相続した市街化調整区域が売れない!売却しやすい建物の特徴は?

相続した市街化調整区域が売れない!売却しやすい建物の特徴は?
執筆者: 中西孝志

📞 0120-905-573
平日9:00~20:00・土日祝9:00~18:00

不動産・相続の無料相談フォームへ

目次

はじめに

相続した土地が「市街化調整区域」と知って、聞き慣れない言葉に不安になった方も多いのではないでしょうか。

市街化調整区域は、原則として建物の新築ができず、不動産としての活用や売却が難しい土地とされています。したがって「相続したけれど売れない」「どう扱えばいいのか分からない」と悩む方が多い土地です。

本記事では、相続した市街化調整区域が売れない理由と売却のポイントを解説します。市街化調整区域を相続するか迷っている方は参考にしてください。

第1章 市街化調整区域とは

市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて定められた区域を指しており、将来的にも市街地として発展させないことを前提としたエリアです。

人口集中や無秩序な宅地開発を防ぎ、農地や自然環境を守ることを目的としており、長期的な都市計画に基づいて行われます。

相続した土地が市街化調整区域に含まれている場合、短期間で状況が大きく変わる可能性は高くないといえるでしょう。

1-1 市街化調整区域と市街化区域の違い

市街化区域と市街化調整区域の違いは、建築や開発に対する考え方です。

市街化区域では、住宅や商業施設の建築が前提とされており、インフラ整備も計画的に進められます。一方、市街化調整区域では、原則として新たな建築行為が認められておらず、例外的に許可された場合のみ建物を建てることができます。

市街化区域が「積極的に街をつくる場所」であることに対し、市街化調整区域は「できるだけ現状を維持する場所」と考えるとよいでしょう。

市街化区域の土地は需要が安定していますが、市街化調整区域は購入できる人物が限られるため、相続した土地がどちらに該当するか確認しておく必要があります。

1-2 市街化調整区域に指定される土地の特徴

市街化調整区域に指定される土地は、市街地の外縁部や農村地域に多く見られます。

例えば、周囲に田畑や山林が広がっている、公共交通機関が少ない、上下水道などのインフラが未整備などの特徴を持つケースが一般的です。

また、同じ市街化調整区域でも、自治体によって許可基準や運用方針が異なります。

ある自治体では建替えが認められる土地でも、別の自治体では認められないこともあるため「市街化調整区域だから売れない」と決めつけずに、まずは条件を確認しましょう。

第2章 市街化調整区域を相続するメリットは?

市街化調整区域は売れないイメージが先行しがちですが、必ずしもデメリットだけではありません。特に税金面では、市街化区域の土地よりも有利に働くケースもあります。

ここでは、市街化調整区域を相続するメリットを紹介します。

2-1 相続税評価額が低くなりやすい

市街化調整区域の土地は、建築や利用に大きな制限があるため、相続税評価額が市街化区域の宅地よりも低く算定される傾向があります。

なぜなら、相続税を計算する際に用いられる評価方法は市場での利用価値を重視しているからです。つまり、同じ面積の土地であっても、市街化区域に比べて相続税額が抑えられる可能性も考えられます。

必ずしも厄介な財産とはいえないため、相続を検討する際は覚えておきましょう。

2-2 固定資産税が比較的安い

市街化調整区域の土地は、固定資産税評価額も低めに設定されることが多く、毎年の固定資産税負担が比較的軽くなります。

特に、宅地として利用されていない土地や農地・雑種地扱いの土地の場合、固定資産税が安くなる傾向があるでしょう。

相続後すぐに売却できなかったとしても、維持コストが重くならない点はメリットといえますが、固定資産税が安いからといって完全に放置できるわけではありません。

草刈りや境界整備など最低限の管理は必要になるため、税金と管理コストの両方を踏まえて判断しましょう。

2-3 将来的に区域変更される可能性がある

市街化調整区域は長期にわたり維持されますが、絶対に変更されないわけではありません。

人口増加や都市計画の見直し、インフラ整備の進展などにより市街化区域へ編入されるケースも存在します。

ただし、区域変更は頻繁に起こるものではなく、相続時点で確実に見込まれるものではありません。「いずれ市街化区域になるかもしれない」といった期待だけで相続を決断することは危険なため、現状の制限を前提に判断しましょう。

第3章 市街化調整区域の土地が売れない理由

市街化調整区域の土地が「相続したけれど売れない」といわれる背景には理由があります。

ただ立地が悪いから売れないわけではなく、法律や生活面などの制約が複合的に影響している可能性が考えられるでしょう。

では、市街化調整区域の土地が売れない理由を解説します。

3-1 原則として建物の新築ができない

市街化調整区域では、原則として住宅などの新築が認められていません。

不動産を購入する方の多くは「自分で家を建てたい」「将来建て替えたい」と考えているため、その選択肢が最初から排除されていることで、検討対象から外されやすくなります。

