相続した不動産の取得価額が分からない!不明な場合の計算方法を解説

相続した不動産の取得価額が分からない!不明な場合の計算方法を解説
執筆者: 木村道哉

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はじめに

相続した不動産を売却する際に「いつ購入されたか分からない」「取得価額が不明」など、悩みを抱える方は珍しくありません。

特に、先祖代々の土地や古い建物では、契約書も領収書も見つからず、困惑するケースが多発しています。

相続した不動産の取得価額が分からない場合、売却して得た利益に対して課される税金が、本来よりも高額になるリスクがあるため注意しましょう。

本記事では、相続した不動産の取得価額が分からない状況での対処法を解説します。

第1章 そもそも「取得価額」とは?

不動産の取得価額とは、物件を購入したときにかかった金額のことです。

土地や建物を買う際に支払った代金のほか、仲介手数料、登記費用、建築費用なども含まれます。

取得価額は、譲渡所得を計算する際の基礎となるため、非常に重要です。譲渡所得税の正確な申告と納付のためにも、可能な限り取得費を明確にしておく必要があります。

取得価額が不明なままでは、譲渡所得が過大に計算され、本来支払う必要のない税金を負担することになりかねません。

1-1 取得価額と税金への影響

譲渡所得は「売却価格-取得費-譲渡費用」で求められます。

つまり、取得費が低ければ低いほど譲渡所得は高額になり、その分課税額が高くなってしまいます。逆に、正確な取得費を証明することで、納める税金を抑えることが可能です。

よって、取得価額の有無は税負担を大きく左右します。取得費が分からないと想定外の負担を強いられる可能性があるため、できる限り合理的な根拠を探し、正確な取得費を算定することが望まれます。

1-2 なぜ相続不動産で取得価額が問題になるのか

不動産を相続した場合、その取得費は原則として被相続人(故人)の取得価額を引き継ぐことになります。

しかし、昔に購入された不動産では、契約書や領収書が残っていないことが多く、取得費が不明になるケースは珍しくありません。

特に、相続が複数回にわたる場合や、何世代も前に取得された不動産では、当時の購入状況を把握すること自体が難しい場合もあるでしょう。

こうした事情で取得費が分からない場合には、譲渡所得税の申告時に問題となってしまいます。

第2章 相続した不動産の取得価額が分からないときの影響

取得価額が分からない場合は、概算取得費を使って取得価額を決めます。概算取得費とは、不動産を売却して得た金額の5%相当を取得費として算出する方法のことです。

概算取得費が全く分からない場合の救済措置として設けられており、取得価額が分かる場合と概算取得費を使った場合では、大きな課税差が生じます。

項目取得価額が分かる場合の金額取得価額が不明で概算取得費を使用した場合の金額
売却価格3,000万3,000万
取得費2,000万円150万円
譲渡費用100万円100万円
譲渡所得900万円2,750万円
課税対象額約182万円約558万円

概算取得費によって、本来よりも数百万円単位で税負担が増える可能性があります。

特に、相続した不動産の場合は、取得時期も古く、資料が不十分なケースが多いため課税リスクに注意が必要です。

第3章 取得価額が分からない場合の対処法

取得価額が分からない場合でも、市街地価格指数や概算取得費を利用することで、取得価額を算出できます。

また、不動産鑑定士に依頼して根拠に基づいた取得価額を算出してもらう方法も有効です。

では、取得価額が分からない場合の対処法を解説します。自身の状況に応じて、最も適した方法を選びましょう。

3-1 市街地価格指数を利用する

国土交通省が発表する市街地価格指数は、特定エリアにおける土地価格の推移を示す統計です。

市街地価格指数を元に、被相続人が取得した時点の不動産価額を推計することができます。

正確な取得価格が分からなくても、価格指数を基準にある程度合理的な価格を導き出せる点がメリットです。

ただし、市街地価格指数の利用には専門知識が必要な場合もあるため、過信しすぎず、必ず税理士や鑑定士の助言と併用することが大切です。

3-2 概算取得費(5%ルール)を使用する

取得費が一切不明である場合、売却価格の5%を取得費とみなす、概算取得費を用いることが可能です。5%ルールは、税法に基づいた明確なルールであり、申告時に適用できます。

