空き家の電気・ガス・水道どうする?止める判断基準と手続きを解説

空き家の電気・ガス・水道どうする?止める判断基準と手続きを解説
執筆者: 杉田悟

はじめに

今は誰も住まない空き家のライフラインをどうするべきかは悩ましい問題です。すべて止めれば費用は節約できますが、空き家の管理が適切にできなくなるリスクもあります。

この記事では、空き家の電気・ガス・水道それぞれについて、止めるべきか継続すべきかの判断基準と具体的な手続き方法を解説します。

第1章 空き家の電気・ガス・水道は止めるべき?

結論からいうと、空き家のライフラインは「電気・水道は継続、ガスは解約」が基本的な対応方針とするのをおすすめします。

それぞれのライフラインについて、推奨される対応とその理由を以下の表にまとめました。

ライフライン推奨対応理由月額費用目安
電気継続+ブレーカーOFF・掃除、片付け、内覧時に必要・ブレーカーを落とせば漏電火災リスクと待機電力をカットできる数百円〜2,000
ガス解約を推奨・空き家管理で使う場面がほぼない・ガス漏れによる火災、爆発リスクを回避できる解約で0円
水道継続が必須・月1回の通水で水道管の錆、劣化を防止・排水トラップの封水切れによる悪臭、害虫侵入も防げる1,000〜2,000

どのような対応をすべきか、その判断の基準となるのは空き家の今後の活用予定です。

売却を検討しているなら内覧対応のために電気は必要ですし、賃貸に出す予定なら設備の維持管理が欠かせません。

維持費がもったいないからとすべてのライフラインを止めてしまうと、定期的な管理ができなくなります。管理が行き届かない空き家は、建物の劣化が早まるだけでなく、近隣トラブルや行政からの指導対象になるリスクもあります。

なお、解体が確定している場合は、電気・水道も解約して問題ありません。

また、ホームセキュリティや浄化槽など常時通電が必要な設備がある場合は、ブレーカーを落とせない点に注意しましょう。

それでは、次から各ライフラインについて詳しく見ていきます。

第2章 空き家の電気はどうする?継続・解約の判断基準と注意点

空き家のライフラインの中でも、電気は迷いやすい項目です。誰も住んでいない家で電気代が発生し続けることに、無駄を感じる方も多いでしょう。

しかし、空き家の管理や将来の売却・活用を考えると、電気を止めてしまうことで不便やリスクが生じるケースは少なくありません

ここでは、空き家の電気を継続すべきケースと解約しても問題ないケースを整理し、あわせて安全に管理するための注意点を解説します。

2-1 電気を継続すべきケースと解約すべきケース

電気は基本的に継続をおすすめします。解約すべきなのは、解体が確定している場合のみと考えてよいでしょう。

電気を継続すべきケースは以下のとおりです。

  • 定期的な管理を行う予定がある
  • 売却予定で内覧対応がある
  • 給湯器・浄化槽などの設備がある

電気がないと、掃除や片付け作業の効率は大幅に下がります。また、売却を検討しているなら内覧の機会がありますが、室内が明るい方が印象は良くなります。

1か月に1度、管理や内覧のために電気をつけて掃除機をかける程度なら、電気量は5~15kWh程度です。ただし、給湯器や浄化槽などの設備を常時稼働させている場合は30~50kWhほどかかります。

例えば、東京電力で従量電灯Bを15Aで契約している場合、基本料金と使用した電気量で計算した料金で月に約1,000円~2,000円、1年で12,000~24,000円ほどかかる計算になります。

空き家管理がスムーズになると考えれば、継続する価値は十分にあります。

参考:従量電灯B・C/TEPCO

2-2 ブレーカーは落とすべき?漏電・火災リスクを防ぐ方法

空き家では電気の契約は継続しつつも、普段はブレーカーを落としておくのがベストな方法です。

ブレーカーを落とすメリットは大きく2つあります。

  • 漏電火災リスクの軽減
  • 待機電力のカット

空き家では経年劣化した配線やコンセントから漏電が起きやすく、これが火災の原因になることがあります。

また、コンセントに挿したままの家電は、使っていなくても電力を消費しているため、ブレーカーを落とすことで節電につながります。

ただし、以下のケースではブレーカーを落とせません。

  • ホームセキュリティを導入している
  • 24時間換気システムや浄化槽などを設置している
  • 寒冷地で給湯器の凍結防止機能を使用している

2-3 空き家の電気代を節約するコツ

空き家の電気代は以下のような工夫で大幅に節約できます。

  • 契約アンペアを下げる
  • 契約プランを見直す
  • 家電のコンセントを抜いておく

冷蔵庫や電子レンジ・トースターを同時に使うなど、大きな電力を同時に使うなら契約アンペアは30A以上必要ですが、空き家では不要です。15~20Aほどで十分でしょう。ただし、浄化槽などの設備がある場合は、電化製品を使うときに電力消費量が増えるため、20A以下に下げない方が無難です。

