不動産の相続税申告に必要なものは?必要書類や申告が必要なケースを解説

不動産の相続税申告に必要なものは?必要書類や申告が必要なケースを解説
執筆者: 中西孝志

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目次

はじめに

親や配偶者が亡くなり、不動産を相続することになった際、「相続税の申告には何が必要なのか」と悩む方もいるでしょう。

不動産を相続した場合でも、必ず相続税申告が必要になるわけではありません。ただし、遺産総額が基礎控除額を超える場合や、小規模宅地等の特例などを使って相続税が0円になる場合には、申告が必要になる場合があります。

相続税申告では、相続税申告書のほか、戸籍謄本、マイナンバー確認書類、遺産分割協議書、不動産の登記事項証明書や固定資産税評価証明書など、多くの書類を準備しなければなりません。本記事では、不動産の相続税申告に必要なものや、書類を集める際のポイント、申告時の注意点を解説します。

第1章 不動産を相続しただけで相続税の申告が必要とは限らない

不動産を相続した場合でも、必ず相続税の申告が必要になるわけではありません。相続税申告が必要かどうかは、相続した不動産を含む遺産総額や、適用する特例の有無によって判断します。

1-1 遺産総額が基礎控除額を超える場合は申告が必要

相続税の申告が必要になるのは、遺産総額が基礎控除額を超える場合です。基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。相続財産から債務や葬式費用などを差し引いた金額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税申告は必要ありません。

ただし、不動産は評価額の計算が必要です。固定資産税評価額や路線価などを確認しなければ、基礎控除額を超えるかどうかを正確に判断できません。

1-2 特例を使って相続税が0円になる場合も申告が必要なことがある

小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などを適用すると、相続税額が0円になる場合があります。

ただし、特例を使った結果として相続税がかからなくなる場合、相続税申告が必要になるかもしれません。申告をしなければ特例の適用を受けられず、本来より高い相続税が発生する可能性もあるため注意が必要です。

不動産を相続した場合、特に小規模宅地等の特例を利用できるかどうかで税額が大きく変わることがあります。相続税が0円になりそうな場合でも、申告の要否は慎重に確認しましょう。

第2章 不動産の相続税申告に必要なもの

不動産の相続税申告に必要なものは以下の通りです。

  • 相続税申告書
  • マイナンバーを確認するための書類
  • 相続人を確認するための書類
  • 遺産の分け方を確認するための書類
  • 不動産の内容や評価額を確認する書類
  • ケースに応じて追加で必要になる書類

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

2-1 相続税申告書

相続税の申告が必要な場合は、相続税申告書を作成して税務署に提出します。相続税申告書には、被相続人や相続人の情報、相続財産の内容、債務や葬式費用、各相続人が取得した財産、納付すべき相続税額などを記載します。

申告書は国税庁の様式を利用して作成しますが、不動産を含む相続では財産評価や特例の適用判断が必要になることもあります。自分で作成するのが難しい場合は、税理士に相談するのが安心です。

2-2 マイナンバーを確認するための書類

相続税申告書には、相続人など申告書を提出する人のマイナンバーを記載します。そのため、マイナンバーを確認できる書類が必要です。

マイナンバーカードがある場合は、マイナンバーカードの写しを用意します。マイナンバーカードがない場合は、通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しに加えて、運転免許証などの本人確認書類を用意します。

書面で申告する場合、番号確認書類と本人確認書類の写しが必要になることがあります。e-Taxで申告する場合は取り扱いが異なるため、申告方法に応じて確認しましょう。

2-3 相続人を確認するための書類

相続人を確認するための書類として、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本を用意します。

これらの書類は、誰が法定相続人にあたるのかを確認するために必要です。相続人の人数は、相続税の基礎控除額にも関わるため、正確に確認しなければなりません。

戸籍謄本の代わりに、法定相続情報一覧図の写しを利用できる場合もあります。すでに相続登記などで法定相続情報一覧図を取得している場合は、相続税申告にも使えるか確認しておきましょう。

