成功事例から見る空き家ビジネスのはじめ方|補助金の活用方法も紹介

成功事例から見る空き家ビジネスのはじめ方|補助金の活用方法も紹介
執筆者: 杉田悟

はじめに

2025年現在、人口減少や高齢化などの要因によって空き家が全国に増え続けており、2030年には空き家率が30%になる見通しです。(参考:株式会社野村総合研究所)

昨今の空き家問題を解消すべく、空き家の活用方法として「空き家ビジネス」が注目されています。空き家ビジネスは、活用次第で賃貸や民泊、地域創生など多彩な事業モデルが実現できるため興味を持っている方も多いでしょう。

本記事では、空き家を有効活用したモデル例と活用できる補助金・支援制度を解説します。これから空き家ビジネスを始めたい方は参考にしてください。

第1章 空き家ビジネスとは?

空き家ビジネスとは、使われていない住宅や建物を新たな用途で再活用し、経済的価値を生み出すビジネスモデルのことです。

空き家は、放置されることで資産価値を失っていきますが、リノベーションや用途転用などの手を加えることで、収益を生む資産へと転換していきます。

人口減少や高齢化の進行により、さらに空き家は増えると見込まれており、空き家問題の解決と地域活性化を同時に狙えるビジネスとして今後も注目が高まるでしょう。

1-1 空き家ビジネスが注目される理由

空き家ビジネスが注目される理由は、低コストで不動産ビジネスを始められる点です。

築古物件は価格が安く、自治体の補助金制度を活用すれば初期投資を抑えることが可能となります。また、地方創生や観光政策の一環として空き家を使ったプロジェクトに支援が集まっていることも追い風です。

近年では、空き家を通じて移住・定住促進や観光誘致を図る自治体も増えており、公共と民間が連携して取り組む新たな地方経済のエンジンとしても注目されています。

第2章 空き家ビジネスのモデル例を紹介!

空き家ビジネスとひとくちに言っても、活用方法は多岐にわたります。

成功している事例を見ると、単に物件を貸す・売るに留まらず、地域ニーズを捉えた創造的な活用が見られます。地域の課題をビジネスとして解決する視点が、空き家活用成功のカギを握るといえるでしょう。

では、空き家ビジネスのモデル例を紹介します。

2-1 空き家を賃貸・民泊に活用

老朽化した空き家をリノベーションして賃貸住宅や民泊施設として活用するモデルです。

インバウンドの回復に伴い、地方の古民家などに宿泊ニーズが高まりつつあり、観光地周辺では特に収益性が高い傾向にあります。

また、家賃収入や宿泊料で安定したキャッシュフローが得られる点も魅力です。近年では、DIYを活用した低予算リノベーションやSNSを通じた集客戦略を取り入れることで、個人でも手軽に始められるケースが増えています。

柔軟な運営スタイルが、空き家賃貸ビジネスの参入障壁を下げているといえるでしょう。

2-2 空き家を店舗に転用

美容室、カフェ、雑貨店など小規模店舗として空き家を活用するモデルです。

商店街の空洞化や高齢化が進む中で、空き家を利活用した店舗づくりは地域の生活インフラを守る意味でも重要です。地域住民のニーズにマッチしたサービスを展開すれば、固定客の獲得が可能となるでしょう。

具体的には、地元食材を活かした飲食店や、地場産品を扱うアンテナショップなど、地域と共生する事業モデルが支持を得ています。

ビジネスの視点だけではなく、地域貢献の意識を持つことが成功の要因です。

2-3 空き家を地方創生拠点に活用

空き家をサテライトオフィスやコワーキングスペースとして再活用するモデルです。

都市部の企業が地方に支店を置く動きや、移住者が複数拠点生活を送るニーズに応えており、IT系ベンチャーやクリエイティブ職など、柔軟な働き方を求める人々の受け皿として注目されています。

自治体が賃料を一部負担するケースもあり、地方創生との相性が良い点もメリットです。自治体と連携した補助金制度や利活用ガイドラインの整備も進んでおり、今後さらに展開が期待される分野でしょう。