アンペアを下げると、基本料金も安くなります。数百円の違いですが、年単位で見ると数千円と大きな差が生じます。なお、アンペアの変更は電力会社に連絡すると対応してもらえます。

最近は電力会社によって様々なプランが提供されているため、プランを見直してみるのも一つの方法です。

さらに、不要な家電のコンセントを抜いておくことで待機電力をカットできます。コンセントに挿したままの家電は意外と電力を消費しているため、空き家を出るときは必ず抜いておきましょう。

第3章 空き家のガスは解約がおすすめ!その理由と手続き方法

空き家のライフラインの中でも、ガスは解約して問題がないものです。電気や水道と違い、空き家の管理や点検でガスを使う場面はほとんどなく、契約を続けるメリットは多くありません。

ここでは、空き家のガスを解約すべき理由と、解約・再開時の手続き方法について解説します。

3-1 ガスを解約すべき理由

空き家の場合、ガスは解約することをおすすめします。

空き家管理でガスを使う場面はほとんどありません。掃除や換気、通水といった管理作業にガスは不要です。お湯を使いたい場合は、電気式の給湯器やポータブルの湯沸かし器で代用できます。

また、長期間使用しないガス設備は、接続部の劣化などでガス漏れが起きる可能性があります。万が一の事故を防ぐためにも、使わないなら解約しておくのが安全です。

プロパンガスを利用している場合は、ガス会社にボンベの撤去を依頼しましょう。ボンベが敷地内に残っていると、いたずらや盗難のリスクもあります。

ガスの基本料金は月1,000〜2,000円程度です。例えば東京ガスの場合、1か月まったくガスを使用しなくても基本料金759円が必要になるため、解約すれば年間で約1万円の節約になります。

参考:ガス料金表/東京ガス

3-2 ガスの解約・再開手続きの流れ

ガスの解約手続きは以下の流れで進めます。

まず、契約しているガス会社に連絡します。電話またはWebサイトから解約の申し込みが可能です。

次に、閉栓日の調整を行います(本記事では「解約=閉栓」を指します)。ガス会社の担当者と日程を決め、閉栓作業の立ち会いが必要かどうかを確認します。都市ガスの場合、屋外にメーターがあれば立ち会い不要のケースもあります。

閉栓日には、ガス会社の担当者がガスの元栓を閉め、メーターを停止します。

将来的にまたガスを再開する可能性がある場合は、以下の点に注意してください。

  • 再開時は新規契約として手続きが必要である
  • 開栓には立ち会いが必要で、日程調整に時間がかかることもある
  • 再契約時に、保証金や事務手数料などの初期費用がかかる場合がある

※特にプロパンガスでは、再契約時に費用が発生することがあります。

契約先のガス会社がわからない場合は、過去の請求書や通帳の引き落とし履歴を確認しましょう。

第4章 空き家の水道は継続必須!通水の重要性と管理方法

空き家のライフラインの中で、水道は必ず継続すべきといえるものです。

電気やガスと違い、水道を止めてしまうと建物そのものに直接的なダメージが及ぶ可能性があります。空き家を将来売却・賃貸・居住といった形で活用する可能性があるなら、水道の継続と定期的な通水は管理において欠かせません。

ここでは、水道を止めてはいけない理由と、正しい管理方法について詳しく見ていきます。

4-1 水道を継続すべき3つの理由

水道は空き家管理において最も重要なライフラインであるため、必ず継続してください。

理由は以下の3つです。

  • 水道管の錆・劣化を防止できる
  • 排水トラップの封水切れを防げる
  • 掃除・メンテナンスに必要である

長期間水を流さないと、水道管の内部が錆びて劣化が進みます。劣化すると破損して漏水を起こすリスクが高まりますが、破損の度合いによって修理費用は50万円以上に及ぶケースもみられます。

水道管の劣化は定期的な通水で防ぐことができます。空き家の様子を見に来た際に水を流すのを忘れなければ、劣化を抑えられるでしょう。

また、排水口には「封水」と呼ばれる水がたまっており、これが下水からの悪臭や害虫の侵入を防いでいます。水を長期間流さないとこの封水が蒸発し、家中に下水の臭いが充満したり、ゴキブリなどの害虫が侵入したりする原因になります。

上記以外にも、空き家の管理では床の拭き掃除やトイレの清掃など、水を使う場面が多くあります。水道が使えないと管理作業の効率が下がり不便なため、管理し続けるなら契約も継続するのをおすすめします。

