目次
はじめに
相続した不動産について、「そのまま保有し続けるべきか、それとも売却すべきか」と悩む方は少なくありません。特に、実家や土地など思い入れのある不動産の場合、すぐに手放すべきか判断に迷うケースも多いでしょう。
本記事では、相続不動産を保有し続けるメリット・デメリットや、保有すべきかの判断ポイント、具体的な活用方法について分かりやすく解説します。相続不動産の扱いにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
第1章 相続不動産を保有し続けるメリット
相続不動産を保有し続けることで、生活や資産運用の面で以下のようなメリットがあります。
- 自宅やセカンドハウスとして活用できる
- 条件が良ければ将来的な資産価値の上昇が期待できる
- 家賃収入などの継続的な収益を得られる
- 次の相続時の節税に繋がる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
1-1 自宅やセカンドハウスとして活用できる
相続不動産は、自宅やセカンドハウスとして活用できる点が大きなメリットです。例えば、相続した実家にそのまま住み続けたり、別荘や週末用の住まいとして利用したりすることができます。固定資産税や維持費などはかかりますが、購入費用がかからないのは大きなメリットでしょう。
また、将来的に子どもが住む可能性があるなど、家族のライフプランに合わせた使い方ができるのも特徴です。このように、相続不動産は単なる資産としてだけでなく、生活の拠点としても活用できる点が魅力です。
1-2 条件が良ければ将来的な資産価値の上昇が期待できる
相続不動産は、立地や周辺環境などの条件が良ければ、将来的に資産価値が上昇する可能性があります。特に、再開発が予定されているエリアや人口が増加している地域では、不動産価格が上がりやすいでしょう。
このような場合、すぐに売却するのではなく、一定期間保有することでより高い価格で売却できる可能性があります。そのため、短期的な価格だけで判断するのではなく、将来の市場動向も踏まえて判断することが重要です。
ただし、不動産の価値は必ず上がるわけではなく、エリアによっては下落する可能性もあります。したがって、周辺の取引事例や地域の将来性などを確認しながら慎重に判断する必要があるでしょう。
1-3 家賃収入などの継続的な収益を得られる
相続不動産は、賃貸に出すことで家賃収入を得られる点もメリットの一つです。特に、立地や物件の状態が良い場合は、安定した収益を継続的に得られる可能性があります。
一度入居者が決まれば、毎月一定の収入が見込めるため、資産を保有しながら収益を得ることが可能です。老後の収入源として活用するケースも多く、不動産を手放さずに活用できる点が魅力です。
ただし、空室リスクや修繕費、管理費などのコストが発生するため、収益だけでなく支出も含めて判断することが重要です。事前に不動産会社に相談するなどして、周辺の賃貸需要や家賃相場を確認しておくと、適切な判断を下しやすくなるでしょう。
1-4 次の相続時の節税に繋がる
相続不動産を保有し続けることで、将来の相続時における税負担を抑えられる可能性があります。なぜなら、不動産は現金と比べて相続税評価額が低く算定されるケースが多いためです。
例えば、不動産は一般的に時価よりも2割〜3割程度低い水準で評価されるといわれています。土地については路線価や固定資産税評価額を基に評価されるため、市場価格よりも低くなる傾向があります。また、建物については築年数の経過に応じて評価額が下がる仕組みになっているため、相続時の評価額がさらに低くなるケースもあります。
さらに、賃貸に出している不動産であれば、貸家建付地として評価額が下がります。賃貸に出していると所有者は自由に使えないため、そのぶん評価が下がり、条件によってはより大きな節税効果が期待できるのです。
このように、不動産を保有していることで相続財産の評価額を抑えられれば、結果として相続税の負担軽減に繋がる可能性があります。ただし、適用される評価方法や節税効果は個別の状況によって異なるため、具体的な内容については税理士などの専門家に相談することが重要です。
第2章 相続不動産を保有し続けるデメリット
相続不動産は保有することで様々なメリットがありますが、一方で負担やリスクも伴います。ここでは、相続不動産を保有し続ける主なデメリットについて解説します。
2-1 固定資産税がかかる
相続不動産を保有し続ける場合、毎年固定資産税や都市計画税が課されます。利用予定がない不動産を保有する場合は、恩恵を受けないにもかかわらず税金だけを負担することになります。そのため、長期間保有する場合は、固定資産税の金額や将来的な負担も含めて判断することが重要です。
2-2 維持・管理に手間やお金がかかる
