親子で土地を生前贈与する際に行う手続き|贈与税を計算する方法を解説

親子で土地を生前贈与する際に行う手続き|贈与税を計算する方法を解説
執筆者: 木村道哉

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はじめに

親子間で、財産を渡す際に使える制度の1つに、生前贈与があります。これは、贈与者(渡す人)が亡くなる前に、財産を受贈者(受け取る人)に無償で渡すものです。生前贈与できる財産は、ほぼ制限がなく、土地を贈与することも可能です。

親子間での生前贈与を考える際、「本当によい手段なのか?」「自分たち以外あまりやっていない手段なのではないか?」と不安を覚えることもあるかと思います。

これについて、親子間での生前贈与は、決して珍しくない手法です。生前対策としても有効であり、決しておかしな選択ではありません。
しかし、同時に「親子間での生前贈与に必要な手続きは何があるのか?」「どの程度の税金が発生するのか?」など、困りごとが出る手続きでもあります。

この記事では、親子で土地を生前贈与する際の手続き、その際に発生する税金とその計算方法について解説します。そのうえで、節税方法や土地の生前贈与に関連する注意点についても確認します。

第1章 親子で土地を生前贈与する際に必要な手続き

1-1 贈与税の申告

親子間で土地を贈与すると、受贈者は、贈与税を申告する必要があります。贈与税の申告は、原則、「贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間」にすることが定められています。
この際、受贈者は、受け取った財産ごとに申告をするのではなく、贈与を受けた年の財産・金銭全部を合わせて一括で申告します。
例えば、1年間で、「土地・現金・金融資産」の3つの贈与を受けた場合、これらの総額を基に贈与税の申告をします。

なお、贈与税額は、贈与を受けた財産の価値が分かっていれば、あらかじめ予測を立てられます。詳しい計算方法は、第3章で確認します。

1-2 名義変更手続き(登記申請)

親子間で土地の生前贈与をする意思が確定した場合、不動産の名義変更手続き(登記申請)が必要になります。これは、土地の所有権を移すことから、「所有権移転登記」と呼ばれます。
土地の所有権移転登記では、一般的に、以下のような書類が必要になります。

  • 登記申請書
  • 登記原因証明情報(贈与契約書など)
  • 贈与する土地の登記識別情報、または権利書
  • 贈与する土地の固定資産評価証明書
  • 贈与者の印鑑証明書
  • 受贈者の住所証明情報(住民票の写し、戸籍の附票など)

また、登記申請を司法書士などの専門家に依頼する場合は、上記の必要書類に、委任状が追加されます。

土地の登記申請は、必要書類が多岐にわたるほか、申請や書類の作成にも専門知識を要します。そのため、親子だけで完結させるには難しい箇所も少なくありません。
親子間での生前贈与に関する土地の登記申請の準備、手続きが不安な方は、司法書士などの専門家に相談されることを推奨します。

第2章 親子で土地を生前贈与したときにかかる税金

親子で土地を生前贈与すると、以下の4つの税金がかかります。

2-1 贈与税

生前贈与では、受贈者に対して贈与税が発生します。
1-1でも触れた通り、贈与税は、贈与を受けた翌年の申告によって、金額が決定します。
そのため、贈与税の支払いタイミングは、土地の生前贈与を受けた翌年です。

なお、贈与税は、現金での一括納付が原則と定められています。そのため、土地を生前贈与する際は、贈与税用の現金を用意しておく必要があります。これに合わせ、どの程度の現金が必要になるかを計算しておくことは重要です。

なお、贈与税の税率は、贈与者と受贈者の関係性により変化します。これについては、第3章で詳しく解説します。

2-2 不動産取得税

不動産取得税は、家屋・土地などの不動産を取得した際に支払う税金です。
土地の生前贈与を受けた場合の不動産取得税の金額は、2025年7月現在、「土地の固定資産評価額×3%」と定められています。

例えば、土地の評価額が2,000万円の土地の生前贈与を受けた場合、以下のように計算できます。

  • 2,000万円×3%=60万円

なお、不動産取得税は、一定条件を満たす場合、軽減措置を受けることができます。

2-3 登録免許税

登録免許税は、不動産を登記する際に発生する税金です。生前贈与により、土地の所有権移転登記が発生するため、この税金も必要になります。

土地を生前贈与する際に発生する登録免許税額は、2025年7月現在、「土地の評価額×2%」と定められています。よって、評価額が2,000万円の土地の生前贈与を受けた場合、以下のように計算できます。