2-4 空き家をコミュニティスペースや交流拠点に活用

地域食堂やこども食堂、シェアキッチンなど、空き家を地域住民が集う場所として空き家を活用するモデルです。

社会貢献と収益性を両立するビジネスとして、地元住民の賛同を得やすく、持続性が高い点が強みとなります。

持続的な運営を図るためには、利用料や会費、補助金とのバランスが重要です。

2-5 空き家を観光や体験型施設に活用

農業体験や漁業体験を提供する体験型ツーリズムと空き家を組み合わせたモデルです。

特に、訪日外国人や都市部の子育て世代に人気があり、宿泊・体験・物販を組み合わせることで収益性を高めることができるでしょう。

例えば、クラフト体験や食文化体験、歴史探訪など地域資源を活かした独自のプログラムを組むことで差別化が図れます。観光協会や自治体との連携を強化することで、集客力を高められる点もメリットです。

第3章 空き家ビジネスに使える補助金・支援制度

空き家ビジネスを始めるにあたり、各自治体や国の補助金制度を活用することで、初期コストを大幅に抑えることが可能となります。

ただし、申請条件や対象経費、報告義務などもあるため、補助金や支援制度を活用する場合は制度の詳細を必ず確認しましょう。

また、補助金は「申請して即時に交付される」ものではなく、申請から交付決定、完了報告、精算までのプロセスに時間がかかります。事業計画との整合性を持たせ、タイミングを見誤らないことが成功のカギです。

では、空き家ビジネスに使える補助金と支援制度をそれぞれ解説します。

3-1 空き家の解体に活用できる補助金

老朽化が激しく再利用が難しい場合、解体を前提とした補助金があります。防災や衛生面の観点からも、老朽空き家の除却は重要な取り組みです。

空き家が長期間放置されると、倒壊や火災のリスクが高まり、近隣住民とのトラブルの原因になります。解体補助金はこうしたリスクを抑える有効な手段といえるでしょう。

自治体によっては、解体後の更地の活用計画を提出することで補助率が上がる場合もあります。

自治体によって異なりますが、50万円〜150万円程度の補助が一般的です。

3-2 空き家の改修に活用できる補助金

空き家を賃貸や事業用に転用するための改修費用を行った場合、一定額の補助が出るケースがあります。例えば、耐震補強やバリアフリー改修、省エネリフォームなどが対象です。

地方では、空き家を移住者向けに再生する目的で手厚い補助が用意されている自治体も多く、利用者の住宅性能向上にもつながるでしょう。また、空き家をシェアハウスや子育て支援施設として再活用する場合にも、用途に応じた追加支援が受けられる場合があります。

条件によっては、100万円以上の支援が受けられることもあります。

3-3 空き家の取得に活用できる補助金

空き家取得自体に、補助が出る自治体も存在します。移住者向けの支援が手厚い地域では、購入費の一部補助に加え、引っ越し費用や子育て支援も受けられるケースがあります。

この制度は、U・Iターン希望者や若年層の地方移住を後押しする目的で整備されており、初期投資の負担軽減に大きく寄与するでしょう。

空き家バンクを通じての購入が条件など、対象要件や手続きは自治体によって異なるため、事前の情報収集が不可欠です。

第4章 空き家ビジネスのリスクと失敗例

空き家ビジネスには可能性がある一方、リスクや失敗のケースも存在します。事前の調査や準備を怠ると、投資が無駄になることも珍しくありません。

実際、需要が首都圏周辺に偏りがあったり、規模の小さい自治体の物件に需要がない傾向が見られるため、理想と現実にギャップがあることも理解する必要があります。

では、空き家ビジネスのリスクと代表的な失敗例を解説します。

4-1 入居者が決まらない

需要のない場所で物件を取得してしまうと、改修しても入居者が見つからず赤字になるリスクがあります。ターゲットとなる利用者が明確でない場合は、着手を見送るのが賢明です。

特に過疎化が進む地域では、人口減少によって賃貸ニーズが極端に限られている場合があります。せっかくリノベーションしても、想定する家賃収入を得られずに維持費だけが膨らむケースも珍しくありません。

