空き家管理にかかる費用は年10万円以上!相場と節約方法を徹底解説

空き家管理にかかる費用は年10万円以上!相場と節約方法を徹底解説
執筆者: 杉田悟

はじめに

空き家を実際に管理しようとすると、想像以上に費用がかかります。

令和6年空き家所有者実態調査結果によると、空き家へ年間にかける維持費用は10万円〜30万円以上が全体の約33.7%という結果になりました。

参考:令和6年空き家所有者実態調査結果/国土交通省

同調査では、維持費用が5万円未満という結果が約50%に及んでおり、空き家の管理としては最低限、固定資産税を支払っているのみという所有者も多いと推察されます。

しかし、空き家を十分に管理せず放置していると、建物の劣化が加速するだけでなく、行政から管理不全空き家として指定されたりするリスクがあります。

まずは空き家の管理にはどのような費用がかかるのか、一般的な目安を把握しておきましょう。

この記事では、空き家管理にかかる費用の内訳と相場など、空き家を抱える方が知っておくべき情報を詳しく解説します。

第1章 空き家管理にかかる費用は年に10万円~30万円

空き家を維持管理するには、年間で10万円から30万円程度の費用がかかるのが一般的です。前述のとおり、空き家にかける年間費用でもっとも多いのは金額は物件の規模や立地、管理方法によって変動します。

以下に、主な費用項目と目安をまとめました。

費用項目年間費用の目安
固定資産税・都市計画税5万円~15万円
電気・水道基本料(ライフライン基本料)2万円~3万円
火災保険・地震保険2万円~5万円
草刈り・庭木剪定2万円~10万円
建物の修繕・メンテナンス5万円~20万円
管理サービス利用料3.6万円~10万円

それぞれの項目について、以下で詳しく解説します。

1-1 固定資産税・都市計画税

空き家であっても、所有している限り固定資産税の支払い義務は発生します。地域によって差がありますが、目安としては年間10万円〜15万円ほどです。

固定資産税は土地と建物それぞれに課税され、標準税率は1.4%です。

一戸建ての固定資産税

実際の税額は、固定資産税評価額に住宅用地の軽減措置などを適用した課税標準額をもとに計算されます。

都市計画区域内の物件であれば、さらに都市計画税(標準税率0.3%以下、自治体によって異なる)が加算されます。

ただし、管理が行き届かず特定空き家に指定されると、特例措置が適用されなくなります。結果的に、税負担が大幅に増加するリスクが生じることを知っておきましょう。

1-2 電気・水道などのライフライン基本料(停止しない場合)

完全に使用していなくても、定期的に訪問して換気や清掃を行うために電気や水道を契約したままにしている空き家もあるでしょう。

ほとんど使用しなくても、基本料金だけで電気が年間1万円程度、水道が年間1万円から2万円程度かかります。

訪問頻度が少なく、最小限の作業で済むのであれば、ライフラインを停止して懐中電灯やポータブル電源で対応する方法もあります。

ただし、水道を止めると排水トラップの水が蒸発して悪臭が発生したり、害虫が侵入しやすくなったりするため、定期的に水を補給する必要があります。

1-3 火災保険・地震保険

空き家であっても火災保険への加入は重要です。

放火や漏電による火災、台風や大雪による損壊など、空き家特有のリスクは決して低くありません。むしろ、人が住んでいないからこそ火災の発見が遅れたり、防犯面での不安が高まったりします。

空き家向けの火災保険は、居住用の住宅と比べて保険料が高めに設定されていることが多く、年間2万円から5万円程度が相場です。地震保険を付帯する場合は、さらに1万円から3万円程度が上乗せされます。

保険料を抑えたい場合は、補償内容を見直したり、複数の保険会社で見積もりを比較して選んだりするのが効果的です。

空き家の火災保険の選び方について気になる方は、以下の記事も参考にしてください。

1-4 草刈り・庭木剪定費用

空き家の外観を維持するために避けて通れないのが、庭の手入れです。雑草が伸び放題になったり、庭木が道路にはみ出したりすると、近隣住民からの苦情につながるだけでなく防犯面でも問題が生じます。

草刈りを業者に依頼すると、相場は1時間3,000円~4,000円程度です。だいたい1回3~6時間で依頼すると、1回あたり1万円から3万円程度かかる計算になります。

さらに年に3回から4回実施すると考えると、年間3万円から10万円以上かかります。庭木の剪定が必要な場合は、さらに1回あたり2万円から5万円程度の追加費用が必要です。

豪雪地帯では、草刈りだけでなく冬季に雪かきも必要になります。屋根の雪下ろしや敷地内の除雪を業者に依頼すると、1回あたり数万円かかることもあり、年間の維持費はさらに膨らみます。