  • 2,000万円×2%=40万円

ただし、2026年3月31日までは、次の条件を満たす場合、軽減措置が適用され、土地の税率が低減されます。

  • 自己の居住用住宅である
  • 家屋の床面積が50㎡以上である
  • 新築物件である、または生前贈与を受けてから1年以内に登記されている

上記を満たす場合、土地の登録免許税率が、2%から1.5%に変更されます。

登録免許税は、生前贈与する土地の用途・状況によって税率が変動します。そのため、どの程度の税金が発生するか確認したい場合は、事前の調査が必要です。
親子だけで解決するのが難しい場合は、司法書士等の専門家に相談されることもご検討ください。

2-4 印紙税

生前贈与によって土地を渡す場合、印紙税が必要です。
印紙税は、贈与契約書に収入印紙を貼る形で納付します。金額は、200円と定められています。

収入印紙は、郵便局や法務局、コンビニで購入できます。そのため、そこまで手間がかからず用意できる税金です。

第3章 親子で土地を生前贈与したときの贈与税を計算する方法

土地の生前贈与をする際、確認しておくべき点が、「通常の相続とどちらの方が金銭的なメリットがあるのか」です。金銭的なメリット・デメリットのみに終始するとトラブルになりやすい側面もありますが、生前贈与したにも関わらず、金銭的なメリットが無い事態は可能な限り避けるべきです。
そのため、土地を生前贈与する際は、どの程度の贈与税が発生するか確認しておくとよいです。
この章では、以下の状況をモデルに、土地を生前贈与した際の贈与税を計算する流れについて解説します。

  • 土地の評価額が2,000万円
  • 親子間(父親から、30歳の息子)の生前贈与
  • 受贈者は、土地の生前贈与を受けた年に、他の贈与は一切受けていない

STEP① 贈与した土地の相続税評価額を計算する

まずは、生前贈与した土地の評価額を確認します。ここでは、贈与された年の土地の価値ではなく、相続税評価額を確認することが定められています。

土地の相続税評価額は、路線価方式・倍率方式と呼ばれる計算方式のいずれかによって算出できます。
路線価方式は、道路ごとに設定されている「路線価」に、土地の面積をかけて評価額を算出します。また、倍率方式は、路線価が設定されていない地域について、国税庁が設定した地域ごとの倍率をかけて評価額を算出します。

なお、土地の相続税評価額は、毎年5月頃に送付される、固定資産税の納税通知書に記載されています。また、土地が所在する市区町村の窓口で、固定資産評価証明書を取得すれば、そちらでも確認できます。

STEP② 課税対象額を計算する

贈与税は、一律110万円の基礎控除が適用されます。そのため、今回のケースの課税対象額は、以下の通りに計算されます。

  • 2,000万円-110万円=1,890万円

よって、今回は、1,890万円が課税対象額となります。

STEP③ 贈与税率を掛ける

最後に、課税対象額に贈与税率を掛けることで、贈与税額の計算が完了します。
贈与税率は、基礎控除後の課税価格によって、以下の通りに変動します。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
200万円超400万円以下15%10万円
400万円超600万円以下20%30万円
600万円超1,000万円以下30%90万円
1,000万円超1,500万円以下40%190万円
1,500万円超3,000万円以下45%265万円
3,000万円超4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

今回の課税対象額は、「1,500万円超3,000万円以下」にあたるため、最終的な贈与額は以下の計算で求められます。

  • 1,890万円×45%-265万円=585.5万円

今回のケースでは、585万5千円と、高額な贈与税が発生することになります。
なお、上記の税率は、親子間のような、「直系親族からの相続」に適用される、特例税率を参照しています。それ以外の生前贈与では、一般税率という、別の計算式が適用されるため要注意です。
※一般税率の方が、贈与税額が高額になる傾向にあります。

第4章 相続時精算課税制度を適用すれば2,500万円までの贈与を非課税にできる

親子間で土地を生前贈与する際、相続時精算課税制度を選択することができます。この制度をうまく使えば、贈与税を節税できる可能性があります。

相続時精算課税制度は、原則「60歳以上の父母、もしくは祖父母」から「18歳以上の子、もしくは孫」に対して、贈与をした際に選択できる贈与税の軽減制度です。この制度を使用した場合、贈与税を計算する際に2,500万円の特別控除が適用されます。通常の基礎控除が110万円と合わせて、大きな節税につながります。