相続不動産を保有し続ける場合、建物や土地の維持・管理に手間や費用がかかります。空き家は建物の劣化が進みやすく、屋根や外壁の修繕、防犯対策、草木の管理などを行う必要があります。適切に管理されていない不動産は、近隣トラブルの原因になることもあるため注意が必要です。
さらに、遠方にある不動産を相続した場合は、現地に行って管理するための時間や交通費も負担となります。不動産を保有するためには継続的な手間と費用がかかる点を理解しておく必要があるでしょう。
2-3 共有名義で保有するとトラブルになりやすい
相続不動産を共有名義で保有する場合、意思決定が難しくなり、トラブルに発展する可能性があります。不動産を売却したり、大規模な修繕を行ったりする際には、原則として共有者全員の同意が必要になります。そのため、相続人の間で意見が一致しなければ、手続きを進めることができません。
また、共有者の1人が自分の持分を第三者に売却した場合、見知らぬ人と不動産を共有する状態になる可能性もあります。このような状況になると、管理や処分の際の合意形成がさらに難しくなるでしょう。共有名義の不動産は意思決定に時間がかかりやすく、将来的なトラブルの原因となりやすい点に注意が必要です。
2-4 すぐに現金化できない
不動産は現金と異なり、必要な時にすぐ現金化できない点もデメリットの一つです。
売却する場合でも、買主を見つけるまでに時間がかかることがあり、さらに売買契約や引き渡しまで含めると、数ヶ月単位の期間を要することもあります。急いで現金が必要な場合でも、すぐに資金化できない点には注意が必要です。
また、不動産の立地や状態によっては買い手が見つかりにくく、想定よりも長期間売却できないケースもあります。その結果、固定資産税や維持費の負担が続く可能性もあるでしょう。このように、不動産は流動性が低い資産であるため、資金計画も踏まえて保有するかどうかを判断することが重要です。
第3章 相続不動産を保有し続けるべきかの判断ポイント
相続不動産は、保有することでメリットがある一方で、維持費や管理の負担などのデメリットもあります。そのため、「とりあえず保有する」といった判断ではなく、自身の状況や不動産の特性を踏まえて総合的に判断することが重要です。ここでは、相続不動産を保有し続けるべきかを判断する際の主なポイントについて解説します。
3-1 これから利用する予定があるか
相続不動産を保有するかどうかを判断するうえで、今後その不動産を利用する予定があるかは重要なポイントです。自宅として住む予定がある場合や、将来的に家族が利用する可能性がある場合は、保有するメリットが大きいと言えます。
一方で、特に利用予定がない場合は、保有し続ける理由が薄くなり、維持費だけが負担になる可能性があります。そのため、今後のライフプランを踏まえて、不動産の活用予定があるかどうかを検討するのが望ましいでしょう。
3-2 問題なく管理ができるか
相続不動産を保有する場合、継続的に管理できるかどうかも重要な判断ポイントです。不動産は保有しているだけでも、建物の劣化防止や清掃、防犯対策、草木の手入れなど、定期的な管理が必要になります。特に空き家の場合は、人の出入りがないことで劣化が進みやすく、管理の負担が大きくなりやすいでしょう。
例えば、換気が行われないことで湿気がこもり、カビや腐食が発生することがあります。また、庭の雑草や樹木が伸び放題になると、近隣住民とのトラブルに繋がるかもしれません。さらに、空き家は不審者の侵入や不法投棄のリスクもあるため、防犯面の対策も必要になります。
加えて、管理が不十分な状態が続くと、「特定空き家」に指定される可能性があります。特定空き家に指定されると、固定資産税の軽減措置が適用されなくなるなど、税負担が増える点にも注意が必要です。このように、空き家は放置するとリスクや負担が大きくなるため、手間や費用を含めて無理なく管理を続けられるかどうかを踏まえて、保有するかどうかを判断することが重要です。
3-3 今後の値上がりが期待できるか
相続不動産を保有し続けるかどうかを判断する際には、将来的に資産価値の上昇が期待できるかも重要なポイントです。例えば、再開発が予定されているエリアや人口が増加している地域では、不動産価格が上昇する可能性があります。このような場合は、すぐに売却するのではなく、一定期間保有することでより高い価格で売却できることも考えられます。
一方で、人口減少が進んでいる地域や需要が低いエリアでは、不動産価格が下落する可能性もあります。周辺の取引事例や地域の将来性などを踏まえ、値上がりする可能性を見極めたうえで、保有するかを判断することが重要です。
3-4 賃貸に出せるのか
その不動産を賃貸として活用できるかどうかも重要な判断ポイントです。例えば、駅から近い、周辺に商業施設があるなど、需要が見込める立地であれば、入居者が見つかりやすく、安定した家賃収入を得られる可能性があります。
