空き家を相続したら税金はどうなる?固定資産税や相続税など徹底解説

空き家を相続したら税金はどうなる?固定資産税や相続税など徹底解説
執筆者: 木村道哉

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はじめに

相続によって空き家を所有することになった方の中には、税金がいくらかかるのかといった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

実際、空き家にはさまざまな税金がかかり、場合によっては思わぬ負担が発生することもあります。しかし、制度を正しく理解して適切な対処をすれば、その負担を軽減する方法もあるのです。

この記事では、空き家にかかる代表的な税金の種類や注意点などをわかりやすく解説します。

1章 相続した空き家にかかる5つの税金

空き家を相続すると、単に建物を受け継ぐだけでなく、さまざまな税金の支払い義務も発生します。なかには、相続した直後から課税が始まるものもあり、想定外の出費に戸惑う方も少なくありません。

ここでは、空き家を所有するうえで代表的な5つの税金について、それぞれの特徴や注意点をわかりやすく解説します。

1-1 固定資産税・都市計画税

固定資産税と都市計画税は、空き家を所有しているだけで毎年かかる税金です。固定資産税は土地や建物に対して課され、都市計画税は市街化区域内の不動産に対して課されます。

たとえ建物が使われていなくても、所有しているという事実に基づいて課税されるため、空き家をそのままにしておくと継続的な負担となります。

また、これらの税額は固定資産評価額に基づいて算出されるため、築年数が古くても土地の価値が高い地域では高額になることもあります。

1-1-1 固定資産税を払うのは相続人

空き家を相続すると、固定資産税や都市計画税の納税義務は基本的に相続人が負うことになります。相続登記をしていなくても、相続人に納税通知書が届くケースもあるため、自分には関係ないと思っているとトラブルのもとになりかねません。

なお、納税は毎年1月1日時点の所有者に対して行われます。相続の時期によっては、前の所有者と税の支払いについて調整が必要になることもある点に注意しましょう。納税義務者が誰になるか、事前に確認しておく必要があります。

1-2 相続税

空き家を含む不動産を相続した場合、一定の条件を満たすと相続税の対象になります。相続税とは、亡くなった人の財産を受け継いだときにかかる税金で、空き家の評価額も課税の対象に含まれます。

ただし、基礎控除があるため、相続すれば絶対に課税されるというわけではありません。なお、基礎控除額は以下の計算式で算出されます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば相続人が3人いる場合、以下のように計算されます。

3,000万円+600万円×3=4,800万円

仮に相続した不動産の評価額が5,000万円だった場合は、上記の控除額を差し引いた200万円に対して課税されるというわけです。

なお、相続税の計算に使われる空き家の評価額は、固定資産評価額や路線価、倍率方式をもとに算出されます。相続する不動産の評価が高い場合、他の財産と合わせて課税対象になる可能性もあるため、事前に財産全体を把握しておくことが重要です。

自宅だから相続税はかからないと思っていると、後になって思わぬ出費が発生することもあります。心配な場合は、税理士などの専門家に相談するのも良いでしょう。

1-3 登録免許税

空き家を相続したら、被相続人から所有者の名義を変更するために相続登記をしなければなりません。このときにかかるのが登録免許税(0.4%)です。

登録免許税は、固定資産税評価額を基に算出されます。

仮に固定資産税評価額が5,000万円だった場合は以下の通りです。

5,000万円×0.4%=20万円

なお、相続登記は2024年から義務化されており、正当な理由がなく行われていない場合は過料を科せられることがあります。空き家を相続したら、相続登記を忘れずに行うようにしましょう。

1-4 譲渡所得税(売却した場合)

空き家を売却して現金化する場合、譲渡所得税という税金が発生することがあります。これは、売却によって得られた利益(譲渡所得)に対して課される税金で、所得税と住民税を合わせて約20%が課税されます。

