相続空き家に残置物がある場合はどうする?処分方法や売却時の注意点を解説

相続空き家に残置物がある場合はどうする?処分方法や売却時の注意点を解説
執筆者: 中西孝志

はじめに

相続によって空き家を引き継いだものの、室内に残された家具や家電、生活用品の扱いに悩んでいる方は少なくありません。「このまま処分していいのか」「売却や解体の前に何をすべきか」と迷っている間に、時間だけが過ぎてしまうケースも多く見られます。

本記事では、相続した空き家の残置物を売却・解体前に処分するメリットとデメリットや、処分方法を解説します。相続した空き家に残置物があってお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。

第1章 相続不動産における残置物とは?

相続不動産における残置物とは、被相続人が生前に使用していた家具や家電、生活用品、衣類、書類など、建物内に残された物を指します。一見すると不要な物に見えることも多いですが、相続の場面では単なる不用品としては扱われません。

相続が発生した場合、残置物は不動産と同様に相続財産の一部となります。そのため、たとえ空き家を管理している相続人であっても、他の相続人の同意を得ずに勝手に処分することはできません。相続人以外の第三者が処分することも原則として認められていません。

特に注意が必要なのが、相続放棄との関係です。相続放棄を検討しているにもかかわらず、残置物を処分したり、持ち出したりすると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。知らずに片付けを進めてしまい、後から相続放棄ができなくなってしまうケースも少なくありません。

このように、相続した空き家に残された残置物は、処分のタイミングや方法を誤ると、相続トラブルや法的リスクに繋がる可能性があります。空き家の売却や解体を検討する場合であっても、まずは残置物の扱いについて正しく理解し、慎重に対応することが重要です。

第2章 相続した空き家の残置物を売却・解体前に処分するメリットとデメリット

相続した空き家に残された残置物は、売却や解体を進める前に処分するケースが一般的です。ただし、残置物の処分にはメリットだけでなくデメリットもあります。ここでは、事前に知っておくべきポイントを整理して解説します。

2-1 売却・解体前に処分するメリット

相続した空き家に残置物がある場合、「そのまま売却や解体を進められないか」と考える方も多いかもしれません。しかし、残置物をあらかじめ処分しておくことで、売却や解体をスムーズに進められるだけでなく、結果的に費用や手間を抑えられるケースもあります。ここでは、売却・解体前に残置物を処分することで得られる主なメリットについて解説します。

2-1-1 購入希望者が増えて売却しやすくなる

残置物が多く残っている空き家は、内覧時の印象が悪くなりやすく、購入希望者に敬遠される傾向があります。室内に家具や荷物が残っていると、実際の広さや状態が分かりにくいうえに、「片付けに手間がかかりそう」「追加費用がかかりそう」と感じられてしまうのです。

一方で、事前に残置物を処分しておけば、室内がすっきりとし、物件本来の状態が伝わりやすくなります。その結果、購入希望者が増え、売却までの期間が短くなったり、高値で売れたりする可能性が高まります。

2-2-2 解体費用を抑えられる

空き家を解体する場合、建物本体の解体費とは別に、室内に残された家具や家電、生活用品などの残置物を撤去する費用が発生します。残置物が多いほど作業量が増えるため、解体費用とは別に高額な処分費用がかかるケースも少なくありません。

一方で、残置物を処分して解体業者に依頼する作業内容を抑えておけば、解体費用の削減に繋がります。特に大型家具や家電が多い場合は残置物の撤去にかかる費用が高額になるので、先に整理しておくのが望ましいでしょう。

2-2-3 売却や解体のスケジュールが立てやすくなる

残置物の量が多い場合や分別が必要な場合は、すぐに処分が完了しません。そのため、残置物を残したままだと、売却や解体のスケジュールが後ろ倒しになりやすくなります。

また、残置物が残った状態での売却・解体に対応していない不動産会社や解体業者があります。室内の状況が確認しづらい、引き渡しトラブルに繋がりやすいといった理由から、残置物の撤去を売却条件とされるケースも少なくありません。その結果、依頼できる業者が限られ、売却までに時間がかかってしまう場合もあります。

一方で、事前に残置物を処分しておけば、不動産会社や解体業者の選択肢が広がり、売却や解体を計画通りに進めやすくなります。空き家を長期間放置せずに済む点も、大きなメリットと言えるでしょう。

