目次
はじめに
事故物件とゴミ屋敷の2つが重なった物件は、売却どころか取り扱うことすら難しいというイメージが強いのではないでしょうか。
現実には相続や空き家の増加により、このような物件に直面するケースが増えています。実際に、事故物件とゴミ屋敷の組み合わせは売却することが難しいでしょう。
本記事では、事故物件とゴミ屋敷の組み合わせに対し、適切な対応と売却や賃貸に出す際の注意点を解説します。売却できずにお悩みの方は参考にしてください。
第1章 事故物件となりやすいゴミ屋敷
事故物件とは、自殺や他殺、事故死や孤独死など心理的瑕疵(心理的な抵抗感や不快感)が生じる可能性がある物件のことです。
一般的に、ゴミ屋敷だけでは事故物件に入りませんが、ゴミ屋敷によって悪臭や害虫、物件の汚れが発生した場合は、心理的瑕疵がある物件と判断され、事故物件として扱われる可能性があります。
事故物件とゴミ屋敷、それぞれ単体でも大きな問題となりますが、同時に存在することで、法的リスクや近隣住民とのトラブル、経済的損失など複合的な問題を引き起こします。
特に都市部を中心に、高齢化・孤独死・空き家の増加などの社会問題が背景にあり、こうした物件の発生率が高まっていることが現状です。
まずは、なぜ事故物件とゴミ屋敷の組み合わせが起こりやすいのか掘り下げていきます。
1-1 なぜこの組み合わせが近年増えているのか
事故物件とゴミ屋敷の組み合わせが増えている背景には、高齢化社会と空き家問題の深刻化があります。単身高齢者が身寄りもないままゴミを溜め込んだ結果、親族の足も遠のき誰にも看取られずに死亡し、発見が遅れるケースが多発しています。
また、物件所有者が遠方に住んでいたり、相続人が物件の状況を把握していなかったりすることで、発覚が遅れやすいケースもあるでしょう。
1-2 相続後に発覚した場合は所有者責任となる
ゴミ屋敷となっている物件を相続したあと、状態に気づかず放置していた場合は、法的には新たな所有者が管理責任を負うことになります。
また、事故物件化しており、近隣住民からの苦情や行政指導が入った場合、損害賠償や訴訟に発展する可能性もあるため、相続した時点での状況確認は必須です。
所有者が「知らなかった」と主張しても、責任を免れることは難しいため、相続した物件はすぐに状態を確認し、必要に応じた対策をしなければなりません。
第2章 事故物件×ゴミ屋敷がもたらす悪影響は?
事故物件とゴミ屋敷が合わさった物件は、心理的トラブルと物理的トラブルを同時に引き起こす要因となります。
実際には近隣トラブルや行政指導、売却困難などの現実的な問題に直面するケースが多く、放置することで被害が拡大することも珍しくありません。
では、事故物件とゴミ屋敷がもたらす悪影響を解説します。
2-1 賃貸・売買どちらもトラブルになりやすい
事故物件であるにもかかわらず、告知義務を怠ると後のトラブルに発展します。
たとえば、かつての住人が孤独死し、長期間発見されなかったケースでは、特殊清掃や遺品整理、ゴミの搬出に加えて大規模なリフォームが必要になることもあります。その費用は数十万円から数百万円になることも珍しくありません。
また、見た目をきれいに整えたとしても「元ゴミ屋敷」だった物件には、目に見えないダメージが残っている可能性があります。例えば、長年ゴミが積み上がっていたことで床や柱が湿気や圧迫で劣化していたり、悪臭や害虫の再発が起こったりといった問題です。
こうした背景を知らずに入居した借主や購入者が「こんなはずではなかった」と感じ、住んでからトラブルに発展するケースもあります。表面はきれいでも、住み始めてから設備不良や構造の不具合が次々と発覚することもあり得るでしょう。
賃貸の場合は内見の段階で敬遠されることも多く、結果として空室期間が長期化し、収益性が大きく損なわれます。売買においても、瑕疵担保責任や重要事項説明違反とされた場合は、法的な責任を問われかねません。
2-2 行政指導まで進むケースが多い
悪臭や害虫、火災の危険などがあるゴミ屋敷状態の物件には、行政が介入することもあります。自治体によっては条例に基づき指導が行われ、従わない場合は代執行されるため注意が必要です。
代執行されると、行政が強制的に清掃を行い、費用を請求するためさらに費用負担が増し、物件の管理・処分がより困難となるでしょう。また、行政介入が報道やインターネットで拡散されることで、物件や所有者の評判にも悪影響を及ぼす可能性があります。
第3章 事故物件×ゴミ屋敷の物件評価
不動産市場で、事故物件とゴミ屋敷が合わさった物件の評価は著しく低く、時にはゼロに近い金額を提示されることもあります。
なぜなら、事故物件としての心理的瑕疵と、ゴミ屋敷による物理的損傷が重なることで、一般的な査定では評価が困難になるからです。
