空き家の管理頻度は月1回が目安!管理できないときの解決策も解説

空き家の管理頻度は月1回が目安!管理できないときの解決策も解説
執筆者: 杉田悟

はじめに

相続した実家が空き家になってしまったものの、どれくらいの頻度で見に行けばいいかわからず、そのまま放置していませんか。

空き家の管理頻度は、月1回以上が適切だといわれています。

空き家を管理せずに放置すると、建物の劣化が進むだけでなく、税金負担の増加などさまざまなリスクが発生します。とはいえ、遠方に住んでいると頻繁に通うのも難しいのが現実です。

この記事では、空き家の管理頻度や管理できないときの具体的な対処方法などを詳しく解説します。

空き家の今後を見据えた選択肢も整理できるので、ぜひ最後までご覧ください。

第1章 空き家管理の頻度は月1回以上が目安

空き家の管理は、月1回以上が理想的な頻度とされています。

国土交通省が実施した令和6年空き家所有者実態調査によると、空き家所有者が実際に行っている管理頻度で最も多いのが「月に1回程度」で約34%でした。

なお、この調査では約70%が月1回以上空き家の管理を行っているという結果も出ています。

参考:令和6年空き家所有者実態調査結果/国土交通省

建物の劣化を防ぎ、近隣への迷惑を最小限に抑えるためには、少なくとも月1回は現地を訪れ、空き家の状態を確認するのが良いでしょう。

1-1 空き家の管理頻度は月1回以上が望ましい理由

それでは、なぜ月1回なのでしょうか。それは建物の劣化スピードと関係があります。

空き家は人が住んでいる場合に比べると、劣化が早く進みます。劣化が進んでしまえば、それだけ物件の価値は落ちてしまうのです。

換気されない室内では、湿気がこもってカビが発生しやすくなり、水道を使わないと配管が錆びたり悪臭が発生したりします。また、庭の雑草は1か月もあれば相当伸びてしまい、害虫や害獣の温床になることもあります。

月に1回でも訪問していれば、こうした変化に気づくのも早く、大きなトラブルになる前に対処できます。

ただし、月1回というのはあくまで目安です。建物の状態や立地条件、季節によっては、もっと頻繁な確認が必要になる場合もあります。

季節や地域によっては台風や大雪などの影響も受けやすいため、特に天候が荒れた後は、その都度空き家の状態を確認することが重要です。

逆に、建物が比較的新しく、周辺環境も良好であれば、2か月に1回程度でも問題ないケースもあるでしょう。

大切なのは、空き家を放置しないという姿勢です。今後どうするか決まっていない場合でも、定期的な管理を続けることで、売却や活用など将来に向けての選択肢が広がります。

第2章 空き家の管理をしないとどうなる?代表的なリス

空き家を適切に管理しないと、さまざまなリスクが発生します。

ここでは、特に注意すべき3つのリスクについて詳しく見ていきましょう。

2-1 近隣トラブルを起こす可能性がある

空き家の管理を怠ると、最も起こりやすいのが近隣トラブルです。

伸び放題の雑草や樹木は、隣家の敷地に侵入したり、道路にはみ出したりして迷惑をかけます。また、落ち葉が側溝を詰まらせることもあります。側溝が詰まれば、大雨の際には水がうまく流れないで氾濫してしまうでしょう。

建物の外壁が剥がれ落ちたり、屋根の瓦が飛散したりすれば、近隣の建物や車を傷つけてしまう恐れもあります。

空き家でこうしたトラブルが発生すると、所有者として損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、近隣住民との関係が悪化すれば、将来的に売却や賃貸を考えたときにも悪影響を及ぼしかねません。

2-2 不法投棄・空き巣などの犯罪リスクがある

人の気配がない空き家は、不法投棄の標的になりやすくなります。

庭や敷地内にゴミを捨てられたり、不用品を放置されたりすることもあります。これらの処分費用は所有者が負担しなければならないので、経済的な負担が増えるでしょう。

また、空き家は空き巣や不法侵入のリスクも高まります。窓ガラスが割られて侵入されたり、無断で住み着かれたりする事例も少なくありません。さらに、放火などの犯罪に巻き込まれる危険性もあります。

2-3 固定資産税の負担増加や行政代執行による強制解体のリスク

空き家を放置したことによる最も深刻なリスクは、行政から「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定されることです。

