代償分割で譲渡所得が発生する条件は?払うべき税金と確定申告の必要性

代償分割で譲渡所得が発生する条件は?払うべき税金と確定申告の必要性
執筆者: 木村道哉

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はじめに

相続が発生したとき、遺産の分け方に迷う方は多いでしょう。相続トラブルを回避するために、代償分割は有効な手段として注目されています。

代償分割は多く使われる一方、仕組みや税務上のリスクが十分に理解されていないケースも珍しくありません。例えば、不動産を引き継いだ相続人が他の相続人に代償金を支払う際、支払い方法によっては譲渡と判断され、所得税が課税されることがあります。

本記事では、代償分割で譲渡所得が発生するケースと注意点を解説します。代償分割をするメリット・デメリットを比較して最適な選択肢を取りましょう。

第1章 代償分割とは遺産分割方法の一種

代償分割は遺産分割方法の一種で、特定の相続人が財産を受け取る代わりに、他の相続人に金銭などを支払って調整を行う方法です。

分割方法内容
現物分割遺産をそのままの形で分ける方法
代償分割特定の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金を支払う方法
換価分割遺産を売却し、売却代金を分配する方法
共有分割遺産を相続人で共有名義にする方法

不動産や事業用資産など、物理的に分割が難しい遺産がある場合に有効で、公平性を保ちながらスムーズに遺産分割を進める手段とされています。

1-1 代償分割の具体例

例えば、唯一の遺産である3,000万円相当の不動産を相続人Aが取得する場合で考えましょう。

この場合、Aが不動産を単独で相続し、代償としてBとCにそれぞれ1,000万円ずつ支払う形で公平性を図ります。

相続人取得財産財産評価額代償金のやり取り
A不動産3,000万円BとCに各1,000万円を支払う
BなしAから1,000万円を受け取る
CなしAから1,000万円を受け取る

代償金は現金で支払われることが一般的ですが、場合によっては株式や他の不動産で支払うこともあります。

また、代償分割は相続人の間での合意が前提となり、法的な知識が求められる場面が多く存在するため注意しましょう。

第2章 代償分割で譲渡所得が発生するケース

代償分割によって譲渡所得が発生するかは、代償金の支払いにどのような財産が用いられるかに左右されます。

代償金が現金であれば金銭の移転として扱われ、税務上の問題はほとんど発生しません。

しかし、不動産や株式などの資産が代償財産として使われる場合、その資産の譲渡があったと判断されるため、譲渡所得が課税される可能性が出てきます。

特に、その資産の時価が取得費を上回る場合に譲渡所得が発生するため、相続財産の評価や取得費の計算をする必要があるでしょう。

2-1 代償分割で譲渡所得が発生した場合の計算方法

譲渡所得は、譲渡した財産の譲渡価格(時価)と取得費および譲渡費用との差額で算出されます。

例えば、取得費1,000万円の土地を、相続時に2,000万円の時価で他の相続人に代償財産として渡した場合、1,000万円の譲渡所得が発生することになります。

項目金額
譲渡価格(時価)2,000万円
取得費1,000万円
譲渡費用0円
譲渡所得1,000万円

譲渡所得は、所得税や住民税の課税対象となり、確定申告が必要になります。

なお、代償分割で他の相続人に現金を支払って資産を受け取る場合、その受け取った側に譲渡所得が発生するので覚えておきましょう。

取得費が不明な場合は、譲渡価格の5%(100万円)を概算取得費とすることもできますが、税負担が大きくなる可能性が高いため、可能な限り正確な取得費を把握しましょう。