2-4 遺産の分け方を確認するための書類

遺産の分け方を確認するための書類も必要です。遺産分割協議を行った場合は、遺産分割協議書の写しを用意します。遺産分割協議書には、誰がどの財産を取得するのかが記載されているため、相続税申告書を作成する際の根拠になります。

遺言書がある場合は、遺言書の写しを用意します。また、遺産分割協議書に相続人全員が実印で押印している場合は、印鑑証明書が必要です。

2-5 不動産の内容や評価額を確認する書類

不動産を相続した場合は、不動産の内容や評価額を確認できる書類が必要です。不動産は、現金や預貯金と異なり、そのまま金額を確認できる財産ではありません。

土地や建物の種類、面積、利用状況などによって確認すべき書類が異なるため、以下の書類を中心に準備しましょう。

2-5-1 登記事項証明書

登記事項証明書は、不動産の所在や地番、地目、地積、家屋番号、床面積、所有者などを確認するための書類です。相続税申告では、相続した不動産の内容を正確に把握する必要があります。登記事項証明書を確認すれば、どの土地や建物を相続財産として申告すべきかを整理しやすくなります。

登記事項証明書は、法務局の窓口やオンラインで取得できます。不動産が複数ある場合は、土地と建物それぞれの情報を確認しましょう。

2-5-2 固定資産税評価証明書または固定資産税課税明細書

固定資産税評価証明書または固定資産税課税明細書は、不動産の評価額を確認するための書類です。建物は、固定資産税評価額をもとに相続税評価額を確認するのが一般的です。土地についても、固定資産税評価額や課税明細書の情報を参考にする場合があります。

固定資産税課税明細書は、毎年送付される固定資産税の納税通知書に同封されています。手元にない場合は、不動産所在地の市区町村役場などで固定資産税評価証明書を取得しましょう。

2-5-3 公図・地積測量図

公図や地積測量図は、土地の形状や位置関係、面積などを確認するための書類です。公図では、相続した土地と周辺の土地との位置関係を確認できます。地積測量図では、土地の面積や境界、形状などを確認することが可能です。

土地の評価には、面積や形状、接道状況などが影響します。固定資産税評価証明書だけでは土地の状況を十分に確認できない場合もあるため、必要に応じて公図や地積測量図を取得しましょう。

2-5-4 住宅地図

住宅地図は、相続した不動産の周辺状況や接道状況、利用状況を確認するために使われることがあります。土地の評価では、道路との関係や周辺環境が重要になります。住宅地図があれば、現地に行かなくても不動産の位置関係を把握しやすくなります。

全ての相続税申告で必ず必要になるわけではありませんが、土地の評価を行う際の補助資料として準備しておくと良いでしょう。

2-5-5 賃貸借契約書など収益物件に関する書類

賃貸アパートや貸家など、収益物件を相続した場合は、賃貸借契約書などの書類も確認します。賃貸借契約書では、賃借人の有無や家賃、敷金、契約内容などを確認できます。賃貸中の不動産は、自用の不動産とは評価方法が異なる場合があるため、収益物件であることを確認できる資料を揃えておくことが大切です。

また、家賃の入金状況や管理会社との契約内容が分かる書類も、必要に応じて確認しておきましょう。

2-6 ケースに応じて追加で必要になる書類

不動産以外の財産や債務がある場合は、内容に応じて追加の書類が必要です。代表的なものは、以下の通りです。

  • 現金や預貯金がある場合:残高証明書、通帳、入出金履歴、既経過利息計算書
  • 有価証券がある場合:証券会社の残高証明書、配当金支払通知書、議決権行使書、顧客口座元帳
  • 生命保険がある場合:支払通知書、保険証券、解約返戻金や年金評価額が分かる書類
  • 退職金がある場合:会社やiDeCo、小規模企業共済からの支払通知書
  • 生前贈与を行っていた場合:贈与契約書、贈与税申告書、預金通帳
  • 債務がある場合:借入金の残高証明書、返済予定表、未払い税金や医療費などの領収書
  • 葬式費用がかかった場合:葬儀会社の領収書、お布施の領収書またはメモ

