不動産の二次相続対策ですべき7つのこと|起きうるリスクも解説

不動産の二次相続対策ですべき7つのこと|起きうるリスクも解説
執筆者: 中西孝志

📞 0120-905-573
平日9:00~20:00・土日祝9:00~18:00

不動産・相続の無料相談フォームへ

はじめに

配偶者の逝去に合わせ、不動産を相続する事例は少なくありません。しかし、不動産を含む遺産を相続することになった方の中には、二次相続について不安を感じる方もいらっしゃいます。

二次相続とは、夫婦のうち一方が亡くなった後、残された配偶者も亡くなり、子どもが配偶者の財産を引き継ぐ二度目の相続を指します。
例えば、夫が先に亡くなり、妻が夫の財産を引き継いだ後に、妻が亡くなるケースがこれに当たります。

二次相続は、一次相続と比較すると、税務・相続トラブルの観点から、いくつかの無視できないリスクがあります。そのため、事前に問題点を把握し、対策を講じておくことが非常に重要です。

この記事では、二次相続で起こりやすいリスクについて、特に不動産を相続した場合を想定して解説します。そのうえで、二次相続発生前に考えておきたい対策について分かりやすく解説します。

将来の相続に備え、安心して準備を進めるための参考としてお読みください。

第1章 不動産の二次相続で起きうること

不動産を含む相続では、二次相続の段階で思わぬ問題が生じることがあります。

第1章では、特に注意しておきたい代表的なポイントを整理します。

1-1 二次相続では相続税が高額になりやすい

二次相続が発生した場合、一次相続と比較して相続税が高額になる可能性があります。
これについては、主に次の2つの理由が挙げられます。

  • 法定相続人が減り、基礎控除額が縮小する
  • 配偶者控除が利用できない

通常、相続税を計算する際は、遺産総額から以下の基礎控除を減算する形になります。

  • 基礎控除:3,000万円+法定相続人の人数×600万円

例えば、法定相続人が3人いる場合、4,800万円が遺産総額から減算され、その金額を基に相続税額が算出されます。

二次相続では、多くのケースで、一次相続よりも法定相続人の人数が少なくなります。その結果、基礎控除額が縮小され、一次相続のときと同じ財産を相続した場合でも、相続税が高額になりやすくなります。

また、二次相続では、相続税の配偶者控除が適用できません。この控除は、配偶者が相続した遺産のうち、「1億6,000万円または法定相続分のどちらか多いほう」まで相続税がかからない税額控除です。
非常に大きな節税効果を発揮し、大多数のケースで、配偶者の相続税がゼロ円となります。

二次相続は、一次相続の法定相続人であった配偶者の相続であるため、この配偶者控除は適用されません。
そのため、「自分が相続した際は相続税がほぼかからなかった」ことを前提に考えてしまうと、二次相続後の税負担が重くなる可能性があります。

このほか、配偶者自身の財産が加算される点・死亡保険金の非課税枠が減る点なども、二次相続の際に相続税が高額になる要因となります。

特に、不動産が相続財産に含まれる場合、財産の評価額が高額になりやすいため、二次相続の際の影響が大きくなる可能性があります。

1-2 二次相続ではトラブルが起きやすい

二次相続の場合、一次相続と比較し、トラブルが発生する可能性が高くなります。これは、二次相続は子どもたちだけで相続することが多いことに起因します。

多くの家庭では、一次相続の段階では、被相続人の配偶者が遺産を相続する傾向にあります。特に、不動産を所有している場合は、配偶者の住む家を残すために、不動産だけは配偶者が相続するケースが多くあります。

これに対し、二次相続では、相続人同士で「誰が不動産を相続するのか」「そもそも空き家となる不動産をどのように取り扱うのか」などについて、問題となるケースが少なからずあります。

その結果、一次相続では表面化していなかった問題が、二次相続をきっかけに顕在化し、トラブルに発展するケースも見られます。

相続人同士の関係が良好であれば、こうした問題は円滑に解決できる場合もあります。しかし、意見の食い違いが生じた場合には、話し合いが難航し、相続手続きが長期化するおそれもあります。

そのため、二次相続が発生してから対応を検討するのではなく、一次相続の段階や生前のうちから、将来を見据えた対策を考えておくことが重要です。

1-3 配偶者が認知症になり資産を自由に処分できなくなる

一次相続後に生存配偶者が認知症になると、資産が自由に処分できなくなる恐れがあります。

1-2でも述べた通り、一次相続の段階では、不動産を配偶者が相続するケースが多くあり、これ自体は大きな問題にはなりえません。

しかし、配偶者が認知症になり、判断能力が低下すると、財産の管理・処分等のための手続きが出来なくなる可能性があります。

例えば、認知症となった親の代わりに、子どもが不動産の売却手続きを進めようとしても、「本人の意志がない財産を勝手に処分しようとしている」とみなされ、実質的に手が出せなくなります。
また、仮に、配偶者本人が処分しようとしたとしても、判断能力が不十分と判断された場合には、同様の扱いをされる恐れがあります。