2-2 現金で代償金を支払う場合は発生しない

代償分割をする際に、現金で代償金を支払った場合には、利益が出る余地はなく譲渡所得は発生しません。

税務上も財産の分配と判断するため、所得税の対象外となります。よって、税負担を抑える観点でも、現金での支払いはリスクが少なく、手続きも比較的簡単で便利です。

ただし、相続財産に占める現金の割合が少ない場合は、現金を準備しなければなりません。別のコストが生じる可能性もあるため、事前の資金計画が大切です。

第3章 代償分割で発生する税金の注意点

代償分割を行う場合、所得税や贈与税、不動産取得税といった複数の税金のリスクが存在します。

適切な知識がないままに手続きを進めてしまうと、後から高額な課税がなされる可能性があるため、事前の準備と専門家への相談がポイントです。

では、代償分割で発生する税金の注意点を解説します。

3-1 所得税

不動産や有価証券などの資産を代償財産として譲渡した場合、譲渡所得が発生し、所得税が課税されます。

なぜなら、代償金を現金以外の資産で支払うことにより、譲渡所得が生じる可能性があるためです。譲渡所得は一般的に分離課税の対象となります。

譲渡にかかる手数料や登記費用なども譲渡費用として控除可能な場合があるので、正確な記録を残しておくことが推奨されます。

3-2 贈与税

代償分割で発生する代償金の支払いは、本来は贈与ではなく相続に伴う対価的な支払いとされているため、原則的に贈与税は課されません。

しかし、代償金が時価を著しく上回っていたり、明確な合意書が存在しなかったりする場合には、みなし贈与にあたると判断される可能性があります。

その場合、受け取った相続人が贈与税の納税義務を負うことになり、思わぬ負担となる可能性があります。心配な場合は、専門家に相談してアドバイスを受けると安心です。

3-3 不動産取得税

不動産を代償財産として相続人に渡す場合、不動産取得のために不動産取得税が課税されることがあります。

通常の相続で取得した不動産には、不動産取得税がかかりません。しかし、代償分割によって不動産を取得した場合、課税対象となるケースがあります。

税率は原則4%ですが、2027年3月31日の取得までは軽減税率として3%が適用されることもあるため、不動産が所在する都道府県の役所で確認しましょう。

第4章 譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要!

代償分割で不動産などを代償財産として譲渡した場合、譲渡所得が発生し、確定申告が必要になるケースが多くあります。

確定申告を行わないと、税務署から追徴課税を受けるリスクがあるため注意が必要です。

特に、譲渡所得が発生して3,000万円特別控除を適用したい場合や、譲渡費用として控除対象となる費用がある場合には、正確な申告が求められます。

なお、3,000万円特別控除の対象は自宅に限られるため、すべての代償分割に適用されるわけではありません。代償分割で自宅を代償財産とする場合に限り、条件を満たすことが必要です。

譲渡所得の発生があるか不明な場合は、税理士などの専門家に相談しながら進めると安全です。

第5章 代償分割をするメリット・デメリット

代償分割には多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。

事前の準備が不十分なまま行うことで、トラブルに発展する可能性もあるため、メリット・デメリットをバランスよく理解しておきましょう。

5-1 代償分割をするメリット

代償分割を利用するメリットは、不動産や事業資産など物理的に分けにくい財産でも公平に分割できる点です。

公平に分割することで、遺産を巡る相続人の間でトラブルを防ぎやすくなります。

また、資産の売却をしなくてもよいため、市場価格の変動や売却コストに左右されずに遺産を維持できる点も大きなメリットです。

事業用資産や自宅などの財産を守るためにも、代償分割は現実的な選択肢となるでしょう。専門家のサポートのもとで手続きをすれば、精神的にも落ち着いて相続を進められるでしょう。

5-2 代償分割をするデメリット

代償金を支払う相続人は、まとまった資金を用意する必要があるため、大きな経済的負担となる可能性があります。

特に、相続財産に現金が少ない場合は、資産の売却や借入によって代償金を捻出しなければならず、長期的な資金繰りに影響を及ぼすこともあります。

また、代償財産として不動産を用いた場合、譲渡所得が発生して税金負担が増える可能性もあるでしょう。

代償分割は便利な手段である一方、実行には慎重な計画をしなければなりません。

まとめ:代償分割は譲渡所得が発生する可能性あり!

代償分割は遺産分割をスムーズに行う手段として有効ですが、状況によっては譲渡所得が発生し、確定申告や税金の負担が生じてしまいます。

特に、不動産を代償分割として使用する場合は、事前に税理士などの専門家に相談し、取得費や税額の試算を行っておくことをおすすめします。

今後の相続手続きを円滑に進めるためにも、制度の仕組みを理解し、最適な分割方法を選びましょう。

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この記事の執筆者

木村 道哉(きむら みちや)

木村 道哉(きむら みちや)

グリーン税理士法人 代表社員/税理士/弁護士

早稲田大学法学部卒。都内大手税理士法人のインハウスロイヤーとして経験を積んだ後、木村道哉税理士事務所を開業。資産税(相続税・贈与税)を中心とした申告業務に携わり、相続人間に紛争が生じた場合の相続税申告業務に詳しい。

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