事前に入居希望者や借り手の仮予約を取るといった戦略が必要です。

4-2 解体費用や改修費の見積もり不足

古い物件は、当初の想定以上に解体や修繕に費用がかかることがあります。特にシロアリ被害や基礎部分の損傷は発見しづらく、後からコストが膨らむ原因になりかねません。

プロによるインスペクション(専門調査)を事前に受けて、予想外の出費を未然に防ぎましょう。

4-3 地域ニーズにマッチしていない

空き家活用が地域住民やターゲット層のニーズと乖離していると、事業として成立しません。

例えば、観光客がほとんど来ないエリアで民泊を始めても稼働率が低くなります。地域の人口動態や生活環境を調査したうえで企画する必要があります。

地域ニーズの把握には、役場職員や住民との対話、アンケート調査などを活用しましょう。また、競合状況や住民ニーズに応じた柔軟な事業モデルを設計する力も問われます。

4-4 賃貸・売却の出口戦略がない

最終的な出口戦略が不明確だと、事業が頓挫した際に資金回収が困難になります。

初期段階から、賃貸契約の有無や売却先候補を考慮した設計が重要です。クラウドファンディングや不動産投資型のマッチングサービスの活用も視野に入れましょう。

特に地方物件の場合、将来的に借り手や買い手が見つからないリスクも想定しておく必要があります。そのためには、流動性のあるエリアを選びつつ、事業が失敗した場合の撤退プランを事前に考えておくことが大切です。

4-5 再建築不可・境界問題

都市計画法や建築基準法の制限で、再建築ができない土地もあります。さらに隣地との境界が不明瞭な場合、トラブルの元になりかねません。

再建築不可の土地を誤って購入すると、新築や建て替えができず資産価値が極端に下がります。事前に登記簿や図面を確認し、専門家に相談することがトラブル回避の基本です。

第5章 空き家ビジネスを始めたい人がやるべきこと

空き家ビジネスを成功させるためには、感覚だけで動くのではなく、着実な準備と検証が不可欠です。

重要なポイントは、入居者や利用者が決まってから初期費用を投入することです。スピード勝負ではなく、地に足のついた長期戦略が求められる分野となります。

行政との連携や法的なリスク回避など、多角的な視点を持って取り組みましょう。

では、空き家ビジネスを始めたい人がやるべきことを解説します。

5-1 建物・土地の法規制を確認する

古民家や郊外の空き家では、再建築不可や用途制限、建ぺい率・容積率制限などの法的なハードルが存在します。知らずに購入し、活用できないケースは珍しくありません。

空き家を探す際は、以下の項目を忘れずに確認しましょう。

  • 都市計画区域内か否か
  • 再建築可能か
  • 接道義務を満たしているか

購入前に市町村の建築指導課や法務局へ相談し、事前調査を怠らないことが事業成功の前提です。また、地役権や借地権など、第三者の権利関係にも注意を払いましょう。

5-2 地域のニーズを把握する

地域住民の年齢層や観光資源、既存サービスの状況などを調べた上で、どのような活用が最適かを判断する必要があります。

空き家活用の成否は、その土地の文脈をいかに理解するかにかかっています。地域で不足しているサービスや、外部からの新しい価値をどう届けるかという視点が重要です。

地方創生や観光誘致など、自治体の中長期ビジョンとの整合性も確認しておきましょう。

5-3 一部活用から小さく始める

最初から全体改修を行うのではなく、一部の部屋やスペースだけを改装し、テスト運営すると堅実です。収益が出た段階で、順次拡大していく形がリスク管理に優れているでしょう。

例えば、最初は週末限定の民泊やイベントスペースとして運用し、ニーズの有無を確かめてから本格投資する流れが現実的です。段階的に育てる発想が、空き家ビジネス成功の鍵といえるでしょう。

5-4 空き家バンクや不動産プラットフォームを利用する

全国の空き家情報を検索できる空き家バンクや、リノベーションに強い不動産サイトを活用することで、掘り出し物件が見つかる可能性が高まります。

空き家バンクには自治体が運営するものと、民間のマッチングサービスの両方があります。物件情報だけではなく、補助金情報や移住支援制度も掲載されており、空き家活用の入口として有効です。

不動産や建築の専門家とも連携しながら、自分に合った物件を見極める目を養いましょう。

まとめ:空き家ビジネスは注目市場!空き家を有効活用しよう

空き家は負動産ではなく、工夫次第で立派な資産に生まれ変わる存在です。地域づくりや社会課題の解決にもつながる可能性を秘めており、社会貢献にもなり得るでしょう。

ただし、成功する空き家ビジネスの裏には、的確なニーズ把握と適切な資金計画、綿密な準備が必要となります。リスクを踏まえながら慎重に進め、空き家を再生し価値ある未来を築いていきましょう。

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この記事の執筆者

杉田 悟(すぎた さとる)

杉田 悟(すぎた さとる)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/管理業務主任者/競売不動産取引主任士

長年の実務経験を持ち、特に相続や不動産登記に関する専門性が高い。一般の方にも分かりやすく、正確な情報提供をモットーとしている。

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