく利用されます。
倍率方式は、以下の計算式で相続税評価額を算出します。
- 固定資産税評価額×倍率
固定資産税評価額は、土地の面積と同じく、固定資産税の課税明細書に記載されています。そのため、手元に固定資産税の課税明細書があれば、これが最も手軽です。
課税明細書がない場合は、自治体の窓口で固定資産課税台帳を閲覧する形で、固定資産税評価額を確認できます。
倍率は、国税庁が決定し、毎年公表されるものです。計算用の倍率は、地域や地目(住所や土地の用途など)によって変わります。
なお、倍率方式の場合、路線価方式で見られる補正はありません。
倍率方式の具体的な計算について、以下の土地をモデルに試算してみます。
- 固定資産税評価額:2,000万円
- 倍率:1.2
上記を乗算すると、以下のようになります。
- 2,000万円×1.2=2,400万円
計算結果から、土地の相続税評価額は、2,400万円であることがわかります。
2-2 建物の相続税評価額を計算する方法
建物の相続税評価額は、一軒家の場合は、固定資産税評価額とまったく同じとなります。そのため、特段の計算は不要です。建物の固定資産税評価額さえわかれば算出できます。
第3章 相続した不動産の固定資産税評価額を調べる方法
相続した不動産の固定資産税評価額を調べる方法は、主に以下の3つがあります。
3-1 課税明細書を確認する
相続不動産の固定資産税評価額を、最も手軽に調べる方法は、固定資産税の課税明細書を確認することです。
固定資産税の課税明細書は、毎年4月ごろに送付される、固定資産税の納税通知書に同封されています。
相続不動産が所在する市区町村によって課税明細書の書式は違いますが、多くの場合、「価格」または「評価額」という項目があります。この部分の金額が、そのまま固定資産税評価額となります。
3-2 固定資産評価証明書を取得する
固定資産税評価証明書を取得することで、固定資産税評価額を確認することができます。
固定資産税評価証明書は、市区町村の役場で取得することができます。また、郵送やコンビニ交付、オンライン申請も可能です。
固定資産税評価額は、証明書内の「価格」という項目に記載されているため、その部分を確認すれば良いです。
固定資産税評価証明書を取得できるのは、不動産の所有者や同居の家族、相続人などの血縁者に加え、債権者などの利害関係者に限られます。
3-3 名寄帳(固定資産税課税台帳)を確認する
名寄帳(固定資産税課税台帳)を確認すれば、相続した不動産の固定資産税評価額を調べることができます。
名寄帳は、不動産が位置する市区町村の役所で、閲覧申請をすることで確認できます。名寄帳は、該当不動産の納税義務者や相続人のみが閲覧できます。それ以外の方が閲覧したい場合は、委任状が必要となる点に注意してください。
ちなみに、名寄帳では、該当の不動産以外にも、どのような土地や家を所有しているかを確認できます。複数の不動産の価格等をまとめて確認したい場合は、名寄帳を利用すると便利です。
固定資産税評価額は、名寄帳内の「価格」欄に記載されています。
なお、名寄帳には閲覧期間が設定されています。期間に該当する4〜5月頃であれば、無料で閲覧することができます。閲覧期間以外にも閲覧はできますが、手数料が300円発生する点には注意してください。
第4章 相続手続きではいつの固定資産税評価額を使用する?
4-1 相続税の計算・申告
相続税の計算・申告をする際は、被相続人が亡くなった年の固定資産税評価額を用いることになります。
例えば、2024年に被相続人が亡くなった場合は、2024年時点の固定資産税評価額を用います。この際、相続手続きが2025年に入ってからになっても、固定資産税評価額は2024年のものを参照する点に注意してください。
なお、被相続人の逝去から時間が経っている場合でも、第3章で解説した方法のいずれかで、必要な年の固定資産税評価額を確認できます。
過去の固定資産税評価額をスムーズに確認したい場合、自分で確認する自信がない場合は、司法書士等の専門家に依頼することも可能です。必要に応じてご検討ください。
4-2 相続登記
相続登記をする際は、手続きをする年度(4月1日から翌年3月31日まで)の固定資産税評価額を用います。
例えば、相続の発生が2月で、実際の登記手続きが5月になった場合は、「登記手続きをするタイミングの固定資産税評価額」をもとに相続登記することになります。相続が発生した年度の評価額ではないため、注意が必要です。
4-1でまとめた、相続税の計算・申告とは違うため、間違えないようご注意ください。
相続が発生したタイミングが2月〜3月だと、固定資産税評価額が更新されるタイミングのギリギリとなるため、迅速な手続きが必要となります。相続時期によっては、あわただしくなる可能性があるためご注意ください。
なお、相続登記は、2024年4月から義務化されています。手続きが面倒に思えても、必ずしなければならない点はご留意ください。相続人たちだけで完結するのが難しい際は、司法書士等の専門家にご相談ください。
まとめ:不動産の相続手続きは司法書士に相談可能
この記事では、固定資産税評価額と相続税評価額の違いについて解説したうえで、相続税評価額の計算方法や固定資産税評価額の確認方法について紹介しました。
固定資産税評価額・相続税評価額は、相続手続きを進めるうえで必ず確認しなければならないものです。相続の際は、この2つ以外にも多くの情報・書類を集める必要があるため、非常にあわただしくなりがちです。
「住まいの賢者」では、不動産の相続に強い司法書士と連携し、相続手続きに関する相談を受け付けています。相続手続きでお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合せください。
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