共有持分の買取業者とは?利用するメリット・デメリットや注意点を解説

共有持分の買取業者とは?利用するメリット・デメリットや注意点を解説
執筆者: 中西孝志

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はじめに

共有名義の不動産を相続したものの、「他の共有者が売却に同意してくれない」「管理や固定資産税の負担から解放されたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。共有不動産は、全体を売却する場合には共有者全員の同意が必要になるため、話し合いがまとまらず身動きが取れなくなるケースも少なくありません。

このような場合、自分の持分だけを買い取ってくれる買取業者を利用する方法があります。共有持分は単独で売却することができるため、買取業者に売却することで、他の共有者の同意がなくても現金化することが可能です。一方で、買取業者にはデメリットもあり、トラブルに繋がる可能性もあります。

本記事では、共有持分の買取業者の仕組みや利用するメリット・デメリット、利用時の注意点について解説します。共有状態の解消を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

第1章 共有持分は買取業者に売却できる

まずは、共有持分の基本的な仕組みと、売却の可否について確認していきましょう。

1-1 共有持分とは

共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有している場合に、それぞれが持つ所有割合のことを指します。例えば、相続によって不動産を複数人で取得すると、各相続人が持分割合に応じて不動産を共有する形になります。持分割合は遺産分割の内容によって決まり、「2分の1」「3分の1」「4分の1」など様々です。

共有持分を持っている場合、その割合に応じて不動産の権利を持つことになります。ただし、不動産全体を売却する場合など重要な行為については、原則として共有者全員の同意が必要です。

1-2 単独で売却できる

共有不動産は全体の売却には共有者全員の同意が必要ですが、自分の持分だけであれば単独で売却することができます。例えば、3人で共有している不動産で3分の1の持分を持っている場合、その3分の1の権利だけを第三者に売却することが可能です。この場合、他の共有者の同意を得る必要はありません。

1-3 共有持分の主な売却先

共有持分を売却する方法には、主に次の3つがあります。

  • 他の共有者に売却する方法
  • 第三者に売却する方法
  • 共有持分の買取業者に売却する方法

最もトラブルになりにくい方法は、他の共有者に持分を買い取ってもらうことです。共有状態を解消できるため、双方にとってメリットがあります。ただし、共有者に購入する意思や資金がなければ実現が難しい場合があります。

また、自分の持分を第三者に売却することも可能です。共有持分は法律上、自由に売却できますが、不動産の一部の権利だけを購入する一般の買主は多くありません。そのため、買主を見つけるまでに時間がかかる可能性が高いでしょう。

共有持分の買取を専門に行う業者を利用する方法もあります。一般の買主を探す必要がないため、比較的短期間で売却できる点が特徴です。共有者の同意がなくても売却できるため、共有者間の意見がまとまらない場合などに利用されることがあります。

第2章 共有持分の買取業者とは

共有持分の買取業者とは、共有不動産の持分のみを買い取ることを専門に行う不動産会社のことです。通常の不動産売買では、不動産全体を売却するケースが一般的ですが、共有持分の買取では不動産の一部の権利だけを取得する点が特徴です。

共有持分は単独で売却できるものの、一般の買主が購入するケースは多くありません。なぜなら、持分だけを取得しても不動産を自由に利用できるとは限らず、他の共有者との関係調整が必要になるためです。

そのため、共有持分を売却する場合は、共有持分の買取を専門に行う不動産会社が主な売却先になります。これらの業者は、共有持分を取得した後に他の共有者と交渉したり、不動産全体の売却を目指したりすることで、最終的な活用や利益化を図ります。

また、共有持分の買取は一般的な仲介による不動産売却とは異なり、業者が直接買い取る買取という形で取引されることが多いのも特徴です。買主を探す必要がないため、比較的短期間で売却できるケースが多いとされています。

第3章 共有持分を買取業者に売却するメリット

ここでは、共有持分を買取業者に売却する主なメリットについて解説します。

3-1 他の共有者の同意がなくても売却できる

共有不動産を不動産全体として売却する場合には、原則として共有者全員の同意が必要です。そのため、共有者の意見が一致しないと売却が進まないケースもあります。

一方で、自分の共有持分については、他の共有者の同意がなくても売却することが可能です。そのため、共有者との話し合いがまとまらない場合でも、共有持分を買取業者に売却することで共有状態から離れることができます。