ただし、すべての売却に対して税金がかかるわけではありません。たとえば、取得費や譲渡費用を差し引いて利益が出なかった場合には課税されません。また、「空き家の3,000万円特別控除」と呼ばれる制度を活用すれば、一定の条件下で譲渡所得から最大3,000万円までを控除することができます。

この特例を適用するには、空き家が故人の居住用であったことや、売却前に解体・耐震改修を行うことなど、いくつかの条件があります。税負担を軽減するためにも、売却を検討する際は制度を事前に確認し、計画的に進めることが大切です。

1-5 空き家税(非住居住宅利活用促進税)

近年注目されているのが、空き家税とも呼ばれる新しい税制度「非住居住宅利活用促進税」です。これは、長期間使われていない空き家の所有者に対して課税し、空き家の利活用を促すことを目的とした制度です。

2026年には京都市で全国初となる導入(※課税開始は2029年以降)が予定されており、今後は他の自治体にも広がっていく可能性が高いとされています。税額や対象となる空き家の基準などは各自治体ごとに決められるため、地域によって内容が異なる点にも注意が必要です。

この税が導入されると、放置していた空き家に対して、さらに新たな税負担が生じることになります。今後、空き家を相続する方やすでに所有している方は、最新の動向に注意し、活用や処分も含めた早めの対応を検討することが重要です。

2章 【注意】空き家の固定資産税が上がる2つのケース

空き家にかかる固定資産税は、原則として住宅用地の軽減措置特例によって、税額が大きく軽減されています。ところが、特定の条件を満たすとこの特例が適用されなくなり、税金が急激に高くなるケースがあるのです。

特に、空き家を長期間放置してしまうと、思わぬ税負担に直面することがあります。ここでは、固定資産税が上がってしまう2つの具体的なケースについて解説します。

2-1 管理不全空家・特定空家に指定された場合

空き家の管理が不十分で、倒壊の恐れや景観の悪化などが見られる場合、「管理不全空家」や「特定空家」に指定されることがあります。これらに指定されると、本来受けられるはずの住宅用地の軽減措置特例が適用されなくなります。

通常、住宅用地の軽減措置により、200㎡までの部分は固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。しかし、特定空き家に指定されるとこの軽減が外れ、税額が6倍程度に増加する可能性があるのです。

さらに、2023年の法改正によって、管理不全空家も改善がなければ同様の扱いを受けることになりました。

空き家を所有している場合は、定期的な清掃や修繕といった管理を行い、指定されないように対策することが大切です。

2-1-1 固定資産税が上がるタイミングは行政から「勧告」を受けた翌年

「管理不全空家」や「特定空家」に指定されても、すぐに固定資産税が上がるわけではありません。実際に税負担が増えるのは、行政から正式に「勧告」を受けた翌年からとなります。

この「勧告」とは、空き家の所有者に対して「状態を改善してください」と行政が正式に通知するもので、これを受けた後も改善が見られない場合に軽減措置の適用が外されるのです。つまり、税額が上がるタイミングは、行政からの勧告の翌年ということになります。

2023年の法改正により、「管理不全空家」についても、改善がなされない場合は特例除外の対象となるようになりました。つまり、軽度な放置でも対応を怠ると、重い税負担がのしかかるリスクがあるということです。

2-2 空き家を解体して更地にした場合

老朽化した空き家を安全のために解体するという判断は、適切な選択肢の一つです。しかし、解体後に思わぬ形で固定資産税が増えてしまうことがあります。

というのも、建物がある土地には住宅用地の軽減措置特例が適用されますが、建物を解体して更地にしてしまうとこの特例が使えなくなるためです。

結果的に、解体前に比べて固定資産税・都市計画税が数倍に跳ね上がることもあります。ただし、すべての自治体が一律に課税するわけではなく、中には解体後の税負担を軽減する独自の制度を設けているところもあります。例えば、東大阪市では危険な空き家の解体に関する費用を助成しています。