したがって、需要が極端に限定され、市場に出しても反応が得られにくくなるでしょう。

3-2 建物の建替えに許可が必要

すでに建物が建っている土地であっても、建替えや増改築は内容や場所によって都市計画法上の許可の要否が分かれ、自治体の運用基準によって判断されます。

買主にとっては「将来住めなくなるかもしれない」「壊したら再建築できないかもしれない」といった懸念がデメリットになります。

将来への不安が購入をためらわせる大きな理由となり、売却を難しくするでしょう。

3-3 金融機関の融資が通りにくい

市街化調整区域の不動産は、金融機関から担保価値を低く評価されがちです。

したがって、住宅ローンや不動産担保ローンの審査が厳しくなり、融資自体が受けられないケースも珍しくありません。

ローンが使えない場合、購入できるのは現金で買える一部の層に限られます。

需要がさらに絞られることで、売却までに長期間を要する可能性があるでしょう。

3-4 生活利便性が悪い土地である

市街化調整区域は、市街地の外側に指定されることが多いため、駅や商業施設、病院や学校などが遠い傾向があります。

車や公共交通機関の利用が必須の生活環境となるため、高齢者や若い世代には敬遠されがちです。特に近年は利便性を重視する方が増えており、多少価格が安くても「生活しにくい土地」は選ばれにくくなっています。

この点も、市街化調整区域の土地が売れにくい理由の一つです。

3-5 不動産会社が積極的に扱わない

市街化調整区域の土地は成約までに時間がかかりやすく、仲介手数料も低くなりがちです。

不動産会社が積極的に営業をかけないケースも珍しくないため、情報が十分に市場に出回らず、買主の目に触れる機会自体が少なくなります。

売れない原因が土地だけではなく、流通の問題があるケースも多いため注意が必要です。

第4章 市街化調整区域でも売却しやすい不動産の特徴

市街化調整区域の不動産は「基本的に売れない」といわれがちですが、条件次第では比較的スムーズに売却できるケースもあります。

売却のポイントは「購入後に安心して使えるか」「将来の選択肢が残されているか」を具体的に証明できるかどうかです。

ここからは、市街化調整区域でも売却しやすい不動産の特徴を紹介します。

4-1 建築許可の見込みがある土地である

市街化調整区域でも、すでに建物が建っていて、自治体の許可基準を満たすと判断された土地は、建替えや増改築の許可が得られる可能性があります。

買主にとっては「今後も住み続けられる」「将来的に建替えができる可能性がある」といった点は大きな安心材料になります。

ただし、建築許可の条件は自治体によるため、事前に確認しておきましょう。

4-2 建替えが可能である

建替えが可能な土地は、市街化調整区域であっても評価が大きく変わります。

建替え許可が下りる条件や実績がある場合、買主は将来の設計を立てやすくなるため、売却できる可能性が高まるでしょう。

売却時には、どのような条件で建替えが可能なのか説明できるように、自治体への確認結果や過去の許可事例を整理しておくことが重要です。

4-3 生活利便性がよい

市街化調整区域であっても、すべてが不便な立地とは限りません。

市街地に隣接している、幹線道路に近い、スーパーや病院まで車で数分といった土地は、生活利便性の面で評価されやすくなります。

特に居住ニーズがあるエリアでは「市街化調整区域であること」より「住みやすさ」が重視されるケースもあります。立地条件はあとから変えられないため、売却できる可能性を判断するうえで重要なポイントです。