4-2 通水の正しい方法と頻度

正しい通水の仕方は以下のとおりです。

  1. すべての蛇口を順番に開けていく
  2. 各蛇口から1分以上水を流す

キッチン、洗面所、浴室、トイレなど、空き家中のすべての水栓が対象です。

1分以上水を流すことによって、水道管内の古い水を入れ替え、排水トラップに新しい封水を補充できます。なお、通水の理想的な頻度は月1回以上です。

通水時には以下のポイントをチェックすることも大切です。

  • 赤水(錆が混じった茶色い水)が出ていないか
  • 水量に変化はないか(極端に少ない場合は詰まりの可能性)
  • 蛇口周りから水漏れしていないか

もし上記のような異常が見られた場合は、放置せずに市区町村の水道局や水道業者へ相談しましょう。

寒冷地や冬場は凍結防止対策も必要です。長期間不在にする場合は、水抜き栓を閉めて水道管内の水を抜いておきましょう。給湯器の凍結防止機能がある場合は、電源を入れておかなければ水道管が破損する可能性があります。

4-3 水道の不正使用を防ぐ対策

水道を止めなければ、空き家に不法侵入者が住み着いて勝手に使用されるリスクはあります。

不正使用を防ぐには、水栓の上部を鍵に交換するなどの方法があります。
なお、鍵付き水栓はホームセンターで1,000円〜3,000円程度で購入できます。

知らない間に不正使用されていないかどうか、毎月検針票で使用量をチェックすることも重要です。管理のために通水を行っていないはずの期間に水量が増えていれば、不正に使用されている可能性があります。

水道代は基本料金が月1,000円〜2,000円程度が目安です。東京都水道局の場合は基本料金が860円~1,460円で、通水のみの使用であれば基本料金のみで済むことがほとんどです。

参考:水道料金の基本料金を無償とします/東京都水道局

第5章 空き家のライフライン管理を怠るリスク

空き家のライフライン管理を怠ると、ただ使っていないだけでも、思わぬトラブルや損失につながることがあります。

電気や水道を止めたまま放置すると、建物の劣化や事故のリスクが高まり、結果的に多額の修理費用や賠償責任を負うケースもあります。

空き家だからといって管理責任がなくなるわけではありません。ここでは、ライフライン管理を怠った場合に起こり得る具体的なリスクについて見ていきましょう。

5-1 漏電火災・水道管破裂などのトラブルになる

ライフライン管理を怠ると、重大なトラブルにつながる可能性があります。

漏電火災は、空き家で起こりやすい事故の一つです。経年劣化した配線や、ネズミにかじられたコードから出火し、最悪の場合は近隣の住宅にまで延焼します。近隣への被害が出れば、損害賠償責任を問われる可能性もあります。

また、水道管破裂については、特に寒冷地で注意が必要です。凍結により水道管が破裂すると、修理費用は30万円前後にもなるケースがあります。

通水せずに排水トラップが封水切れをおこし、空き家に悪臭や害虫が発生すると、近隣住民とのトラブルの原因になります。近隣住民からの苦情は、放置すると行政への通報につながることもあります。

5-2 特定空き家・管理不全空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる

2023年の法改正で空き家に関する規制が強化されたことによって、自治体は空き家の実態調査を行い、ライフラインの契約状況も調査対象となりました。電気や水道が止められ、明らかに管理が行われていない空き家は、「管理不全空き家」に指定されるリスクが高まります。

行政から空き家の管理が行き届いていないとして「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定され、勧告を受けると、「住宅用地の特例」が適用されなくなります。

住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の固定資産税を軽減する措置です。この特例が適用されなくなると、固定資産税は最大で6倍に跳ね上がります。

たとえば、年間5万円だった固定資産税が、勧告を受けると年間20万円以上になる可能性があるのです。

このような事態を避けるためにも、ライフラインを適切に維持し、定期的な管理を行うことが重要です。

まとめ:空き家のライフラインは「電気・水道は継続、ガスは解約」が基本

この記事では、空き家の電気・ガス・水道について、止めるべきか継続すべきかの判断基準を解説しました。

ポイントを整理すると、以下のとおりです。

  • 電気:継続し、普段はブレーカーを落としておく。アンペア数を下げれば節約も可能
  • ガス:基本的に解約。使う場面がほぼなく、ガス漏れリスクも回避できる
  • 水道:必ず継続。月1回の通水で水道管の劣化と悪臭・害虫を防ぐ

ライフライン管理は、空き家の資産価値を守るための第一歩です。適切な管理を続けることで、将来の売却や賃貸活用の選択肢を残すことができます。

「空き家の管理が大変」「将来どうすればいいかわからない」とお悩みの方は、住まいの賢者にご相談ください。空き家の売却など、状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。

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この記事の執筆者

杉田 悟(すぎた さとる)

杉田 悟(すぎた さとる)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/管理業務主任者/競売不動産取引主任士

長年の実務経験を持ち、特に相続や不動産登記に関する専門性が高い。一般の方にも分かりやすく、正確な情報提供をモットーとしている。

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