相続不動産の査定がバラバラなのはなぜ?適正価格の見極め方を解説

相続不動産の査定がバラバラなのはなぜ?適正価格の見極め方を解説
執筆者: 中西孝志

はじめに

不動産を売却する際、複数の不動産会社に査定を依頼するのが一般的です。両親が大切にしてきた不動産であればなおさら、「まずは相場を知りたい」と考えて複数社に相談する方も多いでしょう。

しかし、実際に査定を取ってみると、会社ごとに提示される金額が大きく異なり、「どれを信じるべきか分からない」と戸惑うケースは少なくありません。

実は、相続不動産の査定額が違うのには理由があります。不動産会社ごとに査定方法や考え方が異なるため、同じ物件でも金額に差が出るのは珍しいことではありません。

本記事では、相続不動産の査定額がバラバラになる理由を解説します。また、不動産の適正価格を見極めるポイントも紹介しているので、相続後の不動産売却に向けて不安な方はぜひ最後までご覧ください。

第1章 相続不動産の査定額がバラバラになるのはなぜ?

相続不動産の査定を複数の不動産会社に依頼すると、提示される金額に大きな差が出ることがあります。「同じ物件なのに、なぜこんなに違うのか」と不安になる方も多いでしょう。ここでは、不動産の査定額に差が出る理由を説明します。

1-1 不動産会社ごとに査定方法が違うため

不動産会社の査定額に差が出る大きな理由の一つが、比較に使っている物件が違うことです。不動産の査定では、周辺で実際に売買された物件の価格を参考にする取引事例比較法が使用される場合があります。しかし、どの物件を参考にするかは不動産会社ごとに異なります。

例えば、築年数が近い物件を基準にする会社、駅からの距離を重視する会社、成約時期が新しい物件を優先する会社など、見るポイントに違いがあります。そのため、同じエリア・同じような広さの物件であっても、選ばれる比較対象が違えば査定額にも差が出ます。

特に相続不動産の場合、築年数が古かったり、空き家になっていたりすることが多く、条件が完全に一致する事例が見つかりにくい傾向があります。その結果、不動産会社ごとに評価の幅が広がり、査定額に差が生まれやすくなるのです。

1-2 不動産会社の方針によって金額が変わるため

査定方法だけではなく、そもそもの方針によっても査定額に差が生まれます。

依頼を獲得することを重視する会社の場合、売主の関心を引くために相場より高めの査定額を提示することがあります。査定額が高ければ売主は「ここに任せたい」と感じやすくなるため、集客目的であえて強気の金額を出すケースも少なくありません。ただし、その金額で必ず売れるとは限らず、結果的に売却が長期化してしまうこともあります。

一方で、できるだけ早く成約させたいと考える会社は、売れやすい価格帯を意識して査定を出す傾向があります。早期に買い手が見つかれば、仲介手数料を早く受け取れるためです。この場合、売却スピードは早くなりますが、相場よりやや低めの価格になる可能性もあります。

さらに、依頼されない可能性があることを承知のうえで、適正価格を提示する会社も存在します。こうした会社は、短期的な契約よりも売主の利益を重視し、実際に市場で成立しやすい価格を提示します。

このように、不動産会社によって査定額に差が出るのは、それぞれの立場や考え方が異なるためです。査定額の数字だけを見るのではなく、「なぜその金額なのか」「どんな売却方針なのか」を確認することが、相続不動産の売却で後悔しないための重要なポイントになるでしょう。

第2章 相続不動産を売却する際に一番高い査定額を選ぶ際の注意点

複数の不動産会社から査定を取ると、どうしても「一番高い金額を出してくれた会社に任せたい」と思ってしまう方が多いでしょう。しかし、査定額の高さだけで不動産会社を選ぶと失敗に繋がる恐れがあります。ここでは、高い査定額をそのまま信じることで起こりやすいリスクについて解説します。

2-1 買い手が見つかるまでに時間がかかる

査定額が高いほど有利に感じてしまいますが、必ずしもその価格でスムーズに売れるとは限りません。相場とかけ離れた価格で売り出した場合、購入希望者の検討対象から外れてしまい、買い手が見つかるまでに時間がかかる可能性があります。

特に相続不動産は、築年数が古かったり、設備が現在のニーズに合っていなかったりするケースも多く、条件面で不利になりやすいのが特徴です。価格が相場より高いことで、検討する以前に候補から外されることも珍しくありません。

売却までに時間がかかると、内覧対応や管理の手間が続くだけでなく、売主側の心理的な負担も大きくなります。相続した不動産の場合、早く整理したいと考えている人も多いため、売却が長期化すること自体がストレスになってしまうこともあります。

このように、高い査定額をそのまま信じて売り出すと、想定以上に時間がかかる可能性があるという点は、事前に理解しておくことが大切です。

2-2 依頼後に大幅な値下げを提案される可能性がある

最初は高い金額で売り出していても、実際の市場の反応が伴わなければ、販売価格を見直さざるを得なくなります。その結果、当初の査定額から大きく下げた金額で売却することになり、「最初からこの価格なら別の会社に依頼していたのに」と後悔するケースもあります。

特に注意したいのは、媒介契約を結ぶことを優先して高めの査定額を提示する不動産会社です。契約後に反響が少ないことを理由に値下げを提案されれば、売主としては断りづらいでしょう。

さらに、値下げをすれば必ず売れるとは限りません。価格を下げても反応が改善しない場合、「何度も値下げしている物件」「何か問題があるのではないか」という印象を与えてしまい、かえって買い手から敬遠されることがあります。結果として、当初想定していたよりも安い金額で売却せざるを得なくなるリスクもあるでしょう。