例えば、2,000万円で売却した場合は、100万円が取得費とされます。

ただし、5%ルールは取得費が極端に少なくなるため、譲渡所得が大きくなり、課税額が増える傾向があるため注意しましょう。やむを得ずこのルールを適用する場合でも、できる限り他の資料と併用し、納税額を抑える工夫が重要です。

3-3 専門家に依頼する

資料が不足している場合、不動産鑑定士に依頼して、合理的な根拠に基づいた取得価額を算出してもらうことも可能です。

取得時期や当時の土地相場、周辺の取引事例を参考に、可能な限り正確な金額を導き出してくれます。費用はかかりますが、高額な譲渡所得税を抑えるうえでは有効な手段でしょう。

特に、資料が乏しい場合や相続人の間で見解が分かれる場合は、第三者の専門家を介すことで、信頼性のある金額を提示できます。

第4章 先祖代々の土地など古い不動産はどうする?

古くから所有している土地や建物では、購入時の資料が一切残っていないことも珍しくありません。

特に、戦前や戦後間もない時期に購入された不動産であれば、当時の記録自体が不完全である場合もあり、手がかりすら見つからないこともあります。

このようなケースでは、取得価額を推定するためのあらゆる手段を尽くす必要があります。

4-1 可能な限り資料を探す

取得価額が分からない場合は、以下の資料がないか探しましょう。

  • 古い権利証
  • 固定資産税の課税明細書
  • 固定資産台帳
  • 市役所の保管記録

また、過去に不動産を担保にしたローンがある場合は、契約書に取得金額の手がかりが残っていることもあります。

また、親族に聞き取りを行ったり、家族アルバムに貼られた不動産の写真などからも当時の状況が推測できる可能性があるため、地道な情報収集が重要になります。

それでもどうしても分からない場合は、市街地価格指数や概算取得費を利用しましょう。

第5章 相続した不動産の取得価額が不明でも売却したら確定申告が必要

取得価額が分からない場合でも、不動産を売却したら原則として確定申告が必要になります。

税務署は売却価格に基づいて課税判断を行うため、取得費が不明であっても「譲渡があった事実」だけで申告義務が発生します。

では、確定申告の手順を確認しましょう。

5-1 必要書類を揃える

譲渡所得の確定申告には、以下の書類を準備します。

  • 売買契約書
  • 登記事項証明書
  • 仲介手数料の領収書
  • 取得費に関する資料(ある場合)
  • 譲渡費用の証明書類
  • 本人確認書類

売却に関連する支出が多い場合は、領収書や請求書をファイリングして保管し、必要に応じて説明できるように準備しておきましょう。

5-2 確定申告書を作成する

税務署の窓口、またはe-Taxを利用して確定申告書を作成します。

取得費が不明の場合は、概算取得費を使用するか、専門家の意見をもとに合理的な金額を申告書に記載しましょう。不安があれば、税理士に相談すると安全です。

また、譲渡所得の金額が大きくなる場合、節税のための特例適用や控除の可能性も含め、専門家に確認することをおすすめします。

なお、申告期限は原則として譲渡があった翌年の2月16日から3月15日までです。期限を過ぎると延滞税や無申告加算税が課される場合があるため、余裕をもって準備を進めましょう。

まとめ:相続した不動産の取得価額が分からない場合は専門家に相談しよう

取得価額が分からない状態で不動産を売却すると、譲渡所得が過大に計算されてしまい、思わぬ納税義務が生じるおそれがあります。

市街地価格指数や不動産鑑定などを活用し、合理的な取得価額の推定を行うことで、正当な税負担に抑えることができます。

不安があれば、早めに専門家に相談することが最善策です。

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この記事の執筆者

木村 道哉(きむら みちや)

木村 道哉(きむら みちや)

グリーン税理士法人 代表社員/税理士/弁護士

早稲田大学法学部卒。都内大手税理士法人のインハウスロイヤーとして経験を積んだ後、木村道哉税理士事務所を開業。資産税(相続税・贈与税)を中心とした申告業務に携わり、相続人間に紛争が生じた場合の相続税申告業務に詳しい。

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