4-4 地元需要が見込める

市街化調整区域の不動産は、広く一般市場に向けて売るよりも、地元需要を狙ったほうが成功しやすい傾向があります。

例えば、近隣に親族が住んでいる方や農業や事業を営む地元事業者など、用途や事情が合致する買主が存在する場合です。

大手ポータルサイトだけに頼らず、地元に精通した不動産会社や専門業者に依頼して売却活動を行うことで、地元需要にリーチしやすくなります。

第5章 市街化調整区域が売れなかった場合の選択肢

市街化調整区域の土地は売却が長期化したり、まったく買い手が見つからなかったりすることも珍しくありません。しかし、売れなくても別の方法を検討することができます。

ここからは、市街化調整区域が売れなかった場合の選択肢を紹介します。

5-1 大幅に価格を下げて売却する

現実的で即効性がある選択肢が、相場よりも大幅に価格を下げて売却する方法です。

市街化調整区域の土地は価格がネックで敬遠されているケースも多く、思い切った値下げによって購入層の関心を引けることがあります。

ただし、値下げには限界があります。固定資産税評価額や近隣の取引事例を無視した価格設定では、かえって不信感を与えることもあるため注意しましょう。

5-2 用途を住宅以外に切り替えて活用する

住宅用途にこだわらず、別の用途での活用を検討することも一つの方法です。

例えば、資材置き場や駐車場、農業用倉庫など、建築が不要または簡易的な施設であれば利用できるケースがあります。

ただし、自治体への事前確認は必須です。無断で用途の変更を行うと、行政指導や罰則の対象になる可能性があるため注意しましょう。

5-3 寄附・相続土地国庫帰属制度を検討する

どうしても売却や活用が難しい場合、自治体への寄附や相続土地国庫帰属制度の利用によって土地を手放す方法があります。

相続土地国庫帰属制度とは、一定の条件を満たした土地を国に引き取ってもらえる制度で、管理の負担から解放される点がメリットです。

ただし、この制度は誰でも利用できるわけではありません。利用するには厳しい要件があるため、検討している場合は早い段階で専門家や行政窓口に相談しましょう。

第6章 市街化調整区域を相続するか迷った場合のポイント

市街化調整区域の土地を相続すべきか迷ったら、その後の管理や他の財産を踏まえて検討する必要があります。

相続は短期的な損得だけではなく、中長期的な視点で整理することが重要です。

ここからは、相続を決断する前に確認しておきたいポイントを解説します。

6-1 再建築・建替えができる土地か確認する

まずは、その土地で将来的に再建築や建替えが可能かどうかを確認しましょう。

市街化調整区域では、建物が存在していても、壊したあとに再建築できないケースが珍しくありません。不動産会社の説明だけで判断せず、必ず自治体の都市計画課や建築指導課に直接確認することが重要です。

再建築不可の場合、相続後に価値が大きく下がるリスクがあるため注意しましょう。

6-2 現在の利用状況と今後の使い道を確認する

現在その土地や建物がどのように使われているか、今後は誰がどのように使うのかを考える必要があります。

相続をして空き家のまま放置をすると、特定空家に指定されてしまい、固定資産税の優遇措置が適用されなくなったり強制代執行の対象となったりとデメリットが生じます。

利用予定が明確ではないまま相続すると、管理の負担だけが残ってしまうため、相続後の管理体制をイメージしたうえで判断することが重要です。

6-3 売却できる見込みがあるか確認する

相続後に売却する可能性が少しでもある場合は、事前に売却見込みを確認しておきましょう。ただし、市街化調整区域の売却は、一般的な相場だけでは判断できません。

地元に強い不動産会社や市街化調整区域の取扱実績がある業者に相談して「どのくらいの価格で、どの程度の期間がかかりそうか」を聞いておきましょう。

売却できる可能性を確認しておくことで、相続するか放棄するか判断がしやすくなります。

6-4 他に財産があるか確認する

市街化調整区域の土地だけではなく、相続財産のバランスを見ることも重要です。

例えば、預貯金や市街化区域の不動産など、他に換金性の高い財産がある場合、市街化調整区域の土地を無理に売却する必要がないケースもあります。

相続財産を一覧化し、総合的に判断することが後悔しない相続につながります。

第7章 市街化調整区域は相続放棄することも可能

市街化調整区域の土地を管理できないと感じた場合、相続放棄を選択することも可能です。

相続放棄とは、最初から相続人ではなかったものとして扱われる制度です。

相続放棄をすれば、市街化調整区域の土地を相続しなくてよいため、今後の管理責任や将来のリスクから解放されます。

ただし、相続放棄をすると市街化調整区域の土地だけではなく、預貯金や他の不動産など、すべての相続財産を放棄することになります。

他に相続したい財産がある場合は、相続放棄が本当に最適な選択であるか専門家と相談しながら慎重に判断することが重要です。

7-1 相続放棄の手続きは司法書士ができる

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申述書を提出することで行います。原則として、相続の開始を知った日から3か月以内の期限が設定されているため、判断を先延ばしにすると選択肢がなくなってしまいます。

申述書の作成や必要書類の収集は、司法書士に依頼することが可能です。

司法書士に依頼すれば、手続きの流れや相続放棄の注意点などのアドバイスを受けられるため、より状況に合った判断ができるでしょう。

まとめ:市街化調整区域を相続するか迷ったら専門家に相談しよう

市街化調整区域の土地は、ネガティブなイメージを持たれがちですが、実際は条件や立地によっては売れる可能性があります。

ただし、相続してから考えるのでは遅いケースもあります。少しでも相続放棄をする可能性があれば、相続前の早い段階で調査することで、幅広い選択肢が選べるでしょう。

市街化調整区域を含む相続について迷った場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。第三者の視点を入れながら、納得のいく相続手続きを行いましょう。

「住まいの賢者」では、司法書士と連携して、不動産の登記や相続の相談など一括で対応しています。不動産の相続問題にお悩みの方は、ぜひ無料相談をご活用ください。

不動産の無料相談なら
あんしんリーガル

電話相談は9:00〜20:00(土日祝09:00〜18:00)で受付中です。
「不動産のブログをみた」とお問い合わせいただけるとスムーズです。

この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

⇒ 執筆者一覧はこちら