では、事故物件とゴミ屋敷の組み合わせによる物件評価を詳しく見ていきましょう。
3-1 心理的瑕疵による価格下落
事故物件であるというだけで、購入を避ける方は多く、物件価格は通常相場の5〜7割に下がることが一般的です。自殺や孤独死の内容によっては、さらに物件価格が低下することも珍しくありません。
加えて、周辺住民の証言や事故内容の報道、インターネット掲示板などにより過去の情報が拡散されると、資産価値の回復が難しくなり値下げ交渉に応じざるを得なくなります。
不動産価値は構造や立地だけではなく、イメージによっても左右されるため、心理的瑕疵の影響は想像以上に大きいといえるでしょう。
3-2 物理的ダメージによる修繕費の発生
事故物件やゴミ屋敷の場合、床や壁にカビ、腐食、害虫被害が進行しており、大掛かりなリフォームが必要になります。さらに悪臭が染みついている場合、消臭作業も不可欠です。
特殊清掃とリフォームを行うことで、修繕費用は100万円単位にのぼることが多く、売却益よりコストが上回るケースも珍しくありません。
特に死後発見までに時間がかかった孤独死の場合は、体液が床や壁にまで浸透しており、解体・交換が避けられないケースも考えられます。
ただの掃除では済まないため、専門業者による見積もりと対応が必須となるでしょう。
3-3 取り扱い不可の不動産会社も多い
一般的な不動産会社では、事故物件かつゴミ屋敷という条件の物件は「取り扱い不可」とされることが珍しくありません。
不動産会社は、顧客に紹介できるリスクの低い物件を優先するため、買い手を見つけることが困難になるでしょう。また、会社の評判を重視する中小企業ほど敬遠する傾向があり、たとえ問い合わせをしても断られるケースが多くあります。
広告掲載を拒否されるため、通常の売却ルートが機能しない可能性も否定できません。
3-4 通常査定が通用しない
不動産査定は、立地や築年数、間取りなどの客観的要素が重視されますが、事故物件かつゴミ屋敷といった特殊事情が絡むと、一般的な指標がほぼ無意味になります。
査定額がまったく付かない物件は、通常の一括査定サイトでは正確な評価が得られず、専門業者による現地調査が必須です。また、査定時には心理的要因や再販可能性、清掃・リフォーム費用の見込みも加味されるため、一般相場の基準では判断できません。
第4章 事故物件×ゴミ屋敷の対処法
「事故物件やゴミ屋敷にしてしまったら、売却は諦めるべきでは」と思うかもしれませんが、正しい対処法を行うことで再生や売却は十分に可能です。
では、事故物件かつゴミ屋敷状態の物件の対処法を解説します。プロに頼る部分と自力でできることの線引きも確認しながら、現実的な解決方法を見ていきましょう。
STEP① 権利関係を確認をする
物件の所有者が誰なのかを明らかにすることは、どんな対策よりも優先です。権利関係が整理されない限り、売却も清掃も進めることができません。
物件の所有者は、登記簿謄本を確認することで、現在の名義人や共有者の有無が分かります。相続が発生している場合は、相続登記の有無を確認し、必要であれば司法書士に相談することも検討しましょう。
もし自分にとって負担が大きすぎる物件であれば、相続放棄の選択肢もあります。ただし、相続放棄には期限があるため、迅速な判断が求められます。
STEP② 特殊清掃と遺品整理を依頼する
事故物件やゴミ屋敷の清掃は、通常の片付けでは対応しきれません。
体液や血液が残っている場合、感染症対策を行いながらの清掃が必要となり、ゴミ屋敷では害虫駆除や悪臭の除去作業も発生します。
自力での清掃が不可能な場合は、専門の知識と機材を持つ特殊清掃業者に依頼する方法が安全で確実です。また、遺品整理も同時に行うことで、相続財産の確認にもつながります。
作業後には、作業証明書や除菌・消臭証明を発行してもらえることもあり、今後の売却活動にも有利に働くでしょう。
STEP③ 内装や設備の補修・再生を判断する
清掃後に浮かび上がる問題点が、建物そのものの損傷です。
床が抜けている、壁にシミが広がっている、電気・水道が使えないなど、様々なトラブルが潜んでいる可能性があります。問題となっている箇所は、リフォーム業者に調査を依頼し、費用の見積もりを取得しましょう。
損傷が深刻であれば、解体・建て替えを検討することも視野に入ります。反対に、軽微な補修で済む場合には、コストを最小限に抑えた上で再販や賃貸に出すことも可能です。
「どの程度直せば売れるか」を専門家と相談しながら見極めましょう。
STEP④ 物件の方向性を決める
清掃や補修を終えたら、次は物件の活用方法を決める段階に入ります。売却か賃貸か、自身での利用かを明確にしましょう。