このような状態になると、不動産を売却して介護費用を捻出したい場合や、二次相続に向けた準備を進めたい場合でも、選択肢が大きく制限されてしまいます。

そのため、配偶者が認知症になる前の段階で、将来を見据えた資産管理の対策を講じておくことが重要となります。

第2章 不動産の二次相続で対策すべき7つのこと

不動産の二次相続では、一次相続の段階や、その後の過ごし方によって、将来の負担が大きく変わります。

第2章では、実務上よく検討される代表的な対策を、具体例を交えながら7つ紹介します。

2-1 一次相続時に配偶者居住権を設定する

不動産の二次相続対策として、一次相続の段階で検討しておきたいのが、配偶者居住権の設定です。

配偶者居住権とは、被相続人が亡くなった後も、残された配偶者が自宅に住み続けられる権利を確保する制度です。この制度では、不動産の「所有権」と「居住する権利」を分けて相続させることができます。

例えば、一次相続で配偶者居住権を設定すると、配偶者は引き続き自宅に住み続けることができます。一方で、不動産の所有権は子どもが取得する形となります。

その結果、一次相続で配偶者が取得する財産の評価額を抑えることができ、二次相続時の相続税負担を軽減できる可能性があります。ただし、配偶者居住権の消滅により、二次相続時には、所有権を取得した子どもの相続税負担が増す可能性がある点には注意が必要です。

また、不動産をすべて配偶者が相続するのではなく、居住権と所有権を分けておくことで、二次相続発生時に「誰が不動産を相続するのか」を巡るトラブルを防ぎやすくなります。

2-2 一次相続で故人と同居している子に相続させる

一次相続の段階で、故人と同居していた子どもがいる場合、その子に不動産を相続させる方法も、二次相続対策として有効です。

一次相続後も、同居していた子どもが引き続き同じ家に住む予定であれば、相続後の利用関係が明確になり、トラブルを防ぎやすくなります。

また、一定の要件を満たすことで、小規模宅地等の特例が適用され、自宅敷地の評価額を大幅に下げられる可能性があります。
この特例を活用できれば、一次相続時の相続税負担を抑えるとともに、二次相続に向けた財産整理にもつながります。

さらに、一次相続の段階で不動産の帰属を決めておくことで、共有名義を避けやすくなり、二次相続時に「誰が住むのか」「売却するのか」といった相続人同士の話し合いが不要になる場合もあります。

ただし、二次相続の段階では、同居していない他の相続人との公平性にも配慮が必要です。他の相続人には現金等を多く渡すなど、全体のバランスを踏まえた相続設計が重要となります。

2-3 賃貸併用住宅の建て替えを検討する

不動産の二次相続対策として、当該不動産の賃貸併用住宅への建て替えを検討するケースもあります。

賃貸併用住宅とは、自宅部分と賃貸部分を併せ持つ建物のことです。

賃貸部分を設けることで、家賃収入を得られるため、老後の生活資金の確保にも繋がるほか、二次相続の際により多くの財産を残せる可能性があります。

さらに、賃貸併用住宅に建て替えることで、貸家建付地や貸家として評価される部分が生じ、不動産の相続税評価額が下がるケースもあります。その結果、二次相続時の相続税負担を軽減できる可能性があります。

ただし、賃貸併用住宅への建て替えは、高額な建築費用を要する傾向にあります。加えて、賃貸部分の管理負担が増えるほか、入居者確保のための対応が必要になる場合もあります。

そのため、すべてのケースで有効な対策とは限りません。建て替えを検討する際は、自身の年齢や体力、資金状況を踏まえたうえで、慎重に判断することが重要です。

2-4 納税資金を確保しておく

二次相続に向けて、納税資金を確保しておくことも、重要な対策となります。
原則として、相続税の納付期限は、相続開始から10か月以内と定められています。

相続財産の多くを不動産が占めている場合、現金等を多く相続する場合と比較すると、期限内に納税資金を用意することが大きな課題となります。
そのため、一次相続後の段階から、計画的に現金や預貯金を確保しておくことが重要です。

具体的な方法としては、不要な不動産を売却する、賃貸収入を将来の納税資金として積み立てるといった対策が考えられます。

また、併せて検討しておきたいのが、生命保険を活用して納税資金を準備する方法です。
生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠が設けられており、この枠内であれば相続税が課されません。