2-2 売却・解体前に処分するデメリット

残置物を売却や解体の前に処分することには注意すべき点もあります。メリットだけを見て進めてしまうと、思わぬ費用負担やトラブルに繋がることもあるため、慎重な判断が必要です。ここでは、残置物を事前に処分することで生じやすいデメリットについて解説します。

2-2-1 費用や手間がかかる

残置物を処分する場合、想像以上に費用や手間がかかる点がデメリットです。家具や家電、生活用品が多い場合、分別や搬出に時間がかかるだけでなく、不用品回収業者や遺品整理業者に依頼すると数万円から数十万円の費用が発生します。

また、自分達で処分しようとすると、自治体のルールに従って分別・搬出を行う必要があるうえに、平日の日中に作業しなければならないケースも少なくありません。仕事や遠方に住んでいる場合は、何度も現地に足を運ぶ必要が出てくる場合もあるでしょう。

2-2-2 業者選びに失敗する恐れがある

残置物の処分を業者に依頼する場合、業者選びを誤るとトラブルに繋がる恐れがあります。中には相場よりも高額な費用を請求する業者や、十分な説明をしないまま作業を進めてしまう業者も存在します。

また、相続案件に慣れていない業者に依頼すると、本来は相続人全員の同意が必要な場面でも確認を行わずに処分が進められてしまい、後から「勝手に処分された」とトラブルになるケースもあります。さらに、無許可業者による不法投棄などが発覚した場合、依頼者側が責任を問われる可能性も否定できません。

こうしたリスクを避けるためには、相続や空き家の取り扱いに実績のある業者を選ぶことが重要です。費用だけで判断せず、対応実績や説明の丁寧さを確認したうえで依頼するようにしましょう。

第3章 相続した空き家の残置物を処分する方法

相続した空き家の残置物を処分する方法はいくつかありますが、状況によって適した方法は異なります。費用を抑えたいのか、手間をかけずに進めたいのか、売却を前提としているのかによって選択肢は変わってきます。ここでは、代表的な3つの方法について解説します。

3-1 自分達で処分する

残置物の処分方法として、最も費用を抑えやすいのが、相続人自身で片付けを行う方法です。時間と手間はかかりますが、状況によっては現実的な選択肢でしょう。

例えば、まだ使える家具や家電がある場合は、リサイクルショップに買い取ってもらうことで処分費用を抑えられます。状態が良いものであれば、高値で売却できるケースもあります。

また、処分する物が少量であれば、自治体のごみ回収に出しましょう。自治体ごとに分別ルールや回収日が異なるため、事前に確認したうえで計画的に進めることが大切です。

さらに、時間に余裕がある場合は、フリマアプリやネットオークションを利用して売却する方法も考えられます。家電や家具、趣味用品などは需要があることも多く、処分費用をかけずに現金化できる可能性があります。

ただし、自分達で処分する場合は、分別や搬出に手間がかかるうえ、相続人が複数いる場合には注意が必要です。勝手に処分すると後からトラブルになる恐れがあるため、事前に相続人全員の同意を得たうえで進めることが重要です。

3-2 遺品整理業者に依頼する

残置物の量が多い場合や、相続人自身での片付けが難しい場合は、遺品整理業者に依頼しましょう。遺品整理業者は、残置物の仕分けから搬出、処分までを一括で対応してくれるため、短期間で作業を完了できる点が大きなメリットです。

特に、遠方に住んでいて何度も現地に通えない場合や、家具・家電が多く人手が必要な場合には、有効な選択肢と言えるでしょう。業者によっては、貴重品の捜索や供養が必要な物の仕分けまで対応してくれるケースもあります。

一方で、費用は数万円から、内容によっては数十万円かかることもあり、決して安くはありません。また、業者によってサービス内容や料金体系に差があるため、事前に見積もりを取り、作業範囲や費用をしっかり確認することが重要です。

相続案件では、相続人全員の同意が必要になるため、「誰の判断で依頼するのか」「処分して良い物の範囲」を事前に整理しておかないと、後からトラブルになる可能性があります。相続に関する知識や実績がある業者を選ぶことで、こうしたリスクを抑えられるでしょう。

3-3 不動産会社や回収業者に依頼する

相続した空き家を売却する予定がある場合は、不動産会社や回収業者に相談する方法もあります。不動産会社によっては、残置物の処分から売却までをまとめて対応してくれます。

特に、売却を前提としている場合は、不動産会社に相談することで「残置物がある状態でも売却できるか」「処分してから売るべきか」といった判断をプロの視点でアドバイスしてもらえます。物件の状況によっては、残置物をそのままにして売却し、買主側で処分してもらう形が取れることもあります。