売却を選ぶ場合は、一般の不動産会社と事故物件専門業者のどちらに依頼するかを検討する必要があります。賃貸に出す場合は、家賃設定や告知義務の対応が重要になります。
いずれにしても、物件の将来的価値を見据えた判断が求められるでしょう。
第5章 賃貸に出す場合の注意点
事故物件かつゴミ屋敷だった物件を賃貸に出す場合、法的・心理的なハードルを乗り越える必要があります。今後のトラブルを防ぐためにも、誠実な情報開示と現実的な価格設定は必須となるでしょう。
では、賃貸に出す際に押さえておきたいポイントと注意点を解説します。
5-1 事故物件は告知義務がある
日本の法律では、賃貸契約を締結する際、過去に人が死亡した事実があれば、その旨を借主に告知する義務があります。特に事件性があった場合は、借主が契約を取り消す権利も持つため、隠していて後から発覚した場合、大きなトラブルに発展するため注意しましょう。
ゴミ屋敷だけでは告知義務がありませんが、悪臭や害虫の発生、火災のリスクなど心理的瑕疵があると判断された場合は事故物件と判断され、告知義務が生じることがあります。
告知義務は、賃貸借契約書に記載するだけではなく、内見の際にも口頭で伝えるなど、丁寧な説明をしなければなりません。もし、契約後に発覚した際は損害賠償責任を負う可能性もあるため、情報は正確かつ誠実に伝えましょう。
5-2 告知義務が消えても伝えるのが無難
告知義務には「一定期間を経れば不要になる」といった慣例がありますが、借主との信頼関係を築くためにも過去の事実を伝えるほうが望ましいでしょう。
特に、ネットで物件情報が拡散されやすい現代において、隠しても将来的に明るみに出る可能性が高く、クレームや契約解除のリスクを招きます。
入居者がトラブルなく長く住んでもらうためには、最初にきちんと事情を説明し、納得のうえで契約してもらうことが最良の対策です。
5-3 家賃相場を安く設定する
事故物件や元ゴミ屋敷の物件は、どうしても入居希望者の数が少なくなる傾向があります。
周辺相場よりも1〜3割ほど安い家賃設定をすることで、入居率を上げる工夫が必要です。特に、築古物件や駅から遠い物件の場合は、価格面でのアピールが重要となります。
ただし、家賃を下げすぎるとトラブル傾向の強い入居者が集まりやすくなるため、バランス感覚も大切です。
あくまで「訳あり」物件として、現実的なラインでの設定が求められます。
第6章 売却するなら事故物件買取業者が有利
事故物件やゴミ屋敷状態の物件は、広告に掲載するだけで企業イメージが損なわれるリスクや、クレーム対応の煩雑さなどを理由に、取り扱いを拒否されるケースも多くあります。
難しい物件を売却したいときに頼りになるのが、事故物件を専門に取り扱う買取業者です。
事故物件専門業者とは、その名称の通り、事故物件を専門的に取り扱う不動産会社のことです。心理的瑕疵がある「事故物件」を専門的に買取・売却できるため、通常の不動産会社で拒否された物件でも承ってくれる可能性があります。
また、契約不適合責任が免責される点や仲介手数料がかからない点も、事故物件専門業者に依頼するメリットです。直接事故物件を売却するため、物件情報をインターネット上に公開しないことから、近隣に知られることなく売却できる点も安心できるでしょう。
6-2 売却前に清掃・リフォームは必要?
事故物件専門業者への売却は、特殊清掃やリフォームをせずにそのままの状態で売却できるメリットがあります。したがって、清掃やリフォームは不要といえるでしょう。
心理的に最低限の手入れだけでもしたい場合は、事故物件専門業者に連絡をして、どの範囲で行うべきか相談することをおすすめします。下手に除菌・消臭処理に手を出してしまうと、かえって臭いを悪化させてしまう恐れもあるため注意が必要です。
6-3 複数業者から査定を取ろう
事故物件専門の買取業者でも、査定額にはバラつきがあります。1社だけに相談するのではなく、必ず複数の業者から査定を取りましょう。
その際は、価格だけではなく、対応スピードや手数料、アフターフォローの有無なども確認すべきポイントです。また、業者ごとに買取後の再販戦略が異なるため、自社リフォーム部門を持つ業者などは高値を提示しやすい傾向にあります。
信頼できる業者を見極めるためにも、複数比較を行ってから売却しましょう。
まとめ 事故物件×ゴミ屋敷でも「価値ゼロ」ではない
たとえ事故物件かつゴミ屋敷であっても、適切な対処をすれば売却や再利用は可能です。
重要なポイントは、事実を正しく把握し、専門業者と連携しながら一歩ずつ進めることです。市場のニーズや再販戦略を理解している専門業者を頼ることで、一般には売れないと思われていた物件にも新たな可能性が見えてきます。
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