1-5 建物の修繕・メンテナンス費

建物は人が住んでいなくても劣化が進みます。むしろ、換気や掃除が行き届かないために、湿気によるカビや腐食、害虫の発生などが早まる傾向があります。

屋根や外壁の補修、雨樋の清掃、シロアリ対策など、定期的なメンテナンスが必要です。小規模な修繕でも1回あたり5万円から10万円程度、大規模な修繕になると数十万円から100万円以上かかるケースもあります。

年間で平均すると5万円から20万円程度を見込んでおく必要がありますが、築年数が古い物件ほど修繕費用は高額になる傾向があります。

1-6 管理サービス利用料

遠方に住んでいて自分で管理に通うのが難しい場合は、空き家管理サービスを利用すべきです。ダスキンなどの大手から地域密着型の業者まで、さまざまな事業者がサービスを提供しています。

基本的な管理プラン(月1回の訪問、外観点検、換気、簡易清掃など)で月額5,000円~1万円程度、年間では6万円~12万円程度が相場です。より詳細な点検や庭の手入れまで含めたプランでは、月額2万円以上になることもあります。

自分で通う交通費や時間を考えると、管理サービスを利用した方がトータルで計算すると経済的というケースも少なくありません。

第2章 空き家管理の維持費を抑える方法

年間10万円以上かかる空き家の維持費ですが、工夫次第で負担を軽減できます。

ここでは、実践しやすい節約方法を3つご紹介します。

2-1 定期的な点検や清掃は自分で行う

最も基本的な節約方法は、できる範囲の作業を自分で行うことです。管理サービスに全てを委託すると年間10万円前後かかりますが、月に1回程度自分で訪問できるのであれば、その費用を削減できます。

専門的な知識がなくてもできる作業は以下の通りです。

  • 換気(窓を開けて室内の空気を入れ替える)
  • 簡易清掃(ホコリを払う、床を掃く)
  • 郵便物の整理
  • 外観の目視確認

ただし、遠方から通う場合は交通費がかさむため、往復の交通費と管理サービス費用を比較して判断しましょう。

例えば、往復3万円の交通費がかかるのであれば、年間4回通うと12万円になります。この場合、月1回訪問してくれる管理サービス(年間6万円から8万円)を利用した方が費用の負担が軽くなります。

2-2 火災保険の見直し

火災保険は空き家の維持に欠かせませんが、保険料を見直すことで年間数千円から1万円以上の節約ができる可能性があります。

まず確認したいのが、不要な特約が付帯していないかという点です。例えば、誰も住んでいない空き家に家財保険は必要ありません。また、建物の価値が低下しているにもかかわらず、以前と同じ高額な保険金額を設定したままになっていないかもチェックしましょう。

さらに、複数の保険会社から見積もりを取り、保険料を比較することも有効です。保険会社によって、同じ補償内容でも保険料が異なるケースがあります。

2-3 管理代行サービスを比較して選ぶ

管理サービスを利用する場合、複数の業者を比較して選ぶことが大切です。料金だけでなく、サービス内容や対応エリア、実績や口コミなども考慮しましょう。

ただし、安すぎるサービスには注意が必要です。月額3000円以下の格安サービスの中には、外観を見るだけで室内には入らない、写真撮影だけで実際の換気や点検は行わないといったケースもあります。

契約前にサービス内容を詳しく確認し、実際に利用した人の評判もチェックしましょう。

第3章 費用がかかるからといって空き家を管理しないリスク

維持費の負担を理由に空き家を放置してしまうと、かえって大きな損失やトラブルを招く可能性があります。

管理を怠ることで生じる3つの主なリスクを理解しておきましょう。

3-1 資産としての価値が下がっていく

建物は適切な管理が行われないと急速に劣化します。

換気不足による湿気でカビや腐食が進み、雨漏りの発見も遅れて被害が拡大します。数年放置すれば外壁は剥がれ、庭は雑草だらけになるでしょう。

このような状態では売却時に買い手がつかず、大幅な値下げを余儀なくされます。

3-2 第三者に迷惑がかかったら責任を問われる

管理されていない空き家は、さまざまなトラブルの原因になります。台風で屋根瓦が飛んで隣家に被害を与えたり、庭木が道路にはみ出したりすれば、所有者が損害賠償責任を問われます。

さらに深刻なのは、不法侵入や放火、違法薬物取引など犯罪の温床になるリスクです。景観を損ね、防犯上の不安を与える空き家は、地域コミュニティにとって深刻な問題となります。

3-3 管理不全空き家・特定空き家に指定される

空家等対策特別措置法により、適切に管理されていない空き家は「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定される可能性があります。