また、回収業者と提携している不動産会社であれば、残置物の撤去から売却までを一括で進められます。処分費用を売却代金から差し引く形で対応できる場合もあり、手元の負担を抑えやすい点もメリットです。

ただし、残置物がある状態での売却は、全ての不動産会社が対応しているわけではありません。対応可否や条件は会社ごとに異なるため、事前に「残置物がある状態での売却が可能か」「処分費用はどのように扱われるか」を確認したうえで依頼することが重要です。

第4章 相続した空き家に残置物があっても売却は可能

物件の状態や立地、売却方法によっては、残置物がある状態でも売却できるケースがあります。ただし、通常の売却とは進め方や注意点が異なるため、事前にポイントを押さえておくことが重要です。

4-1 買主が引き取ってくれるケースがある

相続した空き家に残置物がある場合でも、条件次第ではそのまま売却できるケースがあります。ただし、全ての物件で可能というわけではなく、売却方法や買主の属性によって対応が分かれます。

例えば、不動産会社による買取の場合や、投資目的・解体前提で購入する買主であれば、残置物が残った状態でも購入してもらえることがあります。この場合、残置物の処分費用を考慮したうえで売却価格が調整されるのが一般的です。

一方で、一般の個人が居住目的で購入する場合は、原則として残置物を撤去した状態での引き渡しが求められます。室内に家具や荷物が残っていると、内覧時の印象が悪くなるだけでなく、引き渡し後のトラブルに繋がる可能性があるためです。

また、残置物がある状態で売却する場合は、売買契約書に「現状有姿で引き渡す」「残置物は買主が処分する」といった内容を明記しておく必要があります。こうした取り決めをせずに売却すると、後から撤去費用を請求されるなどのトラブルになる恐れがあります。

このように、残置物がある状態での売却は不可能ではありませんが、対応できる買主が限られること、売却条件が不利になりやすいことを理解しておくことが重要です。

4-2 売却には相続登記が必要になる

残置物の有無にかかわらず、相続した空き家を売却するためには、必ず相続登記を済ませておく必要があります。被相続人名義のままでは、不動産の売買契約を締結することができません。

相続登記では、遺言書や戸籍謄本などの書類をもとに、不動産の名義を相続人へ変更します。相続人が複数いる場合は、原則として全員の合意が必要となるため、手続きに時間がかかりやすいでしょう。

また、相続登記が完了していないと、不動産会社に売却の相談をしても具体的な話が進まないケースが大半です。スムーズに売却を進めるためにも、残置物の処分とあわせて、早めに相続登記の準備を進めておきましょう。

まとめ

相続した空き家に残された残置物は、処分方法を誤るとトラブルや余計な費用が発生することがあります。残置物は相続財産の一部にあたるため、相続人であっても勝手に処分できません。

一方で、売却や解体を見据えるのであれば、残置物を整理しておくことで物件の印象が良くなり、手続きもスムーズに進めやすくなります。ただし、処分には費用や手間がかかり、業者選びを誤るとトラブルになる恐れもあります。

なお、残置物がある状態でも売却できるケースはありますが、対応できる不動産会社や買主は限られます。空き家の扱いに悩んでいる場合は、相続・不動産の両方に詳しい専門家に相談し、自分の状況に合った進め方を確認しましょう。

住まいの賢者では、司法書士法人と連携する不動産会社として、相続した空き家や残置物に関するご相談を、不動産と相続の両面からサポートしています。空き家の処分でお困りの方は、ぜひ無料相談をご利用ください。

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相続空き家の残置物に関してよくある質問

ここでは、相続空き家の残置物に関してよくある質問に回答します。

相続放棄をすれば空き家や残置物の管理責任はなくなりますか?

相続放棄が受理されれば相続人ではなくなるため、空き家や残置物の管理責任がなくなる可能性があります。ただし、空き家との関わり方によっては、相続放棄をした後も次の相続人が決まるまでの間は管理責任が残るかもしれません。

残置物は買主に買い取ってもらえますか?

残置物の買取は、基本的には難しいケースが多いのが実情です。ただし、状態の良い高額な家具や家電、骨董品・ブランド品などが含まれている場合には、売却価格に反映できる可能性があるケースもあります。

一方で、多くのケースでは残置物は譲渡扱いとなり、買主が無償で引き取る、もしくは処分前提での売却となります。そのため、残置物を現金化できると期待するのではなく、「処分費用をかけずに済めばよい」程度に考えておく方が現実的です。

この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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