3-2 短期間で現金化できる

共有持分を一般の買主に売却する場合、買主を見つけるまでに時間がかかることがあります。なぜなら、共有持分のみを購入する一般の買主は多くないためです。

買取業者に売却する場合は、不動産会社が直接買い取る形になるため、買主を探す必要がありません。そのため、査定から契約、決済までの手続きが比較的スムーズに進み、短期間で現金化できる可能性があります。

3-3 共有者との交渉を任せられる

共有不動産では、売却や利用方法を巡って共有者同士の意見が対立することがあります。こうした話し合いは精神的な負担になることも少なくありません。共有持分を買取業者に売却すると、その後の共有者との交渉は業者が行うケースが多くなります。そのため、共有者との直接的な交渉から離れることができる点も、買取業者を利用するメリットの一つです。

第4章 共有持分を買取業者に売却するデメリット

共有持分の買取業者を利用すれば、他の共有者の同意がなくても持分を売却できるなどのメリットがあります。一方で、通常の不動産売却とは異なる点も多く、事前に理解しておくべき注意点もあります。ここでは、共有持分を買取業者に売却する際に知っておきたい主なデメリットについて解説します。

4-1 市場価格より安くなる

共有持分は、不動産全体を自由に利用できるわけではないため、一般的な不動産よりも買い手が限られます。そのため、買取業者に売却する場合の価格は、不動産全体の市場価格から算出される持分相当額よりも低くなるのが一般的です。

共有持分の売買価格の目安は、持分の基準価格の2分の1から3分の1程度と言われています。持分の基準価格とは、不動産全体の価格に持分割合を掛けて算出した金額です。

例えば、不動産全体の価格が3,000万円で、持分が2分の1の場合、持分の基準価格は1,500万円になります。この場合、共有持分の買取価格はおおよそ500万円から750万円程度になるケースが多いとされています。

このように価格が低くなるのは、共有持分のみを取得しても不動産を自由に利用できるとは限らないことや、買取業者が取得後に他の共有者との交渉や売却を行う必要があることなどが理由です。

4-2 売却後に共有者とのトラブルになる可能性がある

共有持分を買取業者に売却すると、不動産の共有関係に新しい共有者が加わることになります。他の共有者が不安や不満を感じれば、トラブルに繋がる可能性があるでしょう。

例えば、買取業者が不動産全体の売却や共有関係の解消を目的として、他の共有者に対して交渉を行うケースがあります。こうした交渉の進め方によっては、共有者同士の関係が悪化することも考えられます。また、共有者が自宅として利用している不動産の場合、突然見知らぬ業者が共有者として関わることになるため、心理的な抵抗感が生じるケースもあります。

このようなトラブルを防ぐためにも、共有持分を売却する際には、信頼できる買取業者を選ぶことが重要です。また、可能であれば事前に共有者へ説明しておくことも、不要なトラブルを避けるための一つの方法と言えます。

4-3 悪徳業者が存在している

共有持分の買取をうたう業者の中には、十分な説明を行わないまま契約を進めたり、相場より大幅に低い価格での売却を求めたりする業者も存在します。

例えば、「すぐに契約しないと買い取れない」と契約を急がせたり、査定の根拠を十分に説明しないまま売却を促したりするようなケースには注意が必要です。共有持分の取引は一般的な不動産売却よりも状況が複雑になることが多いため、業者の対応や説明内容をよく確認することが重要です。

第5章 共有持分の買取業者を利用する際のポイント

共有持分の買取業者を利用する際のポイントは以下の通りです。

  • 複数の業者に査定を依頼する
  • 業者の実績や評判を確認する
  • 専門家と連携している業者を選ぶ

それぞれについて詳しく解説します。

5-1 複数の業者に査定を依頼する

共有持分の買取価格は、業者ごとに大きく異なることがあります。共有持分は通常の不動産よりも評価が難しく、業者によって査定の考え方や価格設定が異なるためです。

そのため、1社だけに査定を依頼して売却を決めてしまうと、相場より低い価格で売却してしまう可能性があります。適正な価格で売却するためには、複数の買取業者に査定を依頼し、提示された価格や条件を比較することが重要です。