相続税申告では、不動産だけでなく、相続財産全体を確認する必要があります。手元にある書類だけで判断せず、財産や債務に漏れがないか確認しましょう。

第3章 不動産の相続税申告で必要書類を集める際のポイント

不動産の相続税申告では、必要書類を集める順番や確認方法も重要です。ここでは、書類を集める際に意識したいポイントを解説します。

3-1 土地と建物で確認する資料が異なる

不動産の相続税申告では、土地と建物で確認すべき資料が異なります。

土地は、面積や形状、隣接地との位置関係、貸地・借地かどうかなどによって評価に影響が出る場合があります。一方、建物は固定資産税評価額をもとに評価するのが一般的ですが、貸家の場合は賃貸借契約の内容も確認が必要です。

土地と建物で必要になる主な書類は、以下の通りです。

土地・全部事項証明書(登記簿謄本)
・固定資産税評価証明書
・地積測量図または公図の写し
・実測図
・賃貸借契約書(貸地・借地の場合)
建物・全部事項証明書(登記簿謄本)
・固定資産税評価証明書
・間取り図
・賃貸借契約書(貸家の場合)

土地と建物をまとめて相続した場合でも、それぞれ別の資料を確認する必要があります。特に土地は、地積測量図や公図、実測図などをもとに形状や面積を確認するケースがあるため、早めに準備しておきましょう。

また、貸地・借地・貸家などの収益物件がある場合は、賃貸借契約書の内容も確認します。賃貸状況によって評価方法が変わるケースがあるため、不動産の利用状況が分かる書類も整理しておくことが大切です。

3-2 特例を適用する場合は追加書類が必要になる可能性がある

小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などを適用する場合は、通常の必要書類に加えて、特例の適用要件を確認するための書類が必要になることがあります。

例えば、小規模宅地等の特例では、被相続人の戸籍謄本や遺産分割協議書、​​申告期限後3年以内の分割見込書などの提出が求められます。配偶者の税額軽減を適用する場合も、遺産分割協議書や相続人全員の印鑑登録証明書などが必要になります。

特例を使うことで相続税額を大きく抑えられるケースもありますが、適用要件や必要書類を誤ると、特例を受けられない点に注意が必要です。

3-3 申告期限に間に合うよう早めに準備する

相続税の申告期限は、原則として相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

不動産を相続した場合、登記事項証明書や固定資産税評価証明書などの取得に加えて、土地の評価や特例の適用可否の確認にも時間がかかります。相続人が遠方に住んでいる場合や、相続人同士で遺産分割協議が必要な場合は、さらに時間を要するでしょう。

申告期限直前になってから書類を集め始めると、必要書類が不足したり、評価の確認が間に合わなかったりする恐れがあります。相続税申告が必要になりそうな場合は、早めに準備を始めましょう。

第4章 不動産の相続税申告を進める際の注意点

不動産を含む相続税申告では、書類を揃えるだけでなく、不動産評価や申告期限にも注意が必要です。ここでは、申告準備を進める際に押さえておきたい注意点を解説します。

4-1 不動産評価を誤ると相続税額に影響する

不動産は、現金や預貯金のように金額が明確に分かる財産ではありません。土地や建物の評価額をどのように算出するかによって、相続税額に影響を与えます。

特に土地は、路線価や倍率方式、土地の形状、接道状況、利用状況などを踏まえて評価する必要があります。賃貸物件や共有不動産などの場合は、さらに確認すべき点が増えます。そのため、不動産評価に不安がある場合は、自己判断で進めず、税理士などの専門家に相談するのが望ましいでしょう。