一方で、立地や建物の状態によっては入居者が見つかりにくく、空室が続く可能性もあります。また、古い建物の場合はリフォームや修繕が必要になるかもしれません。
3-5 すぐに現金が必要なのか
すぐに現金が必要な場合は、保有し続けるよりも売却を検討した方が良いでしょう。相続税の支払いや生活資金など、まとまった資金が必要な場合、不動産を保有したままでは対応が難しいことがあります。不動産は売却までに時間がかかる資産であるため、早めに現金化を検討することが重要です。
一方で、資金に余裕がある場合は、保有しながら賃貸に出して収益を得るといった選択肢もあります。このように、資金の必要性やタイミングに応じて、保有と売却のどちらが適しているかを判断することが大切です。
第4章 相続不動産の活用方法
相続不動産は、そのまま保有するだけでなく、様々な方法で活用することが可能です。ここでは、相続不動産の主な活用方法について解説します。
4-1 売却する
相続不動産を売却することで、資産を現金として活用することができます。特に、利用予定がない不動産や管理が難しい不動産であれば、売却によって固定資産税や維持費の負担をなくせる点が大きなメリットです。
また、不動産は分割しにくい資産ですが、売却して現金化することで相続人同士で分けやすくなります。共有名義によるトラブルを避けたい場合にも有効な方法と言えるでしょう。
さらに、売却によって得た資金は、生活費や他の投資に充てるなど、柔軟に活用することができます。特に、すぐに現金が必要な場合や、将来的に管理が難しくなると考えられる場合は、売却も有力な選択肢の一つです。
4-2 賃貸に出す
相続不動産を賃貸に出すことで、家賃収入を得ることができます。立地や物件の条件が良ければ、安定した収益源として活用することも可能です。
ただし、空室リスクや修繕費、管理費などのコストも発生するため、収支のバランスを考慮したうえで判断する必要があります。管理会社に委託することで手間を減らすこともできますが、その分費用がかかる点には注意が必要です。
4-3 更地にして駐車場やコンテナ収納として活用する
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体して更地にし、駐車場やコンテナ収納として活用する方法もあります。更地にすることで管理の手間を減らしつつ、比較的低コストで運用できます。また、建物の維持費や修繕費がかからなくなる点もメリットです。
ただし、解体費用がかかるほか、立地によっては十分な収益が見込めない場合もあるため、事前に収支を確認したうえで判断するのが望ましいでしょう。
まとめ
相続不動産は、保有し続けることで自宅として活用できたり、家賃収入を得られたりするなど、様々なメリットがあります。また、相続税評価額が抑えられることで、将来の節税に繋がる可能性もあります。
一方で、固定資産税や維持費の負担、管理の手間、共有名義によるトラブルなどのデメリットもあるため、単に保有し続けるだけでは負担になるケースも少なくありません。そのため、今後の利用予定や管理の可否、収益性、資金状況などを踏まえ、自身にとって最適な選択をすることが重要です。相続不動産の扱いに迷った場合は、不動産会社や専門家に相談しながら、状況に合った方法を選択していきましょう。
住まいの賢者では、司法書士法人と連携する不動産会社として、相続後の手続きから不動産の活用まで幅広くサポートしています。状況に合わせたご提案も行っているので、不動産の扱いでお困りの方はぜひ無料相談にお越しください。
相続不動産の保有に関してよくある質問
ここでは、相続不動産の保有に関してよくある質問に回答します。
相続不動産は保有し続けた方がよいですか?
相続不動産は、必ずしも保有し続けた方がよいとは限りません。自宅として利用する予定がある場合や、賃貸に出して収益が見込める場合は、保有するメリットが大きいと言えます。一方で、利用予定がなく、維持費や管理の負担が大きい場合は、売却を検討した方が良いケースもあります。そのため、不動産の利用予定や収益性、管理の可否、資金状況などを踏まえ、自身の状況に合った判断を行うことが重要です。
相続不動産を保有するとどのような税金がかかりますか?
相続不動産を保有している間は、毎年固定資産税や都市計画税がかかります。これらは不動産を利用していなくても発生するため、空き家でも支払いが必要です。また、不動産を賃貸に出している場合は家賃収入に対して所得税や住民税が課されます。さらに、将来的に売却した場合は譲渡所得税が発生する可能性もあります。このように、不動産を保有することで様々な税金が発生するため、保有前に税負担についても確認しておくことが大切です。