第3章 相続不動産の適正価格を見極めるポイント

相続不動産の査定額が会社ごとに違う理由を理解しても、「結局いくらを基準に考えれば良いのか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。相続不動産の売却で大切なのは、査定額の数字そのものではなく、その価格がどのような根拠で算出されているかを見極めることです。

相場や査定内容を正しく理解できれば、不動産会社の説明に振り回されることなく、納得のいく判断ができるようになるでしょう。ここでは、相続不動産の適正価格を見極めるために押さえておきたいポイントを解説します。

3-1 相場を把握する

相続不動産の適正価格を見極めるためには、相場を把握することが重要です。不動産会社から提示された査定額が妥当なのかを判断するには、実際にどのくらいの価格で取引されているのかを知っておく必要があります。

相場を調べる方法として参考になるのが、国土交通省が運営している不動産情報ライブラリです。不動産情報ライブラリは、実際に成約した不動産の取引価格を閲覧できる公的なデータベースで、エリアや物件種別ごとに過去の取引事例を確認できます。売り出し価格ではなく実際に売れた価格を確認できる点が大きな特徴です。

さらに、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営するREINS Market Information(レインズ・マーケット・インフォメーション)も参考になります。こちらも実際の取引事例をもとにした情報が掲載されており、周辺エリアの価格帯や相場感を掴む際に役立ちます。

こうした公的データを確認しておくことで、不動産会社から提示された査定額が適正なのかを判断しやすくなります。相場を知らないまま査定額だけで判断してしまうと、売却で不利な選択をしてしまう可能性があるため、まずは客観的な情報を確認することが大切です。

3-2 査定額の中央値に注目する

複数の不動産会社に査定を依頼すると、提示される金額にばらつきが出ます。その際に注目すべきなのが、一番高い金額や一番低い金額ではなく、査定額の中央値です。

査定額の中には、契約を取りたいがために高めに設定されているものや、早期売却を前提に低めに設定されているものが含まれることがあります。こうした極端な金額に引っ張られてしまうと、判断を誤りやすくなります。

複数社の査定額を並べてみると、ある程度まとまった価格帯が見えてくるでしょう。その中央付近に位置する金額は、市場の実態に近いケースが多く、現実的に売却しやすい価格である可能性が高いと言えます。

3-3 査定の根拠を説明してもらう

不動産会社に査定を依頼したら、査定額を算出した根拠まで説明してもらいましょう。なぜなら、査定額そのものよりも「どのような考え方でその金額になったのか」が、適正価格を見極めるうえで重要だからです。

信頼できる不動産会社であれば、周辺の成約事例や物件の条件、立地や築年数といった要素を踏まえたうえで、具体的な根拠を示してくれます。「このエリアでは直近でこの価格帯で取引されています」「築年数が古いためこの点がマイナス評価になります」といった説明があれば、査定額にも納得しやすくなるでしょう。

一方で、「このくらいで売れます」「相場はこの程度です」といった曖昧な説明しかない場合は注意が必要です。根拠がはっきりしない査定額は、後になって価格を下げられたり、想定より売却が長引いたりする原因になりやすいためです。

売却を依頼する不動産会社を選ぶ際は、価格の高さだけで判断するのではなく、その金額に至った理由を丁寧に説明してくれるのかをチェックしてください。査定の根拠を説明できる不動産会社であれば、安心して売却手続きを任せられるでしょう。

第4章 売却手続きをスムーズに進めるなら専門家と連携している不動産会社への相談がおすすめ

相続不動産の売却では、価格の判断だけでなく、名義変更や権利関係の整理といった手続きが発生します。特に相続が絡む場合は、売却前に相続登記を済ませておく必要がありますが、ここでつまずいてしまう方も少なくありません。

こうした手続きをスムーズに進めるためには、司法書士と連携している不動産会社に相談するのがおすすめです。司法書士は相続登記や名義変更、抵当権の抹消といった登記手続きの専門家であり、相続不動産の売却において欠かせない存在です。

不動産会社と司法書士が連携していれば、売却に必要な手続きを一つひとつ自分で探す必要がなく、売却までの流れをスムーズに進められます。例えば、相続登記がまだ終わっていない場合でも、売却の相談と同時に登記の手続きを進めることで、時間や手間を大きく減らせます。

また、相続不動産は権利関係が複雑になりやすく、少しの認識違いがトラブルに繋がる恐れもあります。司法書士と連携している不動産会社であれば、法的な観点からも安心して売却手続きを進められるでしょう。

住まいの賢者では、司法書士法人と連携する不動産会社として、相続登記から不動産売却までを一貫してサポートしています。相続不動産の査定や売却について「何から始めればいいかわからない」という方も、状況に応じたアドバイスが可能です。まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

相続不動産の査定額に差が生まれるのは珍しいことではなく、不動産会社ごとの査定方法や考え方の違いが影響しています。提示された金額だけを見て判断してしまうと、売却活動を始めてから後悔する恐れがあります。

特に注意したいのは、一番高い査定額が必ずしも最良の選択とは限らないという点です。相場とかけ離れた価格では買い手が見つかりにくく、売却までに時間がかかることもあります。さらに、途中で値下げを繰り返すことで、かえって不利な印象を与えてしまうケースも少なくありません。

相続不動産を納得のいく形で売却するためには、相場を把握したうえで複数の査定を比較し、その中でも金額の算出理由を丁寧に説明してくれる不動産会社を選ぶことが重要です。

また、相続が関わる不動産売却では、名義変更や権利関係の整理といった手続きも避けて通れません。こうした点を踏まえると、手続き面の不安を減らしてスムーズに売却を進めたい方には、司法書士と連携している不動産会社への相談がおすすめです。

住まいの賢者では、司法書士法人と連携し、相続不動産の売却に必要な手続きをまとめてサポートしています。相続不動産の査定や売却でお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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