この非課税枠を活用することで、相続税の支払いに充てやすい現金を、あらかじめ確保しておくことが可能となります。

納税資金を事前に準備しておくことで、二次相続の際に、納税のために慌てて不動産を手放すといった事態を避けやすくなります。

2-5 生前贈与をして将来の遺産を減らす

二次相続対策として、不動産そのものを生前に贈与し、将来の相続財産を減らす方法も検討されます。

生前贈与とは、相続が発生する前に、財産をあらかじめ受贈者へ移しておくことを指します。

不動産を生前贈与することで、二次相続の発生時点では、その不動産が相続財産に含まれなくなります。結果として、二次相続における相続財産の総額を抑えることができ、相続税負担を軽減できる可能性があります。
特に、相続時精算課税制度等の、税負担を軽減する制度と併せて贈与することで、全体の負担を軽減できる場合があります。

一方で、不動産の生前贈与には注意点もあります。

不動産を贈与した場合、相続税ではなく贈与税が課されますが、贈与税は相続税と比べて税率が高く設定されています。

そのため、不動産の評価額によっては、相続時に取得するよりも、税負担が大きくなるケースも少なくありません。また、贈与に伴い、不動産取得税や登録免許税といった付随費用が発生する点にも注意が必要です。

このように、不動産の生前贈与は、二次相続対策として有効となる場合がある一方で、税負担が増えるおそれもあります。実際に検討する際は、贈与税と将来の相続税を比較しながら、慎重に判断することが重要です。

2-6 相次相続控除の適用を受ける

相次相続控除の適用を受けることも、二次相続対策として機能します。

相次相続控除とは、短期間のうちに相続が続いた場合に、二度目の相続における相続税の負担を軽減できる、「短期間に相続税を二重に負担することになる不公平を調整する」ことを目的とした制度です。

相次相続控除を受けるためには、主に次のような要件を満たす必要があります。

  • 二次相続の被相続人が、一次相続で相続税を納めていること
  • 二次相続の相続開始日が、一次相続の相続開始日から10年以内であること
  • 二次相続の相続人が、一次相続と二次相続の双方で相続人となっていること

これらの要件を満たす場合、一次相続で納めた相続税額のうち、一定額を二次相続の相続税から差し引くことができます。

控除できる金額は、一次相続からの経過年数に応じて段階的に減少します。例えば、一次相続から1年以内に二次相続が発生した場合と、9年後に発生した場合とでは、控除額に大きな差が生じます。

そのため、相次相続控除は、「早く二次相続が発生するほど効果が大きい制度」といえます。

ただし、一次相続で相続税が課税されていない場合や、要件を一部でも満たさない場合には、この控除を受けることはできません。

また、計算方法が複雑で、他の特例との関係も考慮する必要があります。そのため、実際に適用できるかどうかは、専門家に確認したうえで判断することが重要です。

2-7 一次相続後に家族信託を利用する

一次相続後に、配偶者が不動産を相続した場合、家族信託を利用する選択肢もあります。

家族信託は、認知症対策の一環として、財産の所有者(委託者)が信頼できる家族(受託者)に、財産の管理・運用・処分を任せる仕組みです。
主に、認知症による資産凍結の防止や、将来の相続・資産承継を円滑にする目的で利用されます。

1-3で述べた通り、特に対策をしないまま配偶者が認知症になると、不動産を含む財産の売却や処分が事実上できなくなるおそれがあります。
その結果、納税資金の確保や、二次相続に向けた準備が進められなくなるケースも少なくありません。

家族信託を利用しておけば、配偶者が判断能力を失った後も、受託者が不動産の管理や売却を行えるため、二次相続に向けた対応を計画的に進めやすくなります。
このような点から、一次相続後の家族信託は、認知症対策であると同時に、二次相続対策としても有効な手段といえます。

まとめ:不動産の二次相続対策についてお気軽にご相談ください

この記事では、不動産を二次相続する際に起きうる問題点・その対策について様々な視点から解説しました。

子どもが複数いるなど、法定相続人の人数が多い方ほど、二次相続の問題は無視できないものとなります。そのため、事前の対策が非常に重要となりますが、どのようなリスクへの対応を重視するかによって、どの対策を採用するかも変わってきます。適切な対策をしていくには、専門家の知見を交えつつ、慎重な判断が欠かせません。

「住まいの賢者」では、不動産の二次相続対策に強い司法書士と連携し、不動産の二次相続対策に関する相談や依頼を受け付けています。不動産の二次相続対策でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合せください。

不動産の無料相談なら
あんしんリーガル

電話相談は9:00〜20:00(土日祝09:00〜18:00)で受付中です。
「不動産のブログをみた」とお問い合わせいただけるとスムーズです。

この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

⇒ 執筆者一覧はこちら