例えば、第3章でモデルにしたケースの場合、相続時精算課税制度を利用すれば、贈与税を0円にできるため、かなりの節税が見込めます。
また、2,500万円を超える部分の税率が、一律20%となるため、生前贈与を受ける土地の評価額が高額であれば、より大きな節税効果を見込めます。

ただし、相続時精算課税制度は、相続時に支払う相続税が高額になる可能性があります。利用すれば絶対に節税できるものではないため、制度の利用を検討する場合は、トータルでの節税効果の試算が重要です。
「相続時精算課税制度が気になるが、どれくらい節税できるかわからない」という方は、司法書士等の専門家への相談をご検討ください。

第5章 親子で土地を生前贈与するときの注意点

5-1 土地の贈与が特別受益に該当する恐れがある

親子間で土地を生前贈与した場合、その行為が特別受益と判断される恐れがあります。
特別受益とは、特定の相続人が、被相続人が存命のうちに、贈与等を受けていたことにより、他の相続人より特別な利益を受けているとみなされるものです。

以下のケースをモデルに見ていきます。

  • 相続人は、被相続人の長女と次女の2名
  • 長男は、生前贈与によって、評価額2,000万円の土地を取得していた
  • その他の財産は、現金2,000万円のみ
  • 遺産分割協議によって、法定相続割合どおりに相続することが確定

※今回のケースでは、長男・次男ともに2分の1が法定相続割合となる

この場合、長女は相続時に現金をまったく受け取れない恐れがあります。
長女は、被相続人が有していた財産である土地と現金のうち、2分の1にあたる、2,000万円に相当する土地をすでに受け取っているとみなされる可能性があるためです。この場合、現金2,000万円はすべて次男が相続します。

相続人が特別受益を得たと判断されないようにするには、被相続人が存命のうちに対応しておく必要があります。例えば、遺言書の中で「該当の生前贈与は、特別受益ではない」と明言しておくことで、このトラブルを回避できます。

遺言の残し方も含めて、土地を生前贈与に関する不安事項がある場合は、法律の専門家に相談されることを推奨します。

5-2 土地の贈与では住宅取得資金贈与の特例を適用できない

親子で土地を生前贈与すると、住宅取得資金贈与の特例を適用できません。
住宅取得資金贈与の特例とは、一定の要件を満たす場合に、贈与税額を非課税とできる制度です。要件は、以下の通りです。

  • 直系尊属(父母や祖父母)から、子への贈与
  • 自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築・取得・増改築等に資金を使う

この特例が適用された場合、2025年7月現在は、以下の金額の贈与が非課税となります。

  • 省エネ住宅の場合:1,000万円
  • それ以外の住宅:500万円

上記のように、最大500万円から1,000万円の贈与が非課税となるため、親子間で住宅資金の援助をする際は、よく使われる特例です。

しかし、上記特例の適用は、「金銭での贈与・資金援助」を対象としています。そのため、土地そのものを贈与した場合は、特例は利用できません。生前贈与する土地の評価額によっては、現金を贈与して特例を利用した方が最終的な金銭負担が少ない…というケースも十分考えられます。

このように、生前贈与する土地を、子の住宅用に使おうと考えている場合は、注意が必要です。なお、「土地の取得費用を贈与する」場合であれば、住宅取得資金贈与の特例を利用できる可能性があります。

どのように贈与するのが最もよいか不安な場合は、専門家への相談が効果的です。

まとめ:土地の生前贈与についてお気軽にご相談ください

この記事では、親子で土地を生前贈与する際の流れや税金について解説し、そのうえで節税方法や注意点について紹介しました。
親子で土地を生前贈与する場合は、「どの制度を使うのが最も効果的か」「贈与した土地の用途ごとに、どの形で贈与するのがもっともよいか」を考える必要があります。しかし、親子間の議論だけでは、十分な結論が出ない可能性があります。
「住まいの賢者」では、不動産の相続に強い司法書士と連携し、親子間での土地の生前贈与に関する相談や依頼を受け付けています。土地の生前贈与でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合せください。

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この記事の執筆者

木村 道哉(きむら みちや)

木村 道哉(きむら みちや)

グリーン税理士法人 代表社員/税理士/弁護士

早稲田大学法学部卒。都内大手税理士法人のインハウスロイヤーとして経験を積んだ後、木村道哉税理士事務所を開業。資産税(相続税・贈与税)を中心とした申告業務に携わり、相続人間に紛争が生じた場合の相続税申告業務に詳しい。

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