特定空き家に指定されると、まず自治体から改善の指導や勧告が行われます。勧告を受けても改善しない場合、住宅用地の特例措置が解除され、固定資産税が最大で6倍に跳ね上がります。例えば、年間5万円だった固定資産税が30万円になるケースもあるのです。

さらに命令に従わない場合は50万円以下の過料が科され、最終的には行政代執行として強制的に解体されることもあります。この解体費用は所有者が負担しなければならず、100万円以上の請求が来ることも珍しくありません。

費用を惜しんで管理を怠った結果、かえって高額な負担を強いられる事態になりかねないのです。

第4章 空き家の管理費用が負担になるときの対処法

年間数十万円の維持費を払い続けることが難しい、または費用対効果が見合わないと感じた場合、空き家を手放すことも考えるべきです。ここでは、5つの対処法をご紹介します。

4-1 解体して更地にする

建物を解体して土地だけにすることで、管理の手間は大幅に減ります。草刈りなどの最低限の管理は必要ですが、建物のメンテナンスや防犯対策にかかる費用や労力は不要になります。

ただし、解体には100万円前後の費用がかかることが一般的です(木造30坪程度の場合)。敷地が広かったり、鉄骨造や鉄筋コンクリート造だったりすると、200万円から300万円以上かかるケースもあります。

地域によっては自治体が解体費用の補助金を出している場合がありますので、事前に確認しておきましょう。補助金の上限は自治体によって異なりますが、30万円から100万円程度の補助が受けられることがあります。

注意したいのは、解体すると住宅用地の特例措置が適用されなくなり、固定資産税が最大で6倍になる点です。更地にした後の税負担増や活用なども含め、総合的に判断する必要があります。

4-2 不動産会社・空き家バンクを通して売却する

売却すれば、管理費用の負担から完全に解放されるだけでなく収入も得られます。立地が良ければ思った以上の価格で売れる可能性もあるため、検討してみましょう。

まずは複数の不動産会社に査定を依頼して、適正な市場価格を把握しましょう。地元の不動産会社は地域の事情に詳しく、購入希望者のネットワークを持っていることがあります。

また、自治体が運営する空き家バンクへの登録も検討してみてください。空き家バンクは、空き家を売りたい・貸したい人と、買いたい・借りたい人をマッチングするサービスです。移住を検討している人や古民家をリノベーションしたい人など、独自の需要があります。

「実家の空き家をどうすればいいか分からない」「売却を検討しているが進め方が分からない」という方は、空き家問題の専門家に相談してみることをお勧めします。

4-3 賃貸物件やカフェ・コワーキングスペースとして活用する

売却以外にも、空き家を収益を生む資産に変える方法があります。
賃貸物件として貸し出せば家賃収入を得られ、カフェやコワーキングスペース、民泊施設としての活用も可能です。古民家なら観光施設やイベントスペースとして需要があるかもしれません。

ただし、リフォーム費用や許認可取得が必要になる場合もあります。自分での運営が難しければ、運営事業者を探すことも検討しましょう。

4-4 近隣住民や親戚に譲る

無償、または低価格で譲渡する方法もあります。隣接地の所有者なら敷地拡張のメリットがあるため、無償でも引き取ってもらえる可能性があります。

実家に愛着を持つ親戚や将来活用する予定がありそうな人がいれば相談してみましょう。

ただし、所有権移転登記の手続きが必要で、登記費用や税金(譲渡所得税や贈与税)が発生する可能性があります。専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

4-5 対応に悩むならしかるべき機関・専門家へ相談する

空き家問題は法律、税金、不動産、建築など多岐にわたる専門知識が必要なため、一人で判断するのは困難です。

自治体の空き家相談窓口では制度や補助金の案内を受けられ、司法書士は相続や登記、税理士は税金面、不動産会社は売却や活用について専門的なアドバイスをしてくれます。

まとめ:空き家管理の費用対効果を見定めよう

空き家の管理費用は、年間10万円〜40万円以上かかります。費用がかかるからといって放置すれば、資産価値の低下や特定空き家指定による税負担増など、かえって高額な費用がかかる事態になりかねません。

重要なのは、管理を続けるか手放すかの方針を早めに決めることです。費用対効果を見極めながら、相続人の間での話し合いや専門家への相談を通じて、家族全員が納得できる解決策を見つけましょう。

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この記事の執筆者

杉田 悟(すぎた さとる)

杉田 悟(すぎた さとる)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/管理業務主任者/競売不動産取引主任士

長年の実務経験を持ち、特に相続や不動産登記に関する専門性が高い。一般の方にも分かりやすく、正確な情報提供をモットーとしている。

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