4-2 書類不足があると申告準備が長引きやすい

相続税申告では、申告書に添付する書類や、財産評価の根拠となる書類などが必要です。書類が不足していると、財産の内容や評価額を確認できず、申告書の作成が進まないことがあります。相続人が複数いる場合は、戸籍謄本や印鑑証明書などを集めるだけでも時間がかかるでしょう。必要書類は一度に集めようとせず、不動産、預貯金、有価証券、債務、葬式費用など、財産の種類ごとに整理して準備することが大切です。

4-3 相続税は原則として10ヶ月以内に申告・納税する必要がある

相続税の申告と納税は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。

期限までに申告や納税ができないと、加算税や延滞税がかかる可能性があります。特に不動産が含まれる相続では、評価額の確認や必要書類の取得に時間がかかるケースも少なくありません。

相続税申告が必要になる可能性がある場合は、申告期限から逆算し、早めに書類収集や専門家への相談を進めましょう。

まとめ

不動産を相続しただけで、必ず相続税申告が必要になるわけではありません。まずは遺産総額が基礎控除額を超えるかを確認し、申告が必要な場合は期限内に必要書類をそろえることが大切です。

不動産の相続税申告では、相続税申告書や戸籍関係の書類に加えて、登記事項証明書、固定資産税評価証明書または固定資産税課税明細書、公図、地積測量図などが必要になることがあります。賃貸物件を相続した場合は、賃貸借契約書なども確認しておきましょう。

不動産は評価方法によって相続税額が変わる可能性があります。必要書類の不足や評価ミスがあると、申告準備が長引いたり、税額に影響したりするおそれがあります。

住まいの賢者では、司法書士法人と連携する不動産会社として、相続不動産に関する相談を受け付けています。不動産の相続税申告にあたって必要書類や不動産の扱いで悩んでいる方は、専門家への相談も検討しましょう。

不動産の相続税申告に関してよくある質問

ここでは、不動産の相続税申告に関してよくある質問に回答します。

不動産を相続したら必ず相続税申告が必要ですか?

不動産を相続しても、必ず相続税申告が必要になるわけではありません。相続税の申告は、遺産総額が基礎控除額を超える場合に必要です。基礎控除額の範囲内であれば、原則として申告も納税も不要です。ただし、小規模宅地等の特例などを使うことで相続税が0円になるケースでは、申告が必要になる場合があります。

不動産の相続税申告に必要な書類を集めるのにどれくらいの期間がかかりますか?

必要書類を集める期間は、相続財産の内容や相続人の人数によって異なります。戸籍謄本や登記事項証明書、固定資産税評価証明書などは比較的早く取得できますが、不動産の数が多い場合や、預貯金・有価証券・生前贈与の確認が必要な場合は時間がかかることがあります。相続税の申告期限は原則として10ヶ月以内であるため、相続開始後はできるだけ早めに準備を始めましょう。

相続税申告で登記事項証明書は必要ですか?

相続税申告では、不動産の内容や権利関係を確認するために登記事項証明書を用意するのが一般的です。

登記事項証明書には、不動産の所在地や地番、家屋番号、面積、所有者などが記載されています。不動産評価や相続人が取得する財産の確認に関わるため、不動産を相続した場合は準備しておきましょう。

不動産の相続税申告に必要な固定資産税評価証明書はどこで取得できますか?

固定資産税評価証明書は、不動産がある市区町村役場で取得できます。東京23区内の不動産であれば、都税事務所で取得するのが一般的です。

なお、固定資産税課税明細書が手元にあれば、不動産の評価額を確認できる場合があります。ただし、申告内容や専門家の判断によっては固定資産税評価証明書の取得を求められることもあるため、早めに確認しておきましょう。

この記事の執筆者

中西 孝志(なかにし たかし)

中西 孝志(なかにし たかし)

株式会社あんしんリーガル 宅地建物取引士/FP2級技能士/損害保険募集人

約20年の実務経験を活かし、お客様の潜在ニーズを汲み取り、常に一方先のご提案をする。お客様の貴重お時間をいただいているという気持ちを忘れず、常に感謝の気持ちを持つことをモットーとしている。

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