複数の査定結果を比較することで、おおよその買取相場を把握しやすくなり、極端に低い価格での売却を防ぐことにも繋がります。また、査定時の説明内容や対応の丁寧さを確認することで、信頼できる業者を見極める判断材料にもなります。

5-2 業者の実績や評判を確認する

共有持分の買取は一般的な不動産売却よりも専門性が高く、全ての不動産会社が十分な経験を持っているとは限りません。そのため、共有持分の取引実績がある業者かどうかを事前に確認することが重要です。例えば、共有持分の買取実績が豊富な業者であれば、共有者との関係や不動産の状況に応じた対応にも慣れているため、取引をスムーズに進めやすくなります。

また、会社の公式サイトだけでなく、口コミや評判なども確認しておくと良いでしょう。対応の丁寧さや取引の透明性についての評価を参考にすることで、信頼できる業者かどうかを判断しやすくなります。

5-3 専門家と連携している業者を選ぶ

共有持分の売却では、共有者との関係や相続の状況など、不動産取引だけでなく法律や登記に関する問題が関わることがあります。そのため、司法書士や弁護士などの専門家と連携している不動産会社を選ぶと、手続きをスムーズに進めやすくなります。

例えば、共有者との権利関係が複雑な場合や、相続登記が完了していない場合などには、専門家のサポートが必要になるケースもあります。こうした場合でも、専門家と連携している業者であれば、状況に応じた対応を進めやすくなります。

共有持分の売却を安心して進めるためにも、不動産の買取実績だけでなく、専門家との連携体制が整っているかどうかも確認しておくことが重要です。

第6章 共有持分の売却以外で共有状態を解消する方法

ここでは、共有持分の売却以外で共有状態を解消する主な方法について解説します。

6-1 他の共有者に持分を売却する

共有状態を解消する方法として、他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう方法があります。共有者の中で所有権が移転するため、新たな第三者が共有関係に入ることがなく、トラブルが起こりにくい点が特徴です。

また、共有持分の買取業者に売却する場合と比べて、持分の評価額に近い価格で売却できるかもしれません。共有者自身が不動産を利用している場合や、不動産全体を取得したいと考えている場合には、この方法が選ばれる傾向があります。

ただし、他の共有者に購入する意思や資金がない場合には、この方法を利用するのは難しいでしょう。そのため、まずは共有者と話し合いを行い、持分の買取について合意できるかどうかを確認することが重要です。

6-2 不動産全体を売却する

共有状態を解消する方法として、不動産全体を売却する方法があります。不動産を売却して得た代金を、持分割合に応じて共有者で分配する形です。

この方法であれば、共有持分のみを売却する場合と比べて高い価格で売却できる可能性があります。そのため、共有者全員が売却に同意できる場合には、合理的な解決方法の一つと言えるでしょう。

6-3 共有物分割請求を行う

共有物分割請求とは、共有状態を解消するために裁判所に分割を求める手続きです。共有者は、原則としていつでも共有物の分割を請求することができるとされています。そのため、共有者の間で売却や持分の買取について合意できない場合でも、法的な手続きを通じて共有状態の解消を目指すことが可能です。

裁判所は不動産の状況や共有者の事情などを考慮し、分割方法を判断します。分割方法には、不動産を売却して代金を分配する方法や、共有者の1人が所有権を取得し他の共有者へ代償金を支払う方法などがあります。

まとめ

共有持分は、不動産全体を売却する場合とは異なり、自分の持分だけであれば単独で売却することができます。そのため、他の共有者と売却について合意できない場合でも、共有持分の買取業者に売却することで共有状態から離れることが可能です。

一方で、共有持分の買取価格は市場価格より低くなる傾向があり、業者によって査定価格や対応に差があることもあります。また、売却後に共有者との関係が悪化する可能性がある点にも注意が必要です。そのため、共有持分の売却を検討する際には、複数の業者に査定を依頼し、実績や評判を確認したうえで信頼できる業者を選ぶことが重要です。

共有不動産の問題は、権利関係や共有者同士の関係などによって状況が大きく異なります。判断に迷う場合は、不動産会社や司法書士などの専門家に相談し、状況に合った方法を検討することをおすすめします。

住まいの賢者では、司法書士法人と連携する不動産会社として、共有不動産の売却や共有状態の解消に関する相談を承っています。無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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