参考:空き家解体費補助制度/東大阪市

空き家の解体を検討している場合は、事前に自治体から出ている補助金などの制度を確認するようにしましょう。

3章 空き家の税負担を軽くするためにできること

空き家を所有していると、固定資産税をはじめとした様々な税金が毎年かかってきます。さらに、管理が不十分な場合や建物を解体した場合には、税額が増加することもあるため、放置しておくのは得策ではありません。

ここでは、空き家による税負担を少しでも軽くするための具体的な選択肢をご紹介します。

3-1 売却する

空き家を手放す方法として、最も直接的で効果的なのが売却です。売却すれば所有権が移転するため、以後の固定資産税や管理の負担から解放されます。また、売却益が出た場合でも、空き家の3,000万円特別控除を活用することで、譲渡所得税を軽減できる可能性があります。

この特例は、相続した空き家が故人の自宅であり、一定の条件を満たして売却した場合に適用されます。たとえば、売却前に建物を解体するか、耐震基準を満たす改修を行う必要があります。

いつか使うかもしれないと空き家を持ち続けるよりも、早期に売却することで、税負担の回避だけでなく資産の有効活用にもつながります。状況に応じて専門家に相談しながら、後悔のない判断をすることが大切です。

3-2 賃貸に出す

空き家を売却せずに活用する方法として、賃貸に出すという選択肢もあります。建物がまだ利用できる状態であれば、第三者に貸すことで家賃収入を得られ、税金や維持費をまかなう助けになります。

賃貸物件として活用すれば、住宅としての扱いが維持されるため、固定資産税の軽減措置を引き続き受けることができます。さらに、家賃収入から経費を差し引いた利益に対してのみ課税されるため、うまく運用すれば税負担を抑えることも可能です。

ただし、賃貸に出すには建物の修繕やリノベーションが必要な場合もあります。また、入居者が見つからなければ収入は得られませんので、立地や需要を見極めたうえで計画的に進めることが大切です。

空き家を手放すのは抵抗があると考える方にとって、賃貸は有効な活用方法の一つです。

3-3 そもそも相続しない

空き家による税負担や管理の手間が大きすぎると感じる場合、相続しないという選択肢も検討できます。相続放棄をすれば、空き家を含む一切の財産を引き継がないため、固定資産税などの税負担からも解放されます。

相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から原則3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。この期間を過ぎてしまうと、相続を認めたとみなされることがあるため、早めの判断が必要です。

また、不動産の相続放棄には独自の注意点もあります。たとえば、他の相続人が放棄していない場合、その人が所有者となる可能性がありますし、誰も相続しないままだと、固定資産税の請求先が不明確になって問題が長引くリスクもあります。

空き家に価値がない、または処分の見込みがないと感じた場合は、専門家と相談して最適な判断を下しましょう。

まとめ:空き家の税金が心配なら放置せずに専門家に相談しよう

空き家を相続すると、固定資産税や相続税、場合によっては譲渡所得税や将来的な空き家税など、さまざまな税金が関係してきます。さらに、管理状態によっては税額が大幅に上がるケースもあるため、知識がないまま放置することは非常にリスクが高いといえるでしょう。

一方で、税制には控除や特例制度もあり、正しく対応すれば税負担を抑えることもできます。売却や賃貸、相続放棄など、自分の状況に合った選択肢を早めに検討することが大切です。

よくわからないからと手をつけずにいると、後で大きな出費やトラブルにつながる可能性もあります。空き家の税金について少しでも不安がある方は、専門家に相談することをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、安心して空き家の将来を考えることができるようになります。

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この記事の執筆者

木村 道哉(きむら みちや)

木村 道哉(きむら みちや)

グリーン税理士法人 代表社員/税理士/弁護士

早稲田大学法学部卒。都内大手税理士法人のインハウスロイヤーとして経験を積んだ後、木村道哉税理士事務所を開業。資産税(相続税・贈与税)を中心とした申告業務に携わり、相続人間に紛争が生じた場合の相続税申告業務に詳しい。

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