2023年に施行された改正空き家対策特別措置法により、適切な管理がされていない空き家は、市区町村から「管理不全空き家」に指定される可能性があります。

指定された場合、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が最大で6倍に跳ね上がります。

さらに状態が悪化して「特定空き家」に指定されると、行政から改善命令が出されます。その命令に従わない場合は、最終的には行政代執行により強制的に解体され、その費用は所有者に請求されることになるのです。

解体費用は建物の構造や広さによっては数百万円に及ぶこともあり、かなりの負担を強いられることになります。

第3章 空き家を保存するために最低限やるべきチェックポイント

空き家を月1回訪問する時には、どのような点をチェックすればよいのでしょうか。

ここでは、空き家を適切に保存するために最低限やるべきことを、3つのポイントに絞って解説します。

3-1 外観チェック

空き家を訪問したら、まずは建物の外から確認しましょう。外回りは、主に次の箇所をチェックします。

  • 屋根
  • 外壁

屋根は、瓦のずれや破損、雨樋の詰まりなどをチェックします。台風や大雨の後は、特に注意が必要です。

外壁については、ひび割れや塗装の剥がれ、カビの発生などを確認します。小さなひび割れでも、放置すると雨水が侵入して建物の劣化を早めます。発見したら早めに補修しておきましょう。

庭の状態も重要です。雑草が伸びていないか、樹木が隣地にはみ出していないかをチェックします。必要に応じて、庭の草刈りや剪定を行いましょう。

外観をチェックする際は、スマートフォンでその時の写真を撮っておくことをおすすめします。

前回訪問時との変化が分かりやすくなり、劣化の進行具合も把握しやすくなります。写真は日付を記録できるため、後々のトラブル時の証拠としても有効です。

3-2 室内の換気・清掃

室内に入ったら、まず全ての窓を開けて換気を行いましょう。30分から1時間程度、しっかりと空気を入れ替えることで、湿気やカビの発生を防ぐことができます。

換気中に、各部屋の状態を確認します。壁や天井に雨漏りの跡やカビがないか、床にへこみや弛む箇所はないかをチェックしましょう。クローゼットや押し入れの中も忘れずに確認してください。

水道を契約している場合は、蛇口をひねって通水を行います。水を流さないでいると、排水管の封水が蒸発して悪臭や害虫の侵入につながります。

キッチン、洗面所、浴室、トイレなど、すべての水回りで数分間水を流しましょう。このとき、水漏れがないかもあわせて確認してください。

水道を止めている場合も通水は必要です。ペットボトルに入れて水を持ち込み、水回りそれぞれに流しておきましょう。

また、簡単な清掃も必要です。ホコリを払ったり、目立つ汚れを拭き取ったりするだけでも、建物の状態を保つのに役立ちます。

3-3 郵便物の確認・整理

郵便受けに溜まった郵便物も忘れずに確認・整理します。

空き家であっても、固定資産税の納税通知書や市区町村からの重要な書類が届くことがあります。

特に、行政から封書が届いている場合は要注意です。空き家に関する指導や改善命令の可能性もあるため、すぐに内容を確認しましょう。

郵便物が溜まりすぎていると、空き家であることが悟られやすくなり、犯罪リスクが高まります。郵便物は定期的に回収して整理することが大切です。

第4章 適切な頻度で空き家管理ができないときの対処方法

遠方で物理的に通うのが難しく、月1回でも管理は無理という方も多いでしょう。そんなときに検討したい、3つの対処方法を紹介します。

4-1 空き家管理サービスを活用する

空き家管理サービスとは、専門業者が定期的に空き家を訪問し、換気や清掃などを代行してくれるサービスです。業者によっては、訪問後には写真付きのレポートを送ってくれるサービスもあります。

月額費用の相場は、基本的なサービス内容で月額5,000円から15,000円程度です。

サービス内容によって料金は異なり、外観チェックと郵便物回収だけの簡易プランであれば5,000円前後、室内の換気や通水、庭の簡易管理まで含むプランでは10,000円以上が一般的です。

空き家管理サービスを選ぶ際は、サービス内容や対応エリア、緊急時の対応などを比較検討することが大切です。

地元の不動産会社や管理会社が提供しているサービスは、地域の特性を理解しているため安心感がありますが、口コミや評判を必ず確認しましょう。

また、空き家をどうするかの見通しが立っていないまま管理する場合は、契約期間についても注意が必要です。途中解約は可能かどうかも確かめておきましょう。

4-2 賃貸物件として貸出しする

空き家を放置するのではなく、賃貸物件として活用するのも有効な方法です。

入居者が決まれば、掃除など日常的な管理は入居者が行ってくれるため、所有者の負担は大幅に軽減されます。さらに、家賃収入を得られるというメリットもあります。

ただし、入居者が決まるまでは自分で管理が必要な点には注意が必要です。また、建物が古い場合は、賃貸に出す前にある程度のリフォームが必要になることもあります。

賃貸管理を不動産会社に委託すれば、入居者募集から契約、トラブル対応まですべて任せられます。管理委託料は家賃の5%程度が相場といわれていますが、会社によって異なります。

賃貸管理会社に委託すると、手元に残る収入は減ります。しかし、特に遠方に住んでいる場合は実際に管理するのが難しいので、現実的な選択肢といえるでしょう。

空き家の賃貸を希望するなら、サブリース契約という選択肢もあります。

サブリースとは、不動産会社が一括で物件を借り上げ、転貸する仕組みです。空室時でも一定の家賃保証が受けられるメリットがある一方、管理委託料が家賃の10%程度と通常の賃貸管理委託料よりも高額になる傾向にあります。

とはいえ、固定資産税や管理費用を相殺できるほどの収入は得られるため、コストをかけずに管理を続けたいときにメリットが大きい方法です。

4-3 売却する

今後住む予定がなく、管理の負担を完全になくしたいのであれば、売却を検討するのも賢明な判断です。

空き家を売却すれば、管理の手間や費用負担から解放されます。固定資産税の支払いも不要になり、売却代金を手にすることもできます。

売却を検討する際は、まず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。建物の状態や立地条件によって価格は大きく変わります。築年数が古いなど、市場での売却が難しい場合は空き家バンクに登録するのも一つの方法です。

しかし、売却には一定の時間と費用がかかることも考慮しておきましょう。

買い手が見つかるまでの間は、引き続き適切な管理が必要です。売却活動中に建物の状態が悪化すると、かえって売却価格が下がってしまうこともあります。また、不動産会社の仲介で売却した場合は以下の費用がかかります。

仲介手数料売却価格の 3%+6万円(上限)+消費税
印紙代売買契約書に貼付する収入印紙。1,000円〜3万円程度
抵当権抹消登記費用住宅ローンなどの抵当権が残っている場合に必要。不動産の個数あたり1,000円の登録免許税+司法書士報酬1~2万円(登記手続きを依頼する場合)
譲渡所得税売却益が出た場合に課税される。特別控除(3,000万円特別控除など)の有無を要確認

これらは売却益から引かれるため、事前にいくらになるか確認しておきましょう。
その他、空き家の売却に関して知っておきたい注意点については、以下の記事も参考にしてください。

空き家の売却について、より詳しく知りたい方や具体的な相談をしたい方は、ぜひ専門家に相談してみてください。

まとめ:空き家管理は月1回以上が理想。活用・売却などの未来を考えながら管理しよう

空き家の管理は、月1回以上が理想的な頻度です。定期的に訪問することで、建物の劣化を防ぎ、近隣トラブルや犯罪リスクを減らせます。

空き家を放置すれば、固定資産税の負担増加や行政代執行による強制解体といった深刻な事態にもつながりかねません。最低限、外観チェック、室内の換気・清掃、郵便物の確認は行うようにしましょう。

もし自分で管理するのが難しい場合は、空き家管理サービスの活用や、賃貸・売却といった選択肢も検討してください。

大切なのは、「今は空き家だけど、将来どうするか」を考えながら管理することです。適切に管理された空き家は、いざ売却や賃貸を決断したとき有利に働きます。

相続した実家の今後について迷っている方、空き家の活用方法や売却について相談したい方は、不動産の専門家に相談してみることをおすすめします。あなたの状況に合った最適な選択肢が見つかるはずです。

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この記事の執筆者

杉田 悟(すぎた さとる)

杉田 悟(すぎた さとる)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/管理業務主任者/競売不動産取引主任士

長年の実務経験を持ち、特に相続や不動産登記に関する専門性が高い。一般の方にも分かりやすく、正確な情報